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Vol.163 面白法人カヤックCEO、柳澤大輔氏との対話その1

  • 2015年1月22日

 あけましておめでとうございます。ゴスペラーズの北山陽一です。今年もよろしくお願いします。

面白法人カヤックHP
面白法人カヤックHP
 さて今回は、というか、今回から3回にわたって、昨年末に予告した通り、面白法人カヤックCEO、柳澤大輔さんとの対談を紹介します。カヤックという会社に対する僕の興味は昨年末に書きましたが、それだけでなくやはりカヤックという会社の有り様をある程度知ってから読んでもらったほうが対談の内容はわかりやすいと思うので、カヤックのHP(http://www.kayac.com/)を先にぜひ一度ご覧になってみてください。そのHPを見るだけでも、“カヤックって月並みな会社とはどうも違うみたいだな”ということは感じてもらえると思います。

 あらかじめの準備ということで言うと、フォーシーズンズと比較しながらゴスペラーズのグループとしてのあり方の特徴について紹介したvol.160も再読してもらえると、ゴスペラーズとカヤックの共通点がすごくよくわかると思います。

 というわけで、まずは「すごく共通しているところがあるように思うんだけど…」という、僕の投げかけから対談は始まりました。

柳澤:僕らも友達3人でやってるから、バンドに例えて考えることはよくあります。カヤックは創業からもう16年やってるんですけど、友達同士で会社を作ると、続けている間にたいていケンカ別れすることになるので、そういう人達が「秘訣は何ですか?」みたいなことを相談しに来るんです。でも、その答は「たまたま」ですよね(笑)。方向性は必ず変わるので。ゴスペラーズも、たまたまそういう5人が集まったのでは、と僕は思ってます。会社の場合は、会社という器を必ず残す方向に進むから、そこはバンドとは少し違うところだと思いますけど。カヤックも3人で始めたものの、もはや会社がパブリックな存在になっているので、今は僕らの思いよりも器としての会社を優先しています。だから3人のうち一人でも会社の成長スピードについていけなくなったら代表を降りて交代するというぐらいに、お互い厳しく覚悟を持ってやっています。ただ今は幸いなことに、お互い会社とともに成長できているのでやれているということだと認識しています。そして、たまたま3人の方向性が同じで、会社を大きくしようと思ったタイミングもいっしょだったっていう。
北山:方向転換の時期が来たときにも、たまたま同じ方向を向いていた、ということですか。
柳澤:そうそう。ゴスペラーズも、例えばメンバーのなかに違う売り方をしたいという人がいれば違った形になってるかもしれないけど、でも今はたまたま“このままの考え方とペースでやっていけばいいよね”というところで一致してるからうまくいってる。そういう認識です。最初からそんなことは話し合ってないでしょうし。だから、続けていく上で意識的にやれることがあるとすれば、毎週コミュニケーションをとることくらいでしょうね。それで、頭の中をシンクロさせるっていう。こっちがこういうことに興味を持ってるとしたら、他の二人も興味を持つように話して巻き込んでいくというか。
北山:それは、3人が最小公倍数的につながっていられるようにするということだと思うんですけど、誰かが興味を持ったものを他の二人に投げかけて巻き込むということに関して、そのウェイトは3人がだいたい同じくらいなんですか。それとも誰かがイニシアティブを持ってやってるんですか。
柳澤:3人がだいたい均等ですね。その結果として、それぞれが取り組んでいる事業は微妙にズレてるんです。地域活動は僕しか興味がないから二人は関わってないし。ゲーム事業については、一人が以前からすごくゲームに参入したかったということで、そこに二人が賛同したという感じだし。そういうふうに細かい点では微妙にズレているんだけれど、“会社をこういうふうに大きくしていきたい”というところでは一致しているから、個々には興味のないことでも乗っかれるんです。表面的なところではいろいろ興味が分かれていたりもするんだけど、何か根っこの部分が3人いっしょなんでしょうね。
北山:音楽の世界でも、こういう話をして了解し合える人というのはほとんどいないんです。方向性が違った場合には、メンバーが誠実だと解散という形を選ぶけれど、でもある程度ビッグネームになってしまうと、中心メンバーだけ残して他を入れ替える、みたいなケースも多いですよね。事情はいろいろあるんですけど。そういうなかで、同じメンバーで15年、20年続くというのは、ありていに言えば、本当にたまたまなんですよね(笑)。
柳澤:(笑)。「会社を大きくする」というところでたまたま一致したという話をもう少し詳しく説明すると、「大きく」というのもひとつの選択肢に過ぎないので、「大きくじゃない」ところでまとまる場合もあると思うんです。いくつかある選択肢のなかから「大きくする」ことで一致したんだけれど、でもこの先ずっと一致するかはわからない。どこまで規模を大きくすればいいんだ、という話もまた別だし、今後はまた違った方向に興味が向いていくかもしれないということもあるし。そのなかで、一人のリーダーに他の人間が従っていく「リーダー型」ではなくて、カヤックみたいな「同級生型」で一致し続けるために努力できることがあるとしたら、例えば3人それぞれ違う事業をやっていたとしても、3人でやる変わらない部分だけは残して、それ以外を各々で広げていくという形なんでしょうね。で、最も核の部分、ウチで言えばカヤックという会社の経営ということになりますが、そこに各々がやっていることがちゃんと還ってきてるということが重要で、だからこそお互いの領域を侵さないという構造であるような気がしますね。
北山:ウ〜ン…、想像していた以上にすごく重なる部分があるということに、僕はちょっと衝撃を受けてます(笑)。

(つづく)

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