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第8回 自分でできる整体法・Self Adjustment — 骨盤調整ヨガ(3)

  • 2010年9月2日

ヨガ  前述記事にて骨盤の構造と役割、骨盤底筋群のコントロールについてご紹介しました。今回は、なぜ骨盤を中心に身体を調整することが大切なのか、またその調整を「正しく」行う方法とポイントについてご紹介いたします。


深層の筋肉(コア)を調整するトレーニングには、力をぬいて頑張らないことが大切

骨格図  (1)の記事にて骨盤の構造をお話しいたしましたが、骨盤やその内側にある膀胱・腸や子宮などの特に下腹部の内臓を支え、体幹部・四肢を自由に動かすことができるのは、身体の深部にあり身体を支える柱のような役割をしている深層の筋肉(コア)があるからです。そして、この深層筋群は、意識的にコントロールをすることが非常に難しい性質を持っています。ゆったりとしたリズムで深く身体の状態に意識を向けるヨガやピラティス、太極拳などの一部の運動においては、深層の筋肉を鍛えることを非常に効果的に行うことができますが、偏った筋力トレーニングは自分の身体だけでなく、心のバランスをくずしてしまうこともあります。
 さて、それではどのような部分に意識を向けて行うことが大切なのでしょうか?


Slow・Sensitive・Simpleの3Sなトレーニングを

ヨガ 表面の筋肉(アウター)と深層筋(コア)は異なる性質をもっています。アウターの筋肉は、速く強固で、安定感のある身体を守る鎧のような性質をもっているのに対して、コアは、内臓を動かしたり、背骨や骨盤の動きを支える、または排泄や生殖活動にかかわるような、より原始的なはたらきを維持するために機能しています。とてもスローで無意識的にはたらく、生命活動を支える機能を有しているのです。ハードなトレーニングや複雑なポーズでは、コアを意識して鍛えることは難しいといえるでしょう。
 そのため、「コアを鍛える」「コアトレーニング」などといった部類のトレーニングも、より深く自分の身体の内側に意識を向け、スロー(Slow)で繊細(Sensitive)でシンプル(Simple)な動きの中でしか、実現できないのです。私たちの身体に与えられた本来の機能を取り戻し、自分らしいバランスを取り戻すための運動は、3S(Slow・Sensitive・Simple)であることが理想です。


自分の身体を守るための「よい習慣」を身につけよう

ヨガ  自分でできる整体とは、自らの力で自分の身体を調整していくことをさします。私自身も、以前は腰部椎間板ヘルニアを患っていたので、さまざまな治療を試みましたが、本質な解決法は、「自分自身の力で身体のバランスを整える」ことでした。ヨガの練習に関しても、ただレッスンの時間内だけ、身体の状態に意識を向けアーサナの練習をするだけでは、不十分といえるでしょう。
 自分の人生の中で、日常の動作や無意識的な習慣、生活のリズム、食事のバランス、呼吸、心の持ちかたなど、「よりよいバランスを保つための知恵」を活かして生きることが、何より大切です。そう表現すると、とても難しいことのように聞こえるかもしれませんが、よい姿勢を心がけること、身体に蓄積された疲労や緊張を取り除くことを、「できること」から始めてみることを習慣にすることが大切です。


骨盤を中心に全身を放射状にリリースする調整

 私たちの身体に起こった冷えやむくみなどの循環不良、歪みやひずみ、滞りを解消するためには「骨盤を中心に全身を放射状にリリースする」調整を施すことが大切です。私たちの顔や身体は必ずしもシンメトリーではありません。それは、どこかのバランスが乱れて起こっている症状であることもありますが、持って生まれた個性でもあります。
 「バランスを整える」というのは、単に手や足の長さを揃えたり、肩や腰の高さを左右均等にすればよいのでしょうか。外見上、身体が前後左右上下が均等でシンメトリーであれば、健康で魅力的なのでしょうか。顔だって姿勢だって、その人それぞれの個性があるように、健康上支障になるような症状もなく、本人が心地よく快適であれば、仮に左右の足の長さや腰の高さが違っていてもよいのではないでしょうか。
 Self Adjustment−骨盤調整ヨガにおいては、骨盤を中心に全身を放射状にリリースする調整法を行います。手や足の長さを揃えることよりも身体の中心から外側に、つまりや歪み、滞りのない身体作りを行います。それにより、体液や血液の循環、エネルギー循環をよくし、筋肉や骨のつまりを取りのぞき伸びやかでしなやかな芯のある身体に導きます。
 次ページでは、その調整法をご紹介いたします。

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