独特な食感がやみつきになる「かむかむシリーズ」。定番の「かむかむレモン」をはじめ梅や巨峰などのフレーバーがあり、噛めば噛むほどジューシーな甘味がクセになるチューイングキャンデーだ。スーパーやコンビニで一度は見かけたことがあるのではないだろうか。
そんな「かむかむシリーズ」は、2022年で発売20周年を迎えたロングセラー商品。実はこれまでに100種類ものフレーバーを展開していて、なかには「黒糖」や「いちごみるく」など意外性たっぷりのものも。レモンや梅といった酸っぱい印象のものばかりでなく、いろんな味に挑戦してきたのが「かむかむシリーズ」の大きな特徴だ。
今回は、現在「かむかむシリーズ」を担当している三菱食品株式会社 国内商品開発本部 菓子商品開発グループの岡本宗大さんに、シリーズの魅力や人気のフレーバーについて聞いた。
■現在人気の味は?かむかむシリーズの開発秘話
かむかむシリーズはレモンと巨峰、梅の3種類のフレーバーが通年で発売されている。なかでも梅はコアなファンがいる商品で、リピーターがが多いのだとか。新商品も毎月リリースされていて、いつお菓子売り場を訪れても新しい発見があるかむかむシリーズだが、フルーツやジュースなどのフレーバーを中心にブランドの雰囲気を壊さない、“かむかむらしさ”を軸に開発が行われているという。
「最近では『紀州産南高梅』や『静岡県産三ケ日みかん』など地域性のあるフレーバーを提案し、その後、その果物の市場での動きや過去商品の売上を鑑みて開発するかどうかを決めています。また、果物の産地についてはいちごであれば『あまおう』など、果汁にこだわった開発を進めております」
開発では市場調査を欠かさず確実に売れるものを作る努力を行っているが、それでも苦労は尽きないという。前評判がよく、売れると思っていた商品が消費者には受け入れられず、あまり売れずに終わってしまうこともあるんだとか。そのため、開発と消費者とのギャップを埋めるためにさまざまなデータを用いて開発を行い、ギャップをなくすように取り組んでいるそうだ。
また、過去には7種の野菜と5種の果物の味を詰め込んだ「かむかむビタミンミックス」、噛めば噛むほど甘みが広がる「かむかむいちごみるく」といったユニークな味や、「かむかむ黒糖」という砂糖×砂糖の変わり種も。黒糖については、2022年に沖縄県の本土復帰50周年を記念し、“沖縄県産のものを使ったかむかむを作る”というコンセプトで開発が行われた。
さまざまなフレーバーを発売するなか、最近特に力を入れているというのが炭酸系のフレーバーだ。2022年は4月の「かむかむコーラ」に始まり、5月に「かむかむメロンソーダ」、8月の「かむかむレモンソーダ」と続き、さらに2023年1月には「かむかむホワイトソーダ」の発売も控えるなど、数多くの炭酸系のフレーバーをリリースしている。
「炭酸系のなかで特に人気なのが『かむかむシュワッと爽快ラムネ』ですね。毎年、半年ほどの期間限定で販売していますが、その人気はみるみる上がってきています。年々売り上げが伸びている好調なフレーバーです。レモンの次に人気になるのがラムネになるのではないか、と感じています」
夏場の暑くなってくる時期には炭酸系フレーバー全般が飛ぶように売れ、特にコンビニでの売上が群を抜いているそう。チューイングキャンデーではなかなか味わえない爽快感が、仕事や勉強の合間のリフレッシュにぴったりだ。
■フルーツもドリンクもしっかり再現!時代に合わせた味わいを
「かむかむシリーズ」はこれまでに100種類以上のフレーバーを発売しているが、フレーバーとして選んだフルーツやドリンクの味わいを再現するためにどんな苦労があるのだろうか。20周年記念フレーバーとして2022年9月に発売された「かむかむシャインマスカット」の開発では、特に試行錯誤を繰り返したという。
「2021年に『かむかむマスカット』を発売したのですが、それよりも上質な味わいにしなければいけないことに苦労しました。質を意識しすぎると苦みが強くなってしまうため、甘味のなかに少し酸味がある味わいにするための調整が大変で何度も試作を行いました。ほかのフレーバーでも同じように試作品を作っては何度もやり直しを繰り返しています」
フルーツやドリンクの味をただ再現すればいいわけではなく、理想の味に近づけるべく調整に調整を重ねることが最も大変なことだと岡本さんは話す。2022年5月には近年のレトロブームを受けて「かむかむメロンソーダ」を発売したが、こちらは昔懐かしい味わいを再現することに徹底的にこだわったそうだ。
「メロンソーダについては『昔懐かしい味』という声をたくさんいただきました。自分たちが目指していた“純喫茶のメロンソーダ”を再現できて本当にうれしかったです。これからも消費者の思い出に寄り添ったり、時代に合わせた商品を作っていきたいと考えています」
■目指すは他社とのコラボかむかむ!次なるフレーバーは?
「かむかむシリーズ」は直近10年間のなかで2021年に最高売上を記録しており、ますます勢いを増している。三菱食品は「かむかむシリーズ」の展開にさらに力を入れ、これからも売り上げを伸ばしている炭酸系フレーバーと果汁にこだわったフルーツ系フレーバーをメインに開発していく予定だという。
また、今後はキャラクター展開にも力を入れていくそう。「かむかむシリーズ」には発売5周年の際に誕生した「かむぴよ」というブランドキャラクターがいて、今後はキャラクターも込みで推していきたいと岡本さんは話す。
「今の目標は、他社とのコラボ商品の展開です。シリーズ初のコラボ商品として、2022年11月には元祖・高知栽培バナナの『バナナの王様 完熟王』とコラボをした『かむかむ甘熟王バナナ』を発売します。ほかにも、飲料メーカーとのコラボも実現させたいですね」
発売から20年が経っても挑戦を続ける「かむかむシリーズ」。今度はどんな味わいで私たちを驚かせてくれるのか、次なるフレーバーの登場が楽しみでしかたない。
取材=福井求(にげば企画)
文=小賀野哲己(にげば企画)