緑のgooは2007年より、利用していただいて発生した収益の一部を環境保護を目的とする団体へ寄付してまいりました。
2017年度は、日本自然保護協会へ寄付させていただきます。
日本自然保護協会(NACS-J)の活動や自然環境保護に関する情報をお届けします。
今ではジュゴンは絶滅危惧種となり、人とのつながりが失われつつあります。豊かな海を守り、ジュゴンを守るため、生息地である辺野古・大浦湾を舞台にしたドキュメンタリーフィルム『ZAN』が完成しました。
人魚伝説の元になったとも言われるジュゴン。生息地の沖縄では「ZAN(ザン)」と呼ばれ、海と人とをつなぐ不思議な力を持つ生きものとして語り継がれてきました。
例えば、こんな物語・・・
石垣島に言い伝えられているものがあるんですけど、
昔、野原村(のばるむら)っていう村があって、
そこの若者たちがある日海に出て、
いつものように魚を網で捕っていた時に、
人魚が引っ掛かって。
それが今、ジュゴンって言われているんですけど。
その人魚が悲しそうに泣きながら、
「網から出してほしい」ってお願いをしたらしくて、
それがあまりにもかわいそうだったので、
海に返してあげたら、その人魚が感謝を込めて、
「これから津波が来るから、すぐ山の方に逃げてください」
っていう話をして。
実際に明和の大津波っていう津波があったんですけど
その村の人たちはみんな助かった、っていう話……
「海の自然保護は、陸に比べて遅れている」。近年、日本自然保護協会は、このことを強く感じていました。海は、森や里山よりも、私たちの暮らしから少し遠いように思います。スーパーに行けば魚が売られていますが、そこに並ぶのは食用の魚種だけ。ほかにも多くの生きものがいる海中の姿はなかなか実感できません。研究者や地元で活動する人も陸より少なく感じます。
沖縄県名護市の辺野古・大浦湾には、米軍基地移設に伴う海の埋め立て問題があります。この問題でも、海の中で起きる深刻な状況を、上手に伝えられないもどかしさがありました。そんなとき、広告制作会社イメージミル代表のリック・グレハンさんからフィルム制作の提案をいただきました。ぜひ海の中の様子を伝えてほしいとお願いし、制作が始まりました。制作期間は2年以上。イメージミルの専門性を活かし、会社を挙げたボランティア(プロボノ)として取り組んでくださいました。日本自然保護協会だけでは実現できなかったことが詰まった作品です。ぜひたくさんの方にご覧いただき、海の保護を一緒に考えたいと思います。
※掲載している写真やデータは、会報『自然保護』掲載時(2017年)のものに加筆修正を加えています。
出典:日本自然保護協会会報『自然保護』No.559(2017年9・10月号)より