
紫色の可憐な花姿と、全草から匂う甘い良い香りが特徴のラベンダーはハーブの女王ともいえるリラックス効果抜群のハーブです。香水などの原料にされていることは有名ですが、ひと鉢部屋にあれば部屋中ラベンダーの香りでいっぱいになります。品種も豊富です。
ラベンダーとは(基本情報)
・別名:品種によってさまざまなものがある
・科名:シソ科/常緑低木、多年草
・原産地:地中海沿岸
・草丈:20~100cm
・用途:ハーブティー、ハーブバス、ハーブワイン、ポプリ、クラフト、ドライフラワー、切り花、ガーデニングなど
・ふやし方:さし木、株分け、種まき
・病害虫:比較的発生しにくい
栽培カレンダー
ラベンダーの品種
写真のようなイングリッシュラベンダーが一般的で、これだけでもかなりの品種があるのですが、ぽってりとした花姿のフレンチラベンダーや、色違いの品種などを合わせるとさらに多くなります。
*フレンチラベンダー(ストエカス種)
独特な花の形が特徴。イングリッシュラベンダーに比べて寒さには弱いが丈夫で育てやすい。花色は紫の他、ピンクや白などもある。
*マンステッド
小型の品種で、ガーデンの縁取りなどに向く。コンパクトで株が乱れにくい。
*早咲き3号
その名の通り早く花が咲く。他よりもじょうぶで、つぼみのときから紫色をしている。
*ソーヤーズ
濃い紫色の花で、多湿に強い品種。やや遅咲き。
*ナナ
白やピンクの花を咲かせる、やや葉と茎が細い品種。
育て方
もともと乾燥した地域で自生していたため、日当たりの良い場所、水はけのよい土がベスト。
種からも育てられますが、発芽までに相当時間がかかるので、ポット苗から育てる方がよいでしょう。
水やりはごく控えめにして、やや乾燥気味にした方がよく育ちます。
肥料も控えめでよく、苗を植えつける時に入れる元肥と、秋に収穫が終わったあとに、お礼肥を少々やる程度で大丈夫です。
日照:日当たりのよい場所
土:水はけのよい乾燥ぎみの土
水:土が乾いたら控えめに与える
利用部分:花、葉、茎
効能・効用:血圧降下、抗うつ、鎮静、消毒、解毒、生理不順など
*苗の植えつけ
苗を用意する
培養土に元肥を入れて混ぜ、苗を取り出します。逆さにすると、ポンととれます。根鉢をくずさないように気をつけましょう。

容器に植えつける
容器の真ん中に、苗を植えつけます。根元がやや高くなるようにすると、水はけが良くなります。

水を与える
水をたっぷりかけて植えつけ完了です。植えつけ直後は株が弱るので、日陰で3~4日育てます。

その後の管理
苗が落ちついたら、日当たりと風通しの良い場所で育てます。
土が乾いたらたっぷり水をやります。水は、ちょっとずつ回数多くやると、土の表面が湿るだけで根が伸びません。回数は少なくてもよいから、用土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりやるのがコツです。
ただし、夏場は土が乾きやすいので1日2回ぐらい水をやります。
地植えの場合は、植えつけの時にたっぷり水をやれば、あとの水やりは不要です。
梅雨の湿気と夏の高温多湿に弱いので、梅雨期は軒下に移動して、雨を避けましょう。
春から夏は成育おう盛なので、10日に1回くらい水やりを兼ねて液肥を与えると大きく育ち、葉もたくさんつきます。
*開花と収穫
開花
やがて花茎が伸び、初夏になると紫の小花が穂状に咲きます。花が咲く直前がもっとも香りのよい時期です。

収穫したものはフレッシュのまま切り花やハーブティーに。ドライにしてハーブティーやお菓子の香りづけ、ハーブバス、ポプリ、ドライフラワーなどに利用できます。

収穫時のコツ
葉を数枚つけて、茎の下の方から切りとります。手ではなかなかとりにくいので、ハサミで切るようにします。
*切り戻しと追肥
花後に切り戻す
花が咲き終わった状態(花後)。花穂の下で切ります。切ったものは乾燥保存して利用しましょう。

追肥する
切り戻したら、固形肥料で追肥します。根を痛めないように、根から少し離れたところにまきましょう。

翌春の成長
切り戻した茎のわきから、翌春に枝が伸びてまた開花します。株が大きくなって、鉢底から根が出たら、一回り大きいサイズの容器に植え替えます。
*冬の手入れ
冬はラベンダーの休息時期。風が強い場所であれば、根元に落ち葉や土を寄せて、保護してやりましょう。冬のラベンダーの姿は地味なものですが、ちゃんと生きていて、翌年の春を待っています。枯れてしまったと思ってあきらめないようにしましょう。
*さし木
若い枝を長さ20cmぐらいに切って水につけておき、土にさすところを斜めに切り、発根剤につけます。深さ3cmぐらいの穴をあけ、さし穂をさします。
さし終わったら、風の当たらない半日陰の場所におき、土が乾かないように、水を与えます。
10~15日で発根します。発根したら日当りの良い場所で育て、20~30日で移植できるようになります。根を傷めないように土をほぐして苗を取り出します。
フレッシュラベンダーでおいしい料理(レシピ)
『ラベンダーのミルクティー』
爽やかな香りと甘いミルクティー!

【材料(2人分)】
・ラベンダーの穂先 10本程
・水 1カップ
・牛乳 1と1/2カップ
・紅茶の葉 大さじ1
・砂糖 大さじ2
【作り方】
01 鍋に、水、ラベンダー、紅茶を入れて火にかけ沸騰させる。
02 沸騰したら牛乳、砂糖を入れて、再度ふきこぼれないように沸騰させる(砂糖の加減はお好みで調整する)。
03 茶こしで、茶葉とラベンダーをこしながらカップに注ぐ。
『ラベンダーシフォンケーキ』
甘さ控えめの大人スイーツ!

【材料(18cmのシフォンケーキ型1個分)】
・卵黄 5個分
・卵白 6個分
・砂糖 60g
・豆乳 1/2カップ
・サラダ油 80ml
・小麦粉 120g
・ラベンダー 大さじ1
【作り方】
01 卵白は、つのが立つまで泡立てる。
02 砂糖の半量を加え、さらに泡立てる。
03 別のボウルで卵黄と残りの砂糖を加えて白っぽくなるまで泡立てる。
04 豆乳を注いで混ぜ、サラダ油を少しずつ加えて混ぜたら、小麦粉とミルサーで粉にしたラベンダーをふるい入れ、ヘラで粉けがなくなるまで混ぜる。
05 混ざったら2の卵白を1/3ずつ加えてさっくりと混ぜ、シフォンケーキ型に入れて軽く持ち上げてトントンと落とすように2、30回たたいて空気を抜く。
06 170℃のオーブンで45分焼き、びんなどに逆さにさして冷ます。
『ラベンダークッキー』
かんたんにできる大人雰囲気のクッキー!

【材料(5人以上分)】
・全粒粉 90g
・強力粉 10g
・塩 小さじ1/4
・アーモンドプードル 100g
・メープルシロップ 65g
・なたね油 40g
・ラベンダー 約大さじ1
【作り方】
01 フードプロセッサーもしくはグラインダーにラベンダーを入れて、粉状にする。さらにアーモンドプードルを加え、撹拌する。
02 1と残りの材料すべてをビニールの袋に入れて、一かたまりにまとめられるくらいになるまで混ぜ合わせる。
03 そのまま冷蔵庫で30分ほど休ませる。
04 オーブンを160℃に予熱しておく。
05 冷蔵庫から出した3を麺棒で伸ばし、型抜きして、クッキングシートを敷いた天板にならべ、15分焼く。
『ラベンダー風味のワイン』
いつものワインをグレードアップ!

【材料】
・ロゼワイン 1本
・ラベンダー(ドライの花穂)大さじ3
【作り方】
01 ワインの栓を開け、中身を大さじ2ほど取り出し、ラベンダーを入れる。
02 湯を沸かした鍋にワインのボトルを入れて、湯煎にかける。
03 ワインのボトルの中で気泡が上がってきたら、湯煎からはずして冷ます。
04 冷めたら茶こしでこして、ラベンダーを取り除く。
『ラベンダーのセンテッドシュガー』
ケーキやトーストの風味付けに!

【材料】
・ラベンダー(ドライ)1/2カップ
・グラニュー糖 1カップ
【作り方】
01 ワインの栓を開け、中身を大さじ2ほど取り出し、ラベンダーを入れる。
02 湯を沸かした鍋にワインのボトルを入れて、湯煎にかける。
03 ワインのボトルの中で気泡が上がってきたら、湯煎からはずして冷ます。
04 冷めたら茶こしでこして、ラベンダーを取り除く。
『ラベンダーシュガートースト』
朝に食べたいラベンダー風味のパン!

【材料】
・ラベンダーのセンテッドシュガー 適量
・フランスパン 人数分
・バター 適量
【作り方】
01 フランスパンを斜めにスライスしてトーストする。
02 バターを塗って、上にラベンダーのセンテッドシュガーをかける。
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