外を歩くのが気持ちいい季節になり、青空の下を歩いたり、新緑がまぶしい公園でのんびり過ごしたりするのが楽しみな時期ですね。そんな時間は、心と体をリフレッシュできる絶好のチャンスです。
でも実は、そんな気持ちのいい時間にも、知らず知らずのうちに紫外線の影響を受けていることがあります。ふと鏡を見たとき、「なんだか肌がくすんで見える」「シミが増えたかも」と、肌の小さな変化が気になることはありませんか?
薬膳では、お肌の健康は、血の巡りと深く関係していると考えられています。血の流れが滞ると、老廃物がたまりやすくなり、シミやくすみの原因にもなります。そこで今回は、国際中医薬膳師のさとうあいさんに、毎日の食事で“巡り”をサポートし、内側から美肌を育てる薬膳レシピを伺いました。
毎日のご飯で少し意識を変えるだけで、肌の調子にも嬉しい変化が現れてきます。忙しい日々でも続けやすい工夫や、食材の選び方のコツもあわせてお伝えします。
イワシは、お肌に必要な栄養をしっかり届けてくれる頼もしい食材。血の巡りを良くして肌の土台を内側から整えてくれるので、紫外線のダメージが気になり始める今の時期にぴったりです。
仕上げに使ったバジルは、爽やかな香りで心をゆるめてくれます。紫外線の刺激に加え、ストレスや疲れでも巡りが乱れやすくなるため、心と体の両面から整えてあげたいですね。
ふんわり香るバジルに、イワシの旨味が絡んだシンプルながら満足感のある一皿。しめじのプリッとした食感と黄パプリカの彩りも加わり、見た目も華やか。忙しい日のご飯にもおすすめです。
・イワシの水煮缶:1缶
・しめじ:1株
・黄パプリカ:1/2個
・にんにく:1片
・パスタ:300g
・バジル:5枝
・オリーブオイル:小さじ1
・塩:適量
・黒酢:小さじ1
・醤油:小さじ1
(1)にんにくはみじん切り、パプリカは千切り、しめじは根元を切り落として手でほぐします。
(2)フライパンに(1)のにんにく、オリーブオイルを入れて加熱をします。
(3)にんにくがきつね色になってきたら、(1)のしめじ、黄パプリカを加えて炒めます。
(4)しめじがしんなりしたら、イワシの水煮缶を汁ごと加えます。
(5)別鍋で茹でたパスタ、手でちぎったバジル、醤油、黒酢を入れて全体をよく混ぜます。
(6)塩で味を整え、器に盛り付けて完成です。
ツナは、毎日の元気とキレイを内側から支える心強い食材。紫外線の影響で乱れがちな巡りを整えるのにもぴったりです。
一緒に炊き込むトマトには、体にこもった熱を冷ましてくれる力があり、お肌の乾燥やほてりが気になるときに優しく働きかけてくれます。
干し椎茸と玉ねぎのコクが全体をまとめ、深みがありながら軽やかな味わいに。ツナの旨味がご飯にしっかり染み込んで、冷めても美味しくいただけます。
仕上げに散らしたパセリは、彩りを添えるだけでなく、鉄分が豊富。血の巡りをサポートして、くすみを防ぐ力も期待できます。
具材を切って炊飯器にお任せするだけなので、忙しい日にも気軽に薬膳ご飯が楽しめますよ。
・ツナの水煮:1袋
・うるち米:2合分
・トマト:1個
・玉ねぎ:1個
・干し椎茸:2個
・パセリ:5枝
・塩:適量
(1)パセリはみじん切りにします。
(2)玉ねぎは大きめのくし切り、トマトはヘタを取り除き、角切りにします。
(3)干し椎茸は水で戻してから千切りにします。米を研ぎ、戻し汁と合わせて、2合分の水加減にし、30分ほど吸水させます。(2)の玉ねぎ、トマト、ツナ、干し椎茸、塩を加えます。
(4)蓋をして強火で加熱をします。全体が沸騰したら弱火にして15分加熱します。時間が経ったら全体を簡単に混ぜ、再び蓋をします。※炊飯器で炊く場合は、材料をすべて入れて炊飯ボタンを押すだけ。
(5)10分ほど蒸らしたら、器に盛り付け(1)のパセリを飾って、完成です。
黒豆は、美容に嬉しい栄養がたっぷり。紫外線ダメージを受けたお肌にやさしく働きかけ、内側から潤いとツヤを育ててくれます。
蒸すことで豆本来の甘味が引き立ち、ホクホクとした食感に。噛むたびに甘さが広がり、ほっとする味わいです。
そのまま食べるのはもちろん、サラダやスープなどのトッピング、炊き込みご飯や蒸しパンの生地に混ぜるなど、幅広く使える万能食材です。シンプルな味なので、和洋食問わず活用できますよ。
・黒豆:お好みの分量
(1)黒豆をさっと洗い、水に一晩浸けます。
(2)豆が十分に吸水したら、次の工程に進みます。
(3)ザルに入れ、水切りをします。
(4)蒸し器にクッキングシートを敷き、黒豆を並べます。湯を沸騰させ、蓋をして弱火で約1時間蒸します。
(5)柔らかさを確認し、火を止めたら再び蓋をして、10分ほど蒸らします。
(6)蒸らし時間を置いて、豆がふっくらとしたら完成です。
冷蔵保存で3日ほど、冷凍保存で1カ月を目安に召し上がって下さい。
ふと鏡を見たとき「なんだか、いい感じ」。そんな小さな変化に気づける日は、自然と気持ちまで明るくなるものです。
お肌の調子は、体の内側や心のリズムとも深くつながっています。だからこそ、スキンケアだけでなく、毎日の食事の中でそっと体を整える時間も大切にしたいですね。
紫外線は、季節や天候によって強弱があるものの、実は一年中、お肌に影響を与えます。特にこれからは紫外線量がぐっと増える季節。今のうちから内側からのケアを意識しておくことが、未来のお肌を守ることにつながります。
今回ご紹介した薬膳レシピは、日々のご飯に無理なく取り入れられるものばかり。忙しい毎日でも、楽しみながら続けられる工夫を詰め込みました。自分をいたわる時間として、食事のひとときを楽しんでみてはいかがでしょうか。
さとうあい
宮城県仙台市在住の料理家。フードコーディネーターや学校講師などを通して飲食業界に携わること20年以上。現在は国際中医薬膳師の資格を取得し、子どもの不調を整える薬膳料理講座や、企業へのメニュー提案などをする傍ら、レシピライターとしても活動中。
文・撮影=さとうあい