今日は朝から抜けるような青空が広がり、上田で34℃佐久でも32℃まで気温が上がった。田んぼの稲穂は黄金色に染まり重そうに垂れている。もうすっかり秋の景色である。
HPのメールに中版カメラで昆虫写真を撮るメリットはないのだろうかという質問を頂いた。その方は5〜6年前からペンタックス645で昆虫写真を撮りはじめたとのことだ。
ぼくは反対に5〜6年前までペンタックスの645で昆虫写真の半分近くを撮影していた。だんだん減って、ここ2年ほどは全く使わなくなってしまった。
中盤カメラの良さは35mmフイルムと比べ画面が大きいので画質は格段によい。当然今でも、画質はデジタルや35mmよりよいだろう。だから余裕があれば使うこともあるかもしれない。
けれど同じ画角で同じものを35mmやAPSデジタルと撮り比べればわかることだが、645は被写界深度が浅い。
645よりは35mmが深度が深く、35mmよりAPS、APSよりフォーサードといった順に深い深度が得られる。絞りをあまり絞らなくてもピントが来るわけだ。深度が深いことは、昆虫などのマクロ撮影では格段に有利になる。手持ちで撮影するときも速いシャッターが切れるから昆虫写真には小さい方が有利だと思う。それではどうして、昔は645をメインに使ったといえば35mmフイルムよりも格段に画質がよかったからだ。何しろ面積で4倍近くあるのだ。フイルムの場合は、フイルムが大きくなれば画素数が多くなるようなもので、例えば35mmフイルムが1000万画素相当とすれば、645は4000万画素相当といっても過言ではない。
ところがデジタルになれば撮像素子の大きくなることで、ノイズなど有利になる点もあるが、カメラが大きかろうと小さかろうと1000万画素はやはり1000万画素で、カメラのサイズが大きくなっても、フイルム時代ほどの極端な差はでない。それはぼくの新しくでた写真集を見ていただければわかると思う。200万画素から1200万画その各種のカメラで撮影した昆虫写真を皆同じ大きさに印刷してある。
最終目的が印刷であれば、印刷そのものがデジタルだから、そこでフイルムと比べデジタルの方が、相性がよいといった状態が、すぐそこまで来ているようにも思う。
そうはいっても中盤は背景をぼかしたときはも有利になることもあるし、645でないと撮れない昆虫写真はないとおもうけれど、カメラに惚れたならどこまでもそのカメラで撮るというのも良いと思う。645は35mmフイルムよりははるかに画質はよい。そして中版の中ではペンタックス645は最も昆虫写真に向いたカメラであることも確かだ。
◎10月5日〜11日、新宿のフォトギャラリーキタムラで写真展「小諸日記」全紙40点の展示
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