
コンクリートで囲まれた殺風景なベランダは、庭とは異なる悩みや問題点があります。ここでは解決につながるアイデアを実例とともに解説します。トレリス×ウッドパネルなど、様々なものを組み合わせて、素敵なベランダを作り上げましょう!
背景と床のアイデア
ベランダのイメージを大きく変えるのが背景と床です。
背景は、コンクリートフェンスの場合、そのままでは殺風景なので、板やトレリスなどを配し、自分の描く風景に近づける工夫をしましょう。
床も全体の印象に大きくかかわってきます。コンクリートのままでは雰囲気をつくりにくいうえに、日光の照り返しが強く、特に夏は植物にとって過酷な環境になってしまうので、できれば床材を敷くことをおすすめします。
*トレリス×ウッドパネル

正面にマンションが隣接する南向きのベランダ。避難ばしごを避けた床にウッドパネルを敷き詰め、トレリスをコンクリート壁面より高めに設置して周囲を囲みます。
目隠しをかね、春から秋は日なた、夏は半日陰のほどよいガーデニングスペース。
ウッドパネルやすのこの下はゴミがたまりやすく、放置すると病害虫のすみかになりかねないので、こまめに掃除を。
*トレリス×すのこ

南側、西側にマンションが隣接するベランダ。床は防腐剤塗料を塗ったすのこを敷き、トレリスにも同様の塗料を塗り、壁面より低めに設置。
左側を常緑つる性植物主体のローメンテナンスなガーデンスペースにして、右側は洗濯干しなどの生活スペースを確保しています。
*すだれ×セラミックタイル
側面(室外機)から背景をすだれで覆い、床にはセラミックタイルを敷き詰めます。
【Before】
正面が鉄板なので殺風景で圧迫感があり、日当たりは悪いのに太陽熱でベランダ内の気温が上昇する環境。

【After】
圧迫感があった正面の印象と熱気はすだれで緩和。タイルの色をランダムに変えることで床にもアクセントが生まれ、センスアップしたベランダに。

夏の温度上昇を抑える効果が高いセラミックタイル。

連結タイプなのでしっかりと平らになるまで押し込み、必要面積を埋めます。
*板×化粧石×床板

板の下に角材で脚をつけたオリジナルの床板をポイントに配し、コンクリートの白い壁をいかすためにすき間に同色の化粧石を敷き詰め、和風テイストに仕上げています。
エアコンの室外機など、生活感を感じさせるもの、景観にそぐわないものは壁のように見立てた板の裏に収納します。

奥にある隣家との境界ボードは、仕切り板とコーディネートした紫の薄い板を立てかけて目隠し。これなら避難通路も確保され、安心。
*板×雑貨
日照条件の悪い手すり部分は、白くペイントした腰板と100円ショップの木箱を重ねた手作り棚で埋め、あえて見せるコーナーに。
植物は手のかからないものを選び、好きな雑貨と組み合わせることで、オリジナル空間を演出しています。
室外機のアイデア
ベランダで目立ちがちで、せっかくの雰囲気を壊してしまう室外機。カバーキットも多く市販されていますが、トレリスや板を使ってかんたんに目隠しできるアイデアをご紹介します。
*トレリス

室外機の前と背景にサイズの違うトレリスを設置し、ハンギングを飾るコーナーに。室外機の上に木製ボックスを置き、ガーデニンググッズをさり気なくディスプレイして、違和感なくまとめています。
*トレリス×板
トレリスに、同色にペイントした薄いベニア板を貼って風出口をカバー。

熱風や冷風が出るので、空気が逃げるように間隔をとって設置する。

開閉式にしてあるので、室外機まわりやその奥にある排水口の掃除がしやすい。
排水口まわりのアイデア
排水口の位置や形はさまざまですが、いずれも泥や枯れ葉などが詰まりやすく、隣家と共用している場合はトラブルの原因にもなりかねません。こまめに掃除をして、清潔に保ちましょう。
*ザル×ネット

三角コーナー用のゴミとりネットや不織布を利用してゴミの流入を防ぎます。排水口にザルをかぶせてから不織布で覆い、周囲をワイヤーで固定。
*レンガ

排水溝間際まで床材を敷かず、コンテナは同色のレンガの上に配置。水やりで流出した泥が目立つので、排水溝に流れる前にすぐに掃除がしやすく、蒸れも防げるのが利点。
*鉢底ネット

排水溝の途中に大きなゴミをせき止める場所を数か所つくり、排水口まで流れない工夫を。壁面と床材を利用して鉢底ネットを挟んだだけの気軽さ。
*鉢皿

排水口がないベランダは必ず大きめの鉢皿に置いて水やりをし、受け皿にたまった水はすぐに捨てます。
排水口詰まりの原因のひとつに、散った花びらがあります。ベランダでは散りやすい花を避け、散りにくい花を選ぶのも得策です。
日よけ・風よけのアイデア
原則として植物は日当たりと風通しのよさを好むので、ベランダでいかに日照と風が確保できるかを問題としますが、季節によってはよすぎることがマイナスになることもあります。
真夏の直射日光や西日は植物を弱らせ、葉色が悪くなることも多く、これらを上手にさえぎる工夫が必要になります。
特に高層階のベランダは風当たりが強く、何もさえぎるものがないので日ざしも強烈。必ず対策が必要です。
*すだれ

すだれを2枚つないでベランダの天井にフックで固定し、手すりに向かって斜めに垂らします。不要なときは巻き上げておき、とり外しも手軽にできるので大変便利。
*トレリス×コニファー

高層階で西向きのルーフバルコニーは、手すりにトレリスを固定して全面を囲います。
重量感のある大型コンテナに草丈の高いコニファー類を植えつけて半日陰の環境をつくり、強風も遮断します。
鉢はコンクリートの輻射熱を避けるため、レンガやポットフィートを使って直接床に置かない工夫を。
*トレリス×つる性植物
「ディプラデニア」
キョウチクトウ科の常緑つる性植物。熱帯原産で、直径8cmほどの花は真夏でもよく開花し、光沢のある緑葉とのコントラストも美しい。マンデピラ、サンパラソル(ブランド名)などの名前でも流通している。
4月:ベランダの西側は強烈な西日がさし込む悪条件。4月にディプラデニアを4株植えつけ、フラワーカーテンに挑戦。

7月:ベランダ内側
成育おう盛でぐんぐん伸びて、あっという間にトレリスを覆い尽くすほどに。隣接するマンションへの目隠しとしても最適。内側は自らの茂りで半日陰になるので花つきはあまりよくありません。

7月:ベランダ外側
真夏の西日にも強く、輝くような花を日当たりのよい外側に向かって次々と開花させます。
*トレリス×重量コンテナ

柵部分にトレリスをしっかり固定し、小型でも重さのあるポットや鉢に草丈の低い植物を選ぶことで、14階のベランダでも強風にも負けないナチュラルガーデンが楽しめます。
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