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このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。

第77回 脱・使い捨て、リユース容器でごみを削減〜マイボトル、リユースカップの取り組み

  • 2010年6月10日

特集/「リユース」の時代がやってきた 脱・使い捨て、リユース容器でごみを削減〜マイボトル、リユースカップの取り組み
地球・人間環境フォーラム 天野路子

マイボトルで2杯目のインフラ整備

 リユースのさまざま取り組みが私たちの生活に身近なものとなりつつある。2009年5月に発表されたミツカンによるオフィスの飲料事情調査を見ると、オフィスにマイボトルでマイドリンクを持参している20代の男性は2人に1人いることが明らかとなるなど、リユースの中でも各個人が好きなボトルを持ち、好きな飲み物を入れて持ち歩く「マイボトル」「マイカップ」の普及が進んでいる。
 こうしたマイボトル派の人たちを悩ますのが、飲み物を入れたマイボトルの中身を全部飲み切ってしまった後にのどが渇く場合どうするかということだ。缶やペットボトルに入った飲み物は自動販売機やコンビニなど多くの場所で簡単に手に入るが、結局容器のごみを出してしまう。中身の飲み物だけをなかなか購入できない現状を改善し、マイボトル派の人たちをさらに増やそうと、飲料を提供する側のインフラ整備が進んでいる。
 ごみ・環境ビジョン21の主催で開催された「容器包装削減!活動交流会2009」(10月24日開催)では、水筒を持つ運動、お水を提供するIDO STATION(給水機)、お茶屋さんによる給茶スポット、中身の飲料だけを販売するコンビニなどの先進的な取り組みが紹介された(詳細は3〜7ページを参照)。
 2009年10月には、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市からなる八都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会による「八都県市はマイボトル宣言」と題した、マイボトル推進運動が行われた。八都県市域内で計1,671店舗のコーヒーショップ等が参加し、利用者が持参したマイボトルに飲み物の販売を行った。参加事業者の一つ、スターバックスコーヒーでは、10月1日〜11月3日の間、お店にマイカップを持参すると50円引きにしたところ、のべ約101万6,500人が利用し、約12万2,000kgの二酸化炭素(CO2)を排出抑制したと報告している。非常に好評であったため、12月25日まで延長して実施される。
 このようにマイカップを保有する人が増加し、さらに受け入れるお店も増加するという好循環が起こっている。

オフィスでもリユースカップ

リユースカップ  マイボトルを持ち歩いていない人もすべて巻き込んでリユースの仕組みに参加してもらうには、リユースカップが効果的だ。
 東京都港区にある日本オラクルでは今年の8月からリユースカップを導入している。もともと無料で給茶機やコーヒーサーバーが紙コップとセットでドリンクコーナーに備え付けられ、社員が利用していたが、毎日4,000個程度の紙コップのごみが出ていた。それを何とかしようと、リユースカップを導入し、1ヵ月に430kg排出されていたごみを削減できた。
 リユースカップの仕組みは、使用した後は回収して、洗浄施設に輸送し、まとめて洗浄・乾燥した後に再使用するため、給湯設備や、食器洗浄機などが設置されていない場所でも導入することが可能である。一方で、リユースカップの特性として、いかに効率的に輸送・洗浄・乾燥・保管できるかが重視される。
 地球・人間環境フォーラムに事務局を置くリユース食器ネットワークでは、これまでに各団体が保有していた共通リユースカップを三井物産環境基金の助成を受けて、大幅に改良した。原料をなるべく使用しないように、かつ再使用できる十分な強度を持つほどの厚さにし、洗浄・乾燥しやすいように底の内部を丸くした。同時に、外側の底面についても丸みを持たせ、頭部等に当たっても傷を負わないように配慮した。たくさんのカップを効率よく輸送するためにかさばらず、かつ通気性をよくする工夫も施された。さらに、市販のフタが取り付けられる構造にし、フタつきでなければ販売できないような場所でも導入できるようになった(写真)。
 2003年に初めて日本のサッカー場で導入されたリユースカップはドイツから輸入したカップを利用していたが、その後、日本発のリユースカップが独自の発展を遂げて拡大している。同じものを大事に長く繰り返し使うリユースが、一過性のブームではなく、一人ひとりのライフスタイルとして着実に定着するように、今後もリユースの取り組みがさらに拡大することを期待している。

(グローバルネット:2009年12月号より)


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