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第24回 自由人 / 堀之内 健さん
世の中は可能性に満ち溢れている

  • 2011年10月6日

ボランティアとは

ボランティアは高齢化した被災者への貴い支援となりますが、自己の都合で活動を放棄し「ボランティアはアテにならない」とか受け手とボランテイアのニーズが一致しない、活動に熱心なあまり自分の「主義・主張」にこだわり、仲間割れ等が起こる等、実際の現場では課題も多かったと思いますが・・・ボランティアに参加しようと思ったきっかけは?

震災後の宮城県亘理町
震災後の宮城県亘理町
 今年の2月末に自己都合で会社を辞めており、転職活動中に3.11の東北大地震が起きました。最初はとても悲しくて、ご飯ものどを通りませんでした。でも、数日経ったある日、信頼できる情報筋から宮城で子どもが餓死しているという話を聞き、そこでスイッチが入りました。「私は何をやっているのだろうか。東京から400kmも離れていない東北で人が生死をさまよって苦しんでいるというのに、自分のために転職活動って。暫く自分の人生なんてどうでもいい。この震災のために自分の命を使おう」と思いました。自分一人でも東北に何かしら支援しに行こうと声をあげたところ、仲間ができ、その仲間と集って、物資を集めて被災地へ送ったり、被災地で泥出しや家掃除のボランティア活動をし始めました。

 

活動を終え、ボランティアセンターへ戻ってきたボランティアの方々

側溝の泥掻き
上:活動を終え、ボランティアセンターへ戻ってきたボランティアの方々。下:側溝の泥掻き(上下ともに宮城県亘理町にて)

 ボランティアには日本各地から色々な人が来ます。教師、コック、ガソリンスタンド店員、セールスマン、塾講師、エンジニア、大工、ダンサー、学生、フリーター、主婦などなど。肩書き一つとってみてもバラバラです。共通項は唯一つ、被災地のために何かをしたいという想いがあって、現地に来たというだけ。それ以外のバックグラウンドは全く異なるため、色々な話が聞けて、それが自分にとてもプラスに働いていると思います。

 ボランティアとは、作業して欲しいという人とボランティア活動したい人がいて、初めて成り立ちます。また、ボランティアは仕事ではないため、何をいつまでにどこまでしなくてはならないというノルマはありません。ただ、依頼者のことを考えるとなるべく早く作業完了してあげたいと思います。
 ボランティアも長いこと続けていると、リーダーをさせていただくことがあります。一緒に活動して、チームを纏める場合、指示する範囲がどこまでか迷います。ここまでやって欲しいけど、その人にはその人のペースもあり、その人のモチベーションもあり、体調を壊されても困るし、なかなか指示に戸惑います。お金を払って雇っているのであれば、何とでも言えるけど、そういうわけでもありません。
 そんな時、「ボランティアは仕事ではないけど、遊びでもない」ということに気がつきました。すなわち、仕事でなくても、ボランティアさせて頂くお宅の方や、ボランティア活動を依頼して頂いた方の気持ちは絶対に配慮すべきことだと。そのことに気付いたとき、何か自分の中で肩の荷が下りたような感覚になりました。

 ボランティアは自己満足だと思います。よく「被災者のため、依頼者のため」と言いますが、つい最近まで私もそれが一番で、それだけだと思っていました。しかし、それを一番に意識し過ぎて自分を犠牲にしていると歪みが生じ、長くは続きません。ボランティアに限らず、自己犠牲をし続けることは人間にはなかなかできないと思います。そして、自分のためにボランティアしていることに気が付きました。自己満足のためにやっていることが、人のためになるのであれば、これほど素晴らしいことはないと思います。それで人が喜んでくれるのであれば、それでいいと思います。作業終了後には必ず、「ボランティアさせて頂き、ありがとうございました」と感謝を伝えています。

 


人と人は繋がり無限に広がり自然に共鳴する。自然という偉大なものに見守られ私たちは生かされていることを知る

この旅から何を学び何を感じましたか? それがこれからの人生のどのような糧になりますか?

雄大なアマゾン川(ブラジル マナウスにて)
雄大なアマゾン川(ブラジル マナウスにて)

 自然は人に優しくしてくれることが多いと思います。人が生きるために必要な空気を提供しくれるし、空から日光や雨を注いでくれます。また、心を動かすような素晴らしい景色をみせてくれたりもします。タンザニアのザンジバル島で見た海は、今まで見たどの海よりもきれいでした。そのビーチで星空の下、海の魚を食べた時は本当に最高でした。アルゼンチンのイグアスの滝は壮大でしたし、アマゾンのジャングルの雄大さは計り知れなかったです。
 でも、自然は時に牙を向きます。それが3.11の東日本大震災しかり、昨今の台風です。自然の猛威の前には人間の力って、こんなにも無力なのかと思いました。3.11について言えば、宮城県沖で地震が起きた。ただ、その一瞬の出来事。それにより、津波や原発事故が引き起こり、たくさんの命が奪われ、傷つけられました。これは、現在進行形です。東北だけではなく、日本に住んでいる人の生活を変えました。代償はとても大きいと思います。でも、このことで日本人は変わったと思います。このままでは良くないとたくさんの人が動き出しました。「日本が好きだ」という声も聞くようになりました。私自身、二十歳ぐらいまで愛国心はほとんどなかったかもしれませんが、海外旅行したことを機に少しずつ日本のことが好きであることを気付いていきました。そして、世界一周した時に、「私は日本人なのだな」「日本っていい国なのだな」と思えるようになりました。

 私は世界一周する前に、1つのテーマと3つのルールを決めました。テーマは「人生楽しんでなんぼ」。「人生って、楽しんだ者勝ち。やりたくないことやっていても仕方ない。小さいことにくよくよしていても仕方ない。楽しいことをやりつくして、楽しんで楽しんで楽しんでやる」と思いました。決めたというか、自分の中から自然と湧いて出てきた言葉でした。
 ルールは、「1.命は大切に。2.迷った時は楽しい方。3.良いことは良い。ダメなことはダメ」の3つです。自分のルールを決めたことで、自分の日々の動き方に筋が一本通ったような気がしました。自分の中で、ここまでは譲歩できるけど、ここからは譲れないというエリアみたいなものができたからだと思います。例えば、ケニアのナイロビで自分が行こうと思っていたホテルが営業しているのに、営業していないと巧妙に騙された時は、騙された旅行会社のオフィスに一人乗り込んで苦情を言いに行きました(今思えば、これもいい経験でした)。また、自分が悪いと思ったら、必ず謝りました。このルールによって、我を通すことができましたし、世界一周を成し遂げられたのだと思います。

 

 

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