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Vol.7 佐藤哲也さん
北海道「千歳」のマチをLOHASに!

  • 2006年10月1日

Vol.7 北海道「千歳」のマチをLOHASに!

佐藤哲也(さとうてつや)さん

北海道「千歳」のマチをLOHAS に!

 「千歳」は北海道の中においては比較的財政が豊かである。北のゲートウェイとして空港および苫小牧港が近接することによって人・物の拠点として大企業の工場群があり、自衛隊の基地が3つあるため生活レベルが安定している。10万人足らずのマチにもかかわらず生活水準は札幌とほとんど同じといわれている。また、就職率99%を誇る科学技術大学があり、光技術を利用した産官学の連携活動も以前から行われている。日本で一番水質のよい支笏湖があり、そこから流れ出る千歳川はマチの中心部を流れ、秋口には大量のサケが遡上する。太古の自然と交通網、多くの企業が拠点として存在し、非常にバランスの取れたマチです。

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 LOHAS発祥の地、ボールダー研修において、「千歳」に少しでもLOHASを取り入れることが出来ないかとの思いで参加したという。オーガニックや低農薬・省農薬の商品を扱う店舗は千歳にもいくつかある。オーガニック石鹸ではないが、EM石鹸…つまり安全で水質汚染を防ぐ石鹸を昨年販売してみた。ヤギの乳やそれらを加工した商品を販売する牧場もある。また、マチの農業者が協働で無農薬野菜を定期的に販売する市場も存在する。
 しかしまだビジネスというにはあまりに小規模で、ネット販売等で利益を出している企業もあるようだが、全体から見れば非常にすくない。地産地消には、この類の商品を求める消費者(パイ)が小さすぎるのであろう。

 エコ、スロー、ロハス、時代とともに様々な言葉がメディアを通して私たちは知ることができる。地場のハウスメーカーが「LOHASの家」と銘うって住宅を販売しているのもその流れであろう。LOHASという言葉はボールダー市民よりも千歳市民のほうが知っているかもしれない。でも大きなビジネスにならない。

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 ボールダーと取り巻く環境や活動は極めて近いものが多いにもかかわらず、企業と消費者との循環がなぜ成り立たないかというと、全ては受動的でオリジナリティーに欠けているように見える。ボールダーの今日があるのは、そこに住む市民の志向と声が企業を変え、その声に応えるべく企業が参入してお互い好循環を作り出している。「自分の住むこのマチの豊かさと可能性を今一度再認識し、多くの人々に伝え、自分のビジネスに活かして生きたい」と佐藤さん。自分の体や生活、大切な家族を守っていくには、何を選び、何をすれば良いのか?真剣に考えることが、自分を取り巻く環境を便利に、そして豊かにするということをボールダー研修で実感したという。

「知りたい利用者」と「知ることが出来る環境」

 最近のマスコミを賑わす混ぜモノ温泉や循環型温泉、佐藤さんの経営する「いとう温泉」はその心配が殆どありません。湧出量は豊富で通常営業していく上で足りないということはありません。また、掘削(ボーリング等)で人工的に抽出した温泉ではなく自然に湧いたものを採取しています。湧出温度が47℃であるため各湯船に送っている間に冷めて、ちょうど良い湯加減(約41℃)となります。つまり、お湯そのものは、まったく手を加える必要がないのです。「天然100%かけ流し温泉」を手間なしに実現できる訳です。これを「生温泉」と名づけているそうだ。

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 温泉を提供する上で、様々な要素がバランスよく噛み合わないと「生温泉」は実現しない。泉質に拘るまえにお湯の「量」と「温度」が重要であり、湯温が適度である利点は豊富な湯量を湯船に注げることにある。つまり、沢山のお湯を注ぐことによって「かけ流す」量も多くなる。湯船のヨゴレも自然に排出される。循環機(ろ過・滅菌)を必要とせず、純粋な温泉を常に提供できるのです。

 高い温度の温泉は、熱交換などに使われ様々な利点を有しているが、こと入浴のみで考えると、中々厄介である。適温にするためには冷ます必要があり、大量の温泉を自然に冷ますには大きなタンクや設備が必要であり、泉質によっては酸化する場合がある。水を混ぜるわけにもいかない。一般的には少量の温泉を注ぎ、湯船の中で冷める=適温になるように設定する。そこで現れる弊害は注ぎ込むお湯が少ないために、湯船のヨゴレが流れ出にくくなる。その問題を解消するために循環装置でろ過・滅菌をするのである。そして、温度の低い「冷泉」はボイラーなどで温めなければならない。原油高(コスト面)から豊富な温泉の提供は難しくなる。

 日本には無数の温泉が存在する。手軽なレジャーとして人気だが、利用者にとってその内容については基準も曖昧でわかりにくい。地中から出たお湯がどのように運ばれてきて、どのように提供されているのか?もっと興味を持っていいのかもしれない。「私が伝えたいのは何が良くて何が悪いというのではなく、用途や場面、気分に合わせて選択するときに、温泉の内容を『知りたい利用者』と『知ることが出来る環境』が存在して欲しいのです。」と佐藤さん。そもそも温泉なんて汲みだすためのポンプと湯船があれば気軽に楽しめるといったシンプルなものであったはずですが・・・私たちの考えでは出来るだけ複雑な器具を使わず、採取したお湯は時間をかけずに湯船に運び、ありのままを味わって欲しいと思っています。

 自然のモノを自然なまま提供する事の難しさ、大変さがわかるお話しです。雪に閉ざされる冬は休業し、ゴールデンウィークあたりからの営業開始という厳しい自然条件での旅館の経営、それを超える自然の恵みはきっと佐藤さんを支笏湖にとどめる原動力なのだろう。LOHAS な休日を過ごすこれ以上のスポットは他にないような気がした。

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