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フランスでは、現在、昔ながらの手法で作られたパンが大流行中。パリジャンたちも、保存料などの食物添加剤は一切加えられていない、ナチュラルで、しかも美味しいパンに首ったけ。大量生産できない一種のスローフードでありながらも、チェーン展開で飛ぶように売れているパン。こんなパン・ブームの先駆けとなったパン屋さん2つをご紹介しましょう。 |
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最近、雨後のたけのこのようにニョキニョキと増えているのが、 「ポール」という高級感とレトロ感の漂うパン屋さん。TGV鉄道の駅のキオスクや、市役所の前などにもスタンドを出し、次々と新店舗をオープンさせています。フランスの週刊誌『ヌーベル・オブセルヴァトゥール』誌では「パリジャンは、ポール中毒!」というヘッディングの記事を載せていました。それだけ、パリジャンも、プロヴァンショー(地方の人)も、ポールのパンに夢中です。 このパン屋さんは、内装も、ロゴも、ユニフォームも、すべてフランスの昔ながらの雰囲気を保つようにデザインされています。店員さんたちも全員真っ白なトック帽を被っていて清潔感に溢れています。 このパン屋さんの創業は、1889年。もとは、クロワ(リール周辺の小さな町)にあった小さなパン屋さんだったのですが、これをフランシス・ホルダーというパン職人(現在の社長さん)が買い取り、チェーン店として展開していき、現在に至りました。今では、日本にも名古屋、東京、大阪などに6店支店を持っています。 |
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ポールのパンは、フランス国内で、一時間に平均13000本売れている。 フランス国内は、全部で234店。そのうちの72件がレストランがついた施設になっている。 パリでは31件、海外では26件を数える。 2003年には国内で20件、海外は2006年までに15件の開店を予定中。 ポールを経営するフランシス・ホルダー氏は、「マカロン」などで有名な、パリの伝統ある洋菓子店『La duree(ラ・デュレ)』を1992年に買収している。 |
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こちらは、「ポール」のライヴァル店。「ル・フルニ・ドゥ・ピエール」というお店の名前は、「ピエールの製パン室」という意味。こちらも、ポール同様、チェーン展開系スローパン屋さんです。毎日、パン職人が、選りすぐった小麦粉やシリアルを使い、昔ながらのレシピに従ってパンを作っています。お店のコンセプトは、「L'esprit
de la boulangerie traditionnelle」。つまり、「伝統的なパン屋のエスプリ」。 お店も、レンガなどを使って昔風にしています。ポールと似たようなコンセプトですが、多少ピエールのほうが、デザイン的には野暮ったい感じです。ポールが、高級仕出しサービスやレストランなどの、パン屋さんを超えた展開をしているのに対し、ピエールの方はあくまでも職人的なパン屋さんという枠を固く守っているようです。 「サンドイッチが美味しい」という消費者の声を良く聞きます。 |
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この、ル・フルニ・ドゥ・ピエールは、パリには8件あります。ル・フルニ・ドゥ・ピエールの創業は、実は割と新しく、1980年。実は、パリに捨てて掃くほど多くあるデニッシュ専門店「ブリオッシュ・ドレ」の姉妹店なのです。この系列の企業DUFFは、4200人のサラリーマンを持ち、現在503店を展開、パン工場は5つ持っている大きな会社です。 |
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今の時点では、店鋪数から見ても、知名度から見ても、ポールのほうが上回っているようです。ピエールのパンも美味しいのですが、ポールのパンは、まず小麦を育てる段階から徹底的な配慮がされています。小麦には、従来の小麦に比べて収穫率がたったの30%の「Farine
T55 Champs Remy」を使用していることがポイントです。ポールのパンは一見高いように思えますが、こうしたコストを考慮すれば決して高いものだとは言えないのです。 また、ポールを運営するフランシス・ホルダーさんは、60代のフランス人ですが、パリで最もハイプなセレクトショップ「コレット」が好きで、しばしば足を運んでいるそうです。「新しいものが好き」という彼の感性が、「コレット」で育まれているとは驚きです。 フュージョン料理、ワールド・キュイジーヌなどの流行で、フランス料理のアイデンティティーがますます希薄になっている今だからこそ、フランス料理の原点であるパンが注目されているのかもしれません。 |