冬のおやつの定番「焼き芋」。スーパーに「さつまいも」が山積みになるこの季節は、おうちで焼き芋を楽しむ人も多いのでは。そんなとき「電子レンジ」で加熱をしていませんか? 「早くていい!」という声は少なくないのですが、実は発火の恐れも! 近年、「さつまいものレンチン」による火災が増加しており、東京消防庁も注意喚起をしています。
火を使わない調理器具であることから、安全なイメージがある電子レンジ。ましてや、身近な食材の「さつまいも」が出火を招くなんて…!
にわかには信じがたいですが、東京消防庁によると、近年、電子レンジが原因の火災が急増。なかでも、「さつまいも」の加熱中に出火したケースが増えているそう。
ちなみに令和4年は、加熱中の電子レンジから出火した火災は44件あり、そのうちの12件は、さつまいもを含む「いも類」が火種。「電子レンジで出火した食材」で最も多かったのが、「いも類」だったと報告されています。
マンションの隣人がボヤ騒ぎを起こし、その原因が「さつまいも」をレンチンしたことによるものだった、というケースも…。
なぜ、さつまいものレンチンで出火してしまうのでしょうか。その原因は「過剰加熱」。つまり、「加熱しすぎ」によるもの。特に、さつまいもなど水分が少なめの食材は、思いのほか短い時間で加熱が進むため、発火や発煙が起こりやすいようです。
東京消防庁の実験では、出力700Wの電子レンジで焼き芋(120g)を加熱した場合は6分26秒。生のさつまいも(170g)を加熱した場合は11分30秒で出火。つまり、たった10分前後の加熱で、出火が起こってしまうということ!
長めに加熱時間を設定したり、何度も追加で加熱したり……。ついやってしまいがちですが、実は、火災を招きかねない危険な行為。加熱時間には短めに設定し、その場から離れずに様子を見ながら温めることが大事です。
さつまいも以外にも、肉まんなどの冷凍食品、パン、バターなど油分の多い液体、てんぷらやフライなど衣のついた食品なども、発火しやすいので加熱しすぎは禁物。
また、アルミホイルや「電子レンジ料理不可」の容器や包装を加熱することも、絶対NG。火花が発生して、火災に至るケースが少なくないそうです。
電子レンジは料理をラクにしてくれる便利な調理器具ですが、使用方法を間違えると危険な事故を引き起こしかねません。
「火を使わないから大丈夫」と油断せず、適切な加熱時間や使用法をしっかり守ることが大事。また、お子さんがうっかり、危険性のあるものを温めてしまわないように注意することも必要ですね。
焼き芋は、少々時間がかかりますがオーブントースターでもおいしく作れます。オーブントースターの場合も、取扱説明書をよく読んで、安全な調理を心掛けましょう。
文/柿沼曜子 参考/東京消防庁HP