サイト内
ウェブ

Vol.169 僕らの活動も、少しずつではありますが、ちゃんと季節は巡っているようです。

  • 2015年4月16日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

卒業 僕は、相変わらず怒濤の20周年記念ツアーで全国をまわっていますが、その合間をぬって、学生たちと福島県の勿来(なこそ)というところに行ってきました。ウチのリーダーの紹介で慶應の先輩でもある人が誘ってくださったんですが、その人が懇意にしている方が校長を務めている勿来第二中学校の卒業式にお邪魔したんです。これは、じつは2年連続のことになるんですが、20人くらいのアカペラ合唱隊みたいな感じで、卒業生入場や卒業証書授与が行われるそれぞれ約20分の間歌い続け、さらには式に彩りを添える演目として2曲披露した後、卒業生が出て行く際に「スタンド・バイ・ミー」を延々歌いながらおくりだすという、なかなか濃い内容です。今年行くと、去年の1年生と2年生が2年生と3年生になっていて、彼らが去年のことを知ってるせいか今年は去年以上にうち解けた感じで、いっしょに写真を撮ったりするのもすごく盛り上がったし、「来年も来てくださいね」という話も出たりして。話のきっかけを作った校長先生が今年で引退されたので来年はどうなるかまだわからないんですが、来年は3月11日が卒業式だそうなんですよね。この話もいちばん元をたどれば、やはり震災がきっかけでできたつながりですから、他でもない3月11日ということであれば、ぜひまたお邪魔したいなと思ってるんですが…。ただ、その一方で、この中学校での交歓は被災地支援ということを抜きにして考えても、お互いに意味があるというか、楽しい時間が過ごせているんじゃないかという手応えもあります。一緒に行った学生はAWSのメンバーが中心ですが、そうじゃない学生も少なからずいたんです。そんな首都圏の大学生と福島の中学生が歌を通じてつながった。組織や大学の枠を超えてお互いに良さを感じられたことが単純に素敵だなと思うんですね。僕自身も、普段会わないような人と出会えたりして、すごく有意義な時間だったなと思います。例えば秋沢淳子さんというTBSの局アナの方が、スプートニクという団体の数人を率いていらしてたんですが、こういう出会いが今後につながっていくといいなということも感じました。

 それから、AWSの学生たちが女川中学校に行って活動していることはこの連載でも何度かご紹介しましたが、そのプロジェクトのメンバーからのレポートで、今年卒業生のなかにAWSの活動にすごく共感してくれた子がいる、と。で、支部長みたいなことをやらせてほしいということを言っているということだったんですが、その彼が休みを利用して東京に遊びに来てたんですよ。AWSのつながりで知り合った学生が東京のライブハウスでやってるライブに飛び入りで参加するために来たっていう。なかなかすごい話でしょ(笑)。そういうふうに、つながりがつながりを生んでいくというのが面白いなあと思うんです。僕も彼に会って、その「支部長をやりたい」話もあらためて聞きました。彼は石巻にある高校に行くということなので、「高校生活が落ち着いてきたら、また改めて考えてみようか」と言いました。もちろん、その子が、新生活が始まってもそういう生活を続けていけるようにサポートしていきたいなと思っています。彼からも、また新しいつながりがきっと生まれていきますからね。

 陽気はすっかり暖かくなって紛れもなく春ですが、僕らの活動も種まき段階から、やっと芽吹くような話でも出てきたかなっていう感じがしています。僕自身のなかでも、こういう出来事がまた新しい種まきの原動力になっていくんですよね。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。