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海野和男のデジタル昆虫記

土田ヒロミ写真展「Fake」

土田ヒロミ写真展「Fake」
2002年09月17日

今日は東京で自分の写真展の焼きのチェック、それからフォトコンテスト誌の今年度最後の審査をやった。そして小諸に戻る前に土田ヒロミさんの写真展のパーティーに顔をを出した。土田さんは実はぼくの写真を見いだしてくれた、はじめての有名写真家である。
 ぼくがはじめて個展をやった20年ほど前、土田さんがぼくの個展会場へ来てくださった。そのときは本当にびっくりした。71年の太陽賞受賞や76年の「俗神」でその名前と顔は知っていた。ぼくは自然写真家以外で妙に引かれる写真家であった。読売新聞のコラムで写真展を歩くというタイトルで、そのときに開催されていた写真展を見て歩き、その印象を記したのである。その中でかなりほめていただき、それがぼくの写真界へのデビューになったと思う。
 ぼく自身の写真も土田さんの俗神や、その後のヒロシマコレクションには影響を受けた。土田さんの著名作に「砂を数える」があるが、今回の写真展は2部作で、いずれもFAKE。一つは町の建物など遊園地的な風景を切り取ったもの、もう一つは「新砂を数える」と副題がつき、河原や遊園地講演など様々な場所で遊ぶ人間がパンフォーカスでとらえられている。それが1mを越える大型プリントで展示されている。狭いと思った新宿ニコンサロンが広く感じたからおかしかった。
 こういう光景はリアルなのであるが、何だかとても不思議である。ぼくにとってはそういった日本人の姿がとても不思議に見える。今回はデジタル処理で土田さんじたいが、その写真の中に組み込まれている。記録としての写真が衰退しつつある姿を、危惧を持ち、なおかつその中に表現のおもしろさを見いだそうとしているような気がした。
 ぼく自身はデジタルと言ってもデジカメを使うだけでなんらフイルムカメラからの進歩はなく、唯一、パンフォーカス効果が得られる民生用デジカメに新しい表現を見いだそうとするのである。それでも土田さんの写真は、刺激されたと言うよりは面白いなと思った。最近見た写真展では最も見て良かったと思ったのである。
 写真展は30日まで新宿ニコンサロンで開催されている。ミーハーをして土田さんと一緒に写真を撮らしてもらった。カメラマンは近くにいた「櫻花図」で昨年の伊奈信男賞をとられた山崎博さんに図々しくも頼んでしまった。

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