サイト内
ウェブ

スイカ、メロン、マクワウリ栽培のやり方とコツを解説!

  • 2023年7月8日
  • NUKUMORE

おいしさと甘さに感動!スイカ、メロン、マクワウリ、それぞれの野菜の性格を知って栽培に活かしましょう。いずれもウリ科の野菜です。植えつけ適期を選び、水はけや風通しなどの栽培環境を整えて、甘く、おいしい実を収穫しましょう!

YD24_p34_main_1_1688448368

スイカ、メロン、マクワウリとは(特徴)

いずれも野菜の中ではもっとも高温性です。多湿、多雨を嫌い、乾燥地を好みます。水はけがよく、日の当たりのいい場所を選んで栽培するのが基本です。

「スイカ」

YD24_p35_map_1_1688448441 ウリ科
●原産地はアフリカのサハラ砂漠周辺
●暑いのが好き、寒いのは苦手
●多湿・多雨は苦手
●肥料が多いとツルボケ

「メロン」

YD24_p35_map_2_1688448458 ウリ科
●原産地はインドのインダス渓谷あたり、そこから西に伝播した西洋系メロン
●暑いのが好き、寒いのはとくに嫌い
●多湿・多雨は苦手で雨よけが必要
●肥料が多いとツルボケ。根が弱い

「マクワウリ」

YD24_p35_map_3_1688448491 ウリ科
●原産地はインドのインダス渓谷あたり、そこから東に伝播した東洋系メロン
●暑いのが好き、寒いのはとくに嫌い
●多湿・多雨はやや苦手
●肥料が多いとツルボケ

基本:〝ネギ鞍つき〟に苗を植えて根を強く育てる

スイカはウリ科の中では唯一、直根を持っている

スイカの原産地はアフリカのサハラ砂漠周辺です。非常に乾燥した痩せた土地ですが、スイカは雨期がくると発芽して、やがて乾期に実をつくってタネを残します。

キュウリをはじめウリ科の特徴は“浅根”ですが、じつは、スイカだけは太い直根を持ち、側根も深く張ります。どうしてでしょう?
スイカの原産地は水はけがいい砂漠です。雨期が終わるとたちまち乾燥し、土の表層には水がなくなってしまいます。そんな環境のもと、スイカは根を深く張ることで地下の水分を吸っているのです。

スイカを植えるときには、根の張り方に着目して畝を用意すると、育ちががぜんよくなります。おすすめは“ネギ鞍つき”です。
苗を植える1か月くらい前にネギ鞍つきを用意しておくと、ネギの根と微生物の活動によって土が団粒化し、水はけと水持ちが向上し、同時に病原菌も抑えられます。

メロンとマクワウリも湿気と多雨を嫌い、乾燥を好みます。スイカと似た性格をしています。

日本の夏は雨が多く、それぞれの原産地とは気候がまったく異なります。湿気が多いと根腐れや病気が心配です。水はけが悪い畑では、明渠や点穴をつくるなどして、水が滞留するのを防ぐが工夫が必要になります。 メロンとマクワウリは同郷どちらも寒がり屋

メロンの原産地は諸説ありますが、インドの砂漠周辺が有力のようです。気候の特徴は高温と乾燥。雨が降るときと降らないときがはっきり分かれています。
インドから中近東へ、そしてヨーロッパへと西に伝播したメロンは、品種改良が重ねられて、網目のある「西洋系メロン」となりました。

一方、中国に伝わったメロンはマクワウリなどの「東洋系メロン」となり、日本でも弥生時代の遺跡からタネが見つかっています。
マクワウリは、日本でも古くから栽培されてきた野菜で、各地に“ご当地マクワウリ”があります。三者の中で育てやすいのはマクワウリです。

西洋系メロンは、日本からヨーロッパに向かってどんどん遠ざかりながら進化したわけですから、日本での栽培は難易度が高いのもうなずけます。

ちなみに、メロンは、温室メロン、ハウスメロン、マクワ型メロン、マクワウリに大別されます。
温室メロンは表皮に網がついた高級ネットメロンです。ハウスメロンには、ネット系とノーネット系があります。家庭菜園でよくつくられているメロンで、多くの品種があります。読者アンケートでは「アンデス」「ムーンライト」「ころたん」が人気でした。
マクワ型メロンはとても栽培しやすく家庭菜園向きで、代表は「プリンスメロン」です。

メロンもマクワウリも高温性の野菜です。栽培初期に寒さにあうと苗がいじけてしまい、うまくいきません。また、多湿を嫌いますから、スイカ同様、畝はネギ鞍つきが有効です。メロンは雨に弱いため、ビニールトンネルやハウス内で雨を避けて育てます。 ネギ鞍つきにスイカを定植

ネギ鞍つきは、竹内孝功さんが推奨する、土づくりを兼ねた畝。水はけと水持ちがよく、生物活性が高いのが特徴です。
苗を植えつける位置に、少量の有機物(完熟堆肥など)を埋めて土をマウンド状に盛り上げ、ネギの苗をてっぺんに植えておきます。1か月程したら苗を植えます。 YD24_p36_map_1_1688448729 YD24_p37_map_1_1688448734 メロンには雨よけの工夫が必要です。露地の家庭菜園では、ビニールで屋根を設置する方法がおすすめです。これで梅雨を乗り切ります。スイカも、株元に雨よけを設置しておくと育ちがよくなります。 YD24_p37_map_2_1688448749 編集部の畑のスイカ栽培。高畝に白黒マルチを張り、植えつけ場所に穴を掘り、枯草を仕込んでいるところです。 YD24_p37_map_3_1688448758 枯草に土をかぶせて埋め、スイカの苗を植えます。おいしいスイカが採れました。 YD24_p37_map_4_1688448770

01 スイカのラクラク放任栽培

ネギ鞍つきに植える+整枝作業なし!甘くておいしい実を〝ほぼスイカ任せ〟でつくる!

1. ネギ鞍つきを用意する

畝幅100~120cmのスペースを用意し、株間100cmでスイカを植えます。
植えつけの1か月前〝ネギ鞍つき”を用意します。苗を植える場所に深さ30cmの穴を掘り、完熟堆肥を埋め、土を寄せて高さ10cmくらいのマウンド状にします。てっぺんにネギの苗を2本さしておきます。完熟堆肥の量は、小玉スイカなら1握り、大玉スイカなら1握り半です。
ネギ鞍つきのねらいは、土の団粒化を促すことです。完熟堆肥は窒素分が薄めのものを利用します。完熟牛ふん堆肥、または腐葉土を使うなら米ぬかを少しだけ混ぜて使います。
窒素が余計に効くとスイカはツルボケしますから、有機栽培を続けている肥沃な畑なら完熟堆肥は不要です。枯れたエノコログサなどの雑草を埋めてネギ鞍つきをつくるのもおすすめです。 ネギ鞍つきにスイカの苗を定植
ネギをあらかじめ植えておくことで、土づくりが自然に進んでいます。おかげで、スイカの苗はスムーズに根を伸ばして行けます。まず直根を地下に下ろし、続いて側根を横方向に伸ばしていきます。ネギ効果で、つる割れ病などの病害のリスクが下がるのもメリットです。 YD24_p38_map_1_1688448941

2. 本葉4~5枚の苗を植える

苗の定植は中間地なら5月上旬が目安です。ネギ鞍つきのネギをいったん抜き、植え穴を掘ります。植え穴の底にネギの根を広げるようにして置いたら、スイカの根鉢をおさめ、土を寄せて隙間を埋めます。
鞍つき畝に植えたスイカは直根を深く伸ばし、その後、側根を深く広く張っていきます。

3. 周囲に草マルチ

苗を植えたら周囲を草マルチで覆います。地面が少し見える程度に草を敷きます。また、株周りには草マルチをせず、土が見えるようにあけておきます。土に光をあてて、根の周りの土を温めたいからです。
このとき2握りの米ぬかを草マルチに上に薄く振ります。このひと手間でスイカがちょっと甘くなります。 ツルが伸びる先に草を生やす
敷きワラや草マルチで、ツルを伸ばすスペースをカバーします。草やムギ類の緑肥作物を生やしておくのもおすすめ。スイカは巻きヒゲでワラや草をつかみながら、ツルをグングン伸ばします。 YD24_p39_map_1_1688448995

4. 親ヅルの摘芯はしない

摘芯せずに親ヅルを伸ばします。やがて子ヅルが伸びだしたら、親ヅルと同じ方向に誘引します。
一般的な栽培では、本葉5枚くらいで親ヅルを摘芯して子ヅル3本を伸ばしますが、摘芯はあえて行いません。
摘芯をしなければ、根が強く張るので低栄養の畑でもしっかりスイカは育ちます。
大量の堆肥や肥料を入れ、整枝、摘芯、摘果をきちんとこなして樹勢をコントロールする方法は、難しいです。 親ヅルは摘芯しない
一般的な栽培法では、写真のように親ヅルの先端を切って子ヅルの発生を促します。けれども、今回おすすめするのは、親ヅルを摘芯せず、親ヅルの根も生かして育てる方法です。自然に発生する子ヅルも伸ばしていきます。肥料を与える栽培法ではないので、過繁茂して困ることはありません。 YD24_p39_map_4_1688449128

5. オクラを混植

5月下旬~6月上旬に畝の肩側にオクラのタネをまきます。ともにアフリカ出身のスイカとオクラの混植です。スイカの葉が畝をカバーして畝が乾燥しにくく、やわらかいオクラが採れます。

6. メンテナンス

スイカの1番果は小さいうちに摘果します。親ヅルと子ヅルが同じ方向に向かって伸びるよう手助けし、ツルが伸びる先に草マルチを追加しておきます。追肥はしません。あとは、ほぼ放任で育てます。

7. スイカを収穫

1番果のほかは摘果をせずに放任で育てたため、いくつ実が採れるかはスイカ任せです。
親ヅルについた実は大きく育ちます。子ヅルにつく実はそれなりです。サイズはバラバラですが、出荷が目的ではないのでよしとします。品種によりますが、着果してから小玉は約40日目、大玉は約50日目が収穫の目安です。味は抜群です。 敷きワラ代わりにヨシズ
100円ショップで買ったヨシズを敷きワラとして利用している例です。ビニールの屋根はスイカ栽培では必須ではありませんが、掛けておくと大雨が降っても安心です。なお、雑草抑えのためにヨシズの下には防草シートを敷いておきました。編集部の畑で。 YD24_p39_map_2_1688449089 YD24_p39_map_3_1688449093

02 メロンの雨よけ栽培

生育初期の保温+雨よけトンネル!後半からは放任で高糖度メロンを採る

1. ネギ鞍つきを用意する

畝幅100cmのスペースを用意し、株間80cmでメロンを植えます。
植えつけの1か月前に〝ネギ鞍つき”を用意します。完熟堆肥を埋める穴は深さ20cmにします。メロンはスイカほど根を深く張りませんから20cmがちょうどいい深さです。
1握り半の完熟堆肥を埋めたら土を寄せ、高さ10cmくらいのマウンド状にして、ネギの苗を2本さしておきます。 ビニールの雨よけ
弾性ポールと透明ビニールを利用して、簡易雨よけを設置。株元全体をカバーしてメロンの育ちを助けます。右の写真は、植えつけ直後の様子。あんどんで苗を囲んで保温します。風よけ、ウリハムシよけになり、生育が促進されます。株数が多い場合は、不織布のトンネルで畝全体を覆うやり方がおすすめです。 YD24_p40_map_1_1688449290 YD24_p40_map_2_1688449360

2. 本葉3~4枚の苗を植える

メロンの苗の定植は、中間地なら5月中旬~6月上旬を目安にします。
スイカは5月の連休頃に植えられますが、メロンは少々遅め。最低気温が18度になるのを待ってから植えます。うっかり早植えして寒さでもたついていると、害虫や病原菌に付け込まれてしまいます。同郷のマクワウリも早植えは厳禁です。ちなみに、スイカの原産地は砂漠ですが、砂漠は夜間に気温が下がります。そのためスイカは意外と寒さには強いのです。
メロンは本葉3~4枚の若苗を植えることも大事なポイントです。メロンの場合、老化苗では十中八九うまくいきません。
メロンは根の酸素欲求度が高いので、植え穴をやや浅めに掘って、根鉢の肩部分が1cmくらい出るよう、浅植えします。植えたら、肩部分に土を寄せておきます。
スイカとマクワウリは根が強いので、通常の植え方をします。

3. 周囲に草マルチ

スイカ同様に、苗を植えたら周囲を草マルチで覆い、2握りの米ぬかを草マルチに上に薄く振りまきます。

4. 本葉5枚で親ヅルを摘芯

メロンはスイカと違って、親ヅルにも子ヅルにも実がつきません。実がつくのは孫ヅルです。
そこでまず、本葉5枚くらいで親ヅルを摘芯します。やがて子ヅルが元気に伸び出します。元気な子ヅル3本を伸ばして育てます。
そのとき、苗が弱々しく、生育が悪いと感じたら、本葉7枚まで待ってから摘芯します。摘芯を遅らせると、その間に根が伸びて樹勢が強まります。様子を見て、強い子ヅルが発生しているのを確認したら、親ヅルを摘芯します。これで安心です。
子ヅルが同じ方向に向かって伸びるよう手助けし、ツルが伸びる先に草マルチを追加しておきます。追肥はしません。あとは、ほぼ放任で育てます。 摘芯作業は、ハサミでツルの先端を切ります。親ヅルは本葉5枚目のとき、子ヅルは本葉25枚目のときです。 YD24_p41_map_1_1688449347

5. 子ヅルを本葉25枚で摘芯

さらに、子ヅルが伸びたら本葉25枚くらいで摘芯すると、養分を孫ヅルに集中させることができます。

6. 摘果はしない

一般的な栽培法では、1ツルにつく実を1~2個に絞るために摘果作業をします。ですが、この栽培法では摘果しなくて構いません。結果的に、困るほど多くの雌花はつかないからです。

7. ミニヒマワリを混植

メロンの株間にミニヒマワリのタネをまきます。花が咲くとアブやハチが集まり、メロンの受粉を助けてくれます。また、ミニヒマワリを育てるとセンチュウ防除になります。メロンとひまわりの根が菌根菌ネットワークで結ばれて生育がよくなります。 受粉はアブやハチにお任せですが、人工授粉をすると確実。メロンは両性花。やわらかい筆でなぞって授粉します。 YD24_p41_map_2_1688449456

8. メロンを収穫

甘い香りがし、ヘタに離層ができたり、お尻が固くなってきたりしたら収穫。収穫後、1週間おいてから食べるとおいしいです。 着果して肥大期に入ったメロン「サンライズ」。スイカやカボチャなどの栽培に使う「座布団」を実の下に敷くときれいな球に仕上がります。
YD24_p41_map_3_1688449494

03 マクワウリののんびり栽培

遅めの定植+親ヅル摘芯+ほぼ放任!定植を急がず、あとはマクワウリにお任せ YD24_p42_map_1_1688449544 YD24_p42_map_2_1688449549

1. ネギ鞍つきを用意する

畝幅100cmのスペースを用意し、株間80cmでマクワウリを植えます。
植えつけの1か月前に〝ネギ鞍つき”を用意します。完熟堆肥を埋める穴は深さ20cmにします。
完熟堆肥は1握りが目安ですが、有機の野菜づくりを続けている畑では不要です。スイカの場合同様、ネギだけを利用して畝をつくります。

2. 本葉4~5枚の苗を植える

マクワウリの苗の定植は、中間地なら5月中旬~6月上旬が目安です。
マクワウリは原産地がメロンと一緒。定植適期もメロンと同じで、スイカよりもやや遅めがおすすめです。
葉4~5枚の苗を植えます。メロンのような浅植えではなく、通常の植え方をします。スイカとマクワウリは根が強いです。

3. 周囲に草マルチ

スイカ同様に、苗を植えたら周囲を草マルチで覆い、2握りの米ぬかを草マルチに上に薄く振りまきます。
マクワウリには雨よけは不要です。インドからアジアに入ってきたため、雨はそれほど苦手ではありません。したがって雨よけは不要です。

4. 本葉5枚で親ヅルを摘心

マクワウリは、親ヅルにも子ヅルにも実がつきません。実がつくのは孫ヅルです。本葉5枚くらいで親ヅルを摘心します。子ヅルの摘芯はせず、あとは放任栽培をします。

5. マクワウリを収穫

巻きヒゲが枯れ、ヘタの周りに丸くヒビが入ったら収穫。収穫後、1週間おいてから食べるとおいしいです。

スイカ、メロン、マクワウリの畝パターン

YD24_p43_map_1_1688449639

「マクワウリ×エンバク」

●マクワウリを畝の西側にやや寄せて1列に植え、東側にエンバクをスジまきします。ネギ鞍つきをつくったら、同時にエンバクのタネをまきます。
●マクワウリは東に向かってツルを伸ばします。
●エンバクには、風よけ、水はけ向上、センチュウ抑え天敵力の増強など、メリットが多いです。連作障害が出にくくなります。エンバクのおかげで、マクワウリがうどんこ病にかかりにくくなります。
●エンバクのほか、陸稲(おかぼ)も相性がいいです。

「スイカ×オクラ」

●スイカを畝の西側にやや寄せて1列に植え、東側にオクラとエダマメを交互に点まきします。日陰にならないよう、また、風通しも考え、オクラとエダマメの間は50cm離して植えます。
●スイカは東側に向かってツルを伸ばします。
●スイカの株間にミニヒマワリをまきます。菌根菌ネットワークで、スイカにリン酸が供給されます。センチュウ抑え、受粉花としても役立ちます。
●マリーゴールドはセンチュウ抑え、天敵力の増強、受粉花としても役立ちます。

「メロン×ヒマワリ」

●メロンを畝の西側にやや寄せて1列に植え、東側にエダマメを株間50cmで点まきします。
●メロンは東側に向かってツルを伸ばします。
●スイカ同様、メロンの株間にミニヒマワリをまきます。菌根菌ネットワークで、メロンにリン酸が供給されます。センチュウ抑え、受粉花としても役立ちます。
●マリーゴールドはセンチュウ抑え、天敵力の増強、受粉花としても役立ちます。

野菜作りにまつわる情報をもっと知りたい方におすすめ!

「野菜だより2023年5月初夏号」では、今回紹介した野菜以外にもたくさんの家庭菜園の情報を、わかりやすく丁寧に紹介しております! YD24_book_1688449835

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。