衿と袖がなく、さらにあきがない衿から袖までひと続きの見返しがついたデザインの仕立て方を、分かりやすく解説!読者様からブティック社への質問としてとっても多い縫い方です。色々な部分縫いが縫えると手作りの幅が広がります。ぜひ挑戦してみてください!
はじめに
今回は洋服作りをするときによく登場する、部分的な縫い方をご紹介します。縫い方や手順を知っていれば、手早く、きれいに仕立てることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
夏のワンピースやトップスなどによく見られる、衿、袖のないノーカラーノースリーブのアイテム。こういったデザインのひとつに、ボタンなどのあきがなく、うら側にある見返しが前後ともに衿ぐりから袖ぐりにかけて続いている作りになっているものがあります。
読者の皆様からもよくご質問いただく、こちらのデザインの縫い方をご紹介します。それでは始めていきましょう!
使用する布地
まずはじめに今回の部分縫いで使う布地をご紹介します。
身頃がブルー、見返しがピンクの布地です。それぞれおもて側、うら側が分かりやすいように、表裏の見た目が違うものを使っていきます。
今回見返しのうら側は全面に接着芯を貼るので、こちらのベージュの接着芯を貼った状態にしています。
使用するパーツ
こちらが今回使用するパーツで前、後ろ、前見返し、後ろ見返しの4パーツです。
見返しは前後ともうら側の全面に接着芯を貼っています。裁断後、できあがり線にチャコペーパーで印をつけているのでその線に沿って縫っていきます。
作り始める前に注意!
今からご紹介する仕立て方は極端に肩幅が狭い場合はひっくり返すという工程で返せない場合があるので注意が必要です。
身頃・見返しの肩線を縫う
上の赤のギザギザ線部分、見返しの端と身頃の脇線に裁ち目かがりのミシンをかけます。
最初に身頃の肩線を縫っていきます。
前と後ろのおもて面どうしを合わせます。
左右の肩線、赤い線の部分を縫います。
まち針でとめます。
直線縫いのミシンで肩線を縫います。
縫い始めと縫い終わりは返し縫いをしましょう。
縫い代をアイロンで開きます。
次に見返しの肩線を縫っていきます。
先ほどの身頃と同様です。
前見返しと後ろ見返しのおもて面どうしを合わせます。
左右の肩線、赤い線の部分をミシンで縫います。
まち針でとめます。
ミシンで縫います。
縫い代をアイロンで開きます。
衿ぐり線を縫う
次に衿ぐり線を縫っていきます。
身頃と見返しのおもて面どうしを合わせます。
衿ぐり線、赤い線の部分を縫います。
まち針で衿ぐりを一周とめます。
このとき、それぞれの肩線のはぎ目がぴったり合うようにまち針をとめると、縫ったときにきれいに仕上がります。
ミシンで衿ぐり線を縫います。
縫い始めと縫い終わりの縫い目が重なるので、返し縫いはしなくてもOKです。
縫い代が0.5cmくらいになるようにカットします。
カーブになっている部分はこのように縫い代をカットしたり切り込みを入れたりしないと、ひっくり返したときに布地がつれてしまいます。
縫い代をアイロンで開きます。
このとき、カーブなどの立体的な部分にアイロンをする場合は「まんじゅう(プレスボール)」という道具があると便利です。この「まんじゅう」にはいろいろな形があるので、アイロンをかけたい部分に適したカーブがあるまんじゅうを選ぶと良いでしょう。
見返しを身頃のうら側にひっくり返します。
衿ぐりにアイロンをかけて整えます。
このときにおもて側から見返しが見えないように、1mmほど控えておきます。
袖ぐり線を縫う
ここからがポイントです。
左の袖ぐり線、赤い線の部分を縫っていきます。
右の身頃をくるむようにして布地をまわし、身頃と見返しの袖ぐり線を合わせます。
少しわかりづらいので合わせる部分に目印として4ヵ所クリップをつけます。
グリップのついた側が下になるように半分に折ります。
一番下にあるクリップのついた見返しを左側へ持っていきます。
右の袖ぐりをひと折りしてよけておきます。
クリップがついたところ、おもて面どうしで袖ぐり線を合わせます。
こうすると右の身頃がくるまれて、身頃と見返しの左袖ぐりがおもて面どうしで合わせられます。
このグリップのまま縫ってもいいですが、くるんでいる右の身頃をはさんで、一緒に縫い込んでしまわないように、細かくまち針でとめていくのがおすすめです。
袖ぐり線をミシンで縫います。
このときにも中にくるんだ布地を一緒に縫わないように注意しながら縫いましょう。
袖ぐりもカーブしているので、縫い代が0.5cmくらいになるようにカットします。
縫い代をアイロンで開きます。アイロンがかけにくいところ以外は開きましょう。
赤い矢印のように布地を中にくぐらせておもてに返します。
袖ぐりをアイロンで整えます。
このときにおもて側から見返しが見えないように、1mmほど控えておきます。
次に右側の袖ぐり線、赤い線の部分を縫っていきます。
先ほどとは逆に左の身頃をくるむようにして、布地をまわし、身頃と見返しの袖ぐり線を合わせます。
クリップのついた側が下になるように半分に折ります。
左の袖ぐりをひと折りしてよけておきます。
一番下にあるクリップのついた見返しを右側へ持っていきます。
クリップがついたところどうしの袖ぐり線を合わせます。
先ほどの左側の袖ぐり線と同様で、合わせた袖ぐり線をまち針でとめ、ミシンで縫います。
中にくるんだ布地を一緒に縫わないように注意しながら縫いましょう。
縫い代が0.5cmくらいになるようにカットします。
縫い代をアイロンで開きます。
赤い矢印のように布地を中にくぐらせておもてに返します。
おもて側に返したらアイロンで整えます。
おもて側から見返しが見えないように1mm控えます。
脇線を縫う
脇線を縫っていきます。
前と後ろの身頃のおもて面どうしを合わせます。
左右の脇線、赤い線の部分を縫います。
脇線をまち針でとめます。
見返しはめくってから、まち針でとめます。
縫い代が重なっているところは、一方方向へ倒れてゴロゴロしてしまわないように、縫い代を開いてとめておきます。
脇線をミシンで縫います。
縫い代をアイロンで開きます。
めくった見返しを戻して整えます。
おもてに返します。
見返しを落ち着かせる
見返しがひらひらしないよう落ち着かせるため、衿ぐりと袖ぐり、赤い線の部分におもてからミシンをかけます。
おもてから見えるステッチなので、丁寧にミシンをかけましょう。
見返しと脇の縫い代を手縫いでまつります。
ステッチをかけたり縫い代をまつっておいたりすると、着用したときに見返しがおもてに出てしまう心配がなくなります。
こうして衿から袖までひと続きの見返しがついたノーカラーノースリーブのデザインを縫うことができました。
いろいろな部分縫いが縫えると手作りの幅が広がりますのでぜひ挑戦してみてください!
【使用したミシン】
ブラザー販売 Teddy300 https://www.brother.co.jp/
【一部使用したソーインググッズ】
クロバー https://clover.co.jp/
【使用した糸】
フジックス https://www.fjx.co.jp/
YouTube動画
こちらで紹介した手順は動画で見ることができます。是非ご覧ください。
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