1月にSamsung(サムスン)が発表したスマートフォンGalaxy S25シリーズ。現在予約受付中で、発売日は2月14日、バレンタインデーです。
一足先にシリーズ最高位機種であるGalaxy S25 Ultraを、米Gizmodo編集部がレビュー。これを没個性と捉えるか、全方位的にニーズに応えた2025年版スマホと捉えるか…。
以下、レビュー翻訳です。
今のガジェット界の主役といえばAI。だけど、だんだんとんでもないことになっている気もして…。
Galaxy S25が発表されたSamsungのイベントGalaxy Unpackedは、どことなくPixel 9が発表されたGoogle(グーグル)のイベントをリピートしている気がしました。
どちらもAndroid端末なので、類似点があるのは当然。とはいえ、発表される機能に既視感がね…。OSの親であるGoogleとしては、SamsungのAndroid端末は最も出来がいい子どもなのでしょうが、今年はその「出来のよさ」にあたる部分が、AIにコミットされまくっています。だからどうしても似ちゃう。
Galaxy S25 Ultraを見た最初の感想は、「今までは角ってかなり角だったんだな」ということ。そう、デザイン変更で今回から角が丸っこくなったのです。
丸っこくなって、初めて過去の角っぷりが際立ったというね。これはPixel 9 ProやiPhone 16 Proと外観デザインが似てきたということで、Galaxy Ultraの個性が失われたと見ることもできます。一方で基本モデルやGalaxy Z Fold 6と角丸が同じになったことで、全体的な統一感が出たともいえます。
絶対触れなくてはいけないのが、軽くなったこと。15g減でシリーズ最軽量を実現。また、ベゼルも前モデルより薄くなっています。付録のスタイラスペンSペンもスリム化して軽量化に貢献。そのためにBluetooth接続をなくすという潔さ。
Image: Adriano Contreras - Gizmodo US軽くなったことで、同時に持ちやすくなったと感じました。Galaxy S23/S24 Ultraでは、明らかにずっしり感があり、片手でタイピングやSNSチェックするのは手がしんどかったです。S25 Ultraは軽量化で、それがかなり軽減されています。
ただ、端末が大きいことに変わりはないので、手のサイズによってはツルっと落とすリスクは健在。背面のチタンもさらっとしてるのは好きだけど、その分滑りやすい。落とす話でいえば、リアカメラが縦一列でサイドにあるので、重さのバランス的にも落としやすい気がしています(これは前からだけどね)。
6.9インチのQuad HD+ Dynamic AMOLED 2Xディスプレイは、Galaxy S25 Ultraの購買理由のトップに来てもいいやつ。非常に明るく、太陽光の下でも見やすいです。
Gorilla Glass Armor 2で傷がつきにくく、バッグの中に無造作に入れて、1週間過ごしても傷1つなし。リュックに入れて登山して、頂上で写真撮った日もあったけど傷1つなし。もう少し長く使ってもGalaxy Ringみたいに傷がつかなければいいのだけど。ただ、高額端末なので、私が個人使用するなら絶対ケースつけますね。
Image: Adriano Contreras - Gizmodo USAndroid端末では、GoogleもOnePlusもMotorolaも背面の磁石導入はまだです。だからこそ、Galaxy S25 Ultraに先陣切ってほしかったのですが叶わず。つまり、ワイヤレス充電規格のQi2は未対応であり、AppleのMagSafe系アクセサリーも使えないということ。
スマホのカメラ性能って、もうピーク近くにありません?
AppleもGoogleもSamsungもみんな登りきった感じ。マイナーアプデはあるものの、大きなカメラアプデ時代は終わった気がしています。これはこれでいいことであり、新しい端末リリースで1つ前のスマホを買うという選択肢がさらにアリになります。
S25 Ultraのカメラスペックは、超広角50MP、広角200MP(日本語だと2億画素というパンチのある言い方に)、望遠50MP/10MP。フロントカメラが12MP。
唯一前モデルのS24 Ultraからアプデしたのは、超広角(S24 Ultraは12MP)。夕焼けなど景色を撮りたいなって人はアプデもアリ。
以下iPhone 16 Proとの比較。
Galaxy S25 Ultra
Image: Florence Ion - Gizmodo USiPhone 16 Pro
Image: Florence Ion - Gizmodo USズームアルゴリズムが強化されたとのことですが、10倍ではS24 Ultraとの差をあまり感じませんでした。ちなみにS24 Ultraから継続で、ズームは光学3倍・5倍ズーム、光学相当2倍・10倍ズーム、最大100倍のデジタルズームあり。撮影はズームが命という人は、前モデルも最新モデルも向いてます。
カメラアルゴリズムでいうと、ライバルたちと比べてコントラストと彩度が強いのがSamsungの特徴。
以下Pixel 9 Proとの比較。
Galaxy S25 Ultra
Image: Florence Ion - Gizmodo US Image: Florence Ion - Gizmodo USPixel 9 Pro
Image: Florence Ion - Gizmodo US Image: Florence Ion - Gizmodo US高フレームレートで動画撮影したい人は、基本のGalaxy S25モデルではなく、高位機種のS25 Ultraがよし。4K動画を最大120fpsで撮影可能です(S25基本モデルは60fps)。また8K撮影は最大30fpsで可能。Log撮影可能なのでポスト編集もしやすく。
あえてないものに触れるなら、高画質のマクロです。
Image: Adriano Contreras - Gizmodo USちょい前のモデル(S22/ S23)ならばカメラが主役でしたが、S25 Ultraの主役はもちろんAI機能。AIのためにどれだけパフォーマンスを上げられるかが勝負です。
プロセッサーは、Samsung向けにチューンナップされたQualcomm(クアルコム)のSnapdragon 8 Elite for Galaxy。メモリは12GB。YouTube見まくろうが、かこって検索しまくろうが、フリーズすることはありません。Samsungに限らず、スマホのメモリを増やす傾向は、使い勝手の向上だけでなく長期使用にも耐えるので大歓迎。
バッテリーは5,000mAh。動画再生しまくる編集部のテストがまだ終わっていないのですが、前モデルと同じ24時間は最低でも持ってもらわないとお話になりませんね。
かこって検索や音声消しゴムなど、Google AI機能はもちろん、Samsung独自の「Personal Data Engine」がユーザーに合わせて情報をカスタマイズ。新機能である「Now Brief」はこれが可能にしています。まぁ、今すぐ便利かという話はまた別として。
ただ、今回Samsungがアピールしているのは、AIのクロスアプリ対応。これは何かというと、1つのアプリ内ではなく、複数アプリを跨いでタスクをこなせるほど賢いよという話。
例えばウェブ検索した情報を、カレンダーに予定として追加してくれるとか。ちなみに発表会のデモ会場で試したけど、残念ながらこれ上手くいきませんでした。プロンプトが複雑になると失敗も多くなります。
ほかにもGalaxy Note時代からある機能が、名前を変えてAIリブランディングされたAL Select(動画でも使えるかこって検索ぽいやつ)、写真にお絵描きで追加できるDrawing Assist、画像編集生成機能のGenerative Editなどがあり。Google、Samsungそれぞれから似た機能が出ているので、端末によってどちらが自分が使いやすいかという話。
これらの機能は、より直感的かつ関連づけて検索ができることがメリットですが、そのために今すぐ端末を買い替えるほどの魅力はありません。
Galaxy S25 UltraはAndroid端末ですが、そのAndroidにSamsungのOSであるOne UI 7の層が乗っている状態。この層の部分が、Samsung端末を使う理由になるかどうかです。
今回のアプデで、全体的に見やすく使いやすいUIになっています。ですが、例えば通知の色味が見づらいなど、好き嫌いは個人差あり。
Image: Florence Ion - Gizmodo US端末の主役になっているのは、やはりAIの新たな機能です。
AIをどう思うかのディスカッションは、キリがないので横に置くとして、画像生成や動画からアイテムを検索してみるなど、いわゆる企業がアピールする機能はAIをすでに使ってみています。
それを踏まえると、Galaxy S25 Ultraにはもう少し個々のユーザーに向けたAIカスタマイズ性が欲しかったかも。つまり、GoogleのPixel 9 ProにはないSamsung独自のAI機能で、かつそれが日々の暮らしで使えるものならよかったなと。もしかしたら「Now Brief 」がそれだったのかもしれませんが、だとしたらクオリティが足りていません。
Samsungの試行錯誤は伝わるので、いっそiPhoneからの乗り換えユーザーには魅力が効きそう。ただ、同じAndroidのPixelから乗り換えを促すのは難しいかな。また、S23/S24 Ultraを使っているSamsungユーザーにも、絶対的な端末買い替えのメリットや魅力はないかもしれません。
…ワイヤレス充電の磁石(Qi2)欲しかったなあ。
いいところ:大きくて反射しづらいディスプレイ、軽量化されたフレーム、高画質&超ワイドなカメラ
残念なところ:カメラのアプデが期待以下、AI関連も期待以下、ワイヤレス充電の磁石ない
「ギズモード・ジャパンのテック教室」