昭和・平成で人気を博したアニメのセル画を集めた「サブカルチャーアートの世界 セル画展」が4月30日、名古屋栄三越(名古屋市中区栄3)で始まった(サカエ経済新聞)
「サブカルチャーアートの世界 セル画展」で最も古いという鉄腕アトム」のモノクロのセル画
同展は同店の美術画廊の新たな顧客開拓を目的に、漫画やアニメに関するアイテムを「サブカルチャー」という位置付けで展開する新企画。第1弾は「セル画」を特集する。
新企画担当でアニメ好きという同画廊担当者の山田英樹さんはアニメを取り扱っていいか考えたが、オークションでの取引が盛んなほか、美術関連雑誌での特集や複数の美術館でアニメテーマの企画展が開催されているなど、近年、美術業界でアニメが盛り上がりを見せていることを受け、アニメは美術と認められていると捉えて企画の実施に踏み切ったという。「役得です」と笑顔を見せる。
今回の展示では約50作品のセル画120~130点を展示販売。実際に放送されたアニメで使われたセル画だという。作品は「ドラえもん」「ドラゴンボール」「Dr.スランプ アラレちゃん」「となりのトトロ」「アンパンマン」「ルパン三世」「パタリロ!」「天才バカボン」「銀河鉄道999」「タッチ」「あさりちゃん」「みなしごハッチ」「キン肉マン」など。絵の具の質感など手描きならではの特徴が見られる。同展で最も古い物は「鉄腕アトム」のモノクロのセル画だという。
展示作品を扱う美術商「アートスタイル」(東京都)の宮本裕美子さんは「1965(元号抜け)年から2000(元号抜け)年までくらいはセル画の時代。以降、アニメ制作のデジタル化が進みセル画は使われなくなっていった。希少性が高まっている」と説明する。
「美術画廊というと日本画や洋画、工芸などファインアートを扱っていてハードルが高い印象を持たれるが、サブカルチャーアートなら気軽に見に来てもらえるのでは。世代を超えて親しまれる作品もあるので、ゴールデンウイークに親子や家族で見に来て、会話も楽しんでほしい」と山田さん。宮本さんは「一枚のセル画を前にシーンや作品についての会話が生まれたり音楽や音がよみがえってきたりする」と話す。
冬には漫画をテーマにした企画を予定。山田さんは「アートに触れる機会を増やしたい」と意欲を見せる。
営業時間は10時~19時(最終日は16時まで)。5月6日まで。