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「コミュニティデザインで考える『エコとエネのバランスした社会』」第35回 エコ×エネ・カフェ

  • 2020年12月17日
  • 緑のgoo編集部

もしエコ×エネ改革担当大臣が新設されたら、企業と大学に何を義務付けますか?

西:
今回はみなさんが同じ土俵でワイワイ喋れるように、軽めの楽しいテーマを設けました。

「あなたは、新設のエコ×エネ改革担当大臣の大臣秘書官政策ブレーンに就任しました。大臣は就任一発目の改革案として、企業や大学へのある取り組みを呼びかけたいと思っていますが、政策ブレーンのあなただったら何を提案しますか?」
これについて、話し合っていただきたいと思います。

まずは個人でアイディを考えてもらう時間をとります。その後グループに分かれてそれぞれの意見や考え方の違いを共有してもらい、グループとしての案を決めてください。アイディアに込めた理由も共有してもらいたいと思います。
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たとえば、2020年7月から始まったレジ袋有料義務を例にすると、廃棄物抑制に対して大きなインパクトはなかったとしても「意識を改革するためみんなで今すぐにやれることを優先する」という意味では一番最初の義務化としては有効だといえますよね。そんな風に、アイディアとその理由を書いてください。

僕は「企業や大学の保有する車の3台に1台は電気自動車を義務化」というアイディアを書きました。そして「電気自動車の急加速化」「インフラ整備に向けた新たな事業が生まれ景気を刺激」「まちに電気自動車が増えることによるプロモーション効果」という3つの理由をあげました。

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西さんからの話のあと、参加者は小グループ(小部屋)に分かれ、各自で考えたアイディアを出し合っての対話を行いました。各グループからは次のようなアイディアが出ました。

・大学向け政策は、電気のないところに毎年2泊3日の合宿義務化。企業向け政策は、電力小売事業の新規立ち上げの支援金制度整備や使用電力の発電所明確義務化

「スマホが当たり前の今、情報に対して使われるエネルギーはとても大きいです。オンライン化が進むwithコロナ時代、エネルギーはあって当然だと思われていますが、本来エネルギーはサービスです。電力のない山奥を経験することで、電気やエネルギーのありがたさを痛感することが重要と考えました。また、自分が使っている電気がどこでどのようにつくられているかを意識することで、エネルギーやCO2の排出などにも関心が向きます。地方の特性を生かした自然エネルギーの電力を売る電力小売事業が増え、身近なところでつくられた電力を使ったり、電気を自給することができるようになればエネルギーへの愛着が増し、地方の活性化になります」
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・3年間の地方移住義務化

「自分の住んでいる地域以外の地方に最低3年間移住することで、実際に暮らしてみないとわからない地域の課題を把握することができます。過疎化も防止できますし、移住やリモートワークの促進にもなります。グループのメンバーがそれぞれ違う地域から参加していて、自然災害や経済的な問題など、それぞれの地域の課題が違うということからこの案が出ました。近い案で、山奥での体験を義務化するというアイディアも出ました」
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・エネルギーと環境教育の必修化

「環境への知識を高め意識を上げるためには、若いうちから体験を通じて教育することが大切なので、産官学が連携してエネルギーと環境教育に取り組む必要があると思います。具体的には、学習用水田、水辺の学校、発電所での体験学習、見学などのアイディアが出ました。グループに、ふゆみずたんぼ(冬期湛水。収穫の終わった冬の期間にも水をはる農法。それにより微生物や藻が発生し、多様な生き物が集まる豊かな水田になる)をCSRとしてやっている方がいて、子どもがとても興味を持ってくれるというお話が印象的だったので、自分の目で見て考える機会をぜひ必修化したいと考えました」
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・ごみの排出量可視化

「メンバー4人中3人から出てきたキーワードが『可視化』でした。学校や企業の電気の使用量や消費エネルギーを可視化すれば、同業との比較もできるし無駄な消費を減らすことにつながります。ごみの量を可視化して意識することにより、ごみが減るだけでなくごみ処理の方々への感謝が生まれます。地域でごみを出すのは1件に1袋という政策をしたところあきらかにごみが減ったという経験をしたメンバーがいて、ごみの可視化はとても有効だという話になりました」
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・1日1万歩歩行義務化

「歩くことで自動車移動が減りCO2の排出を抑えられるなどの環境面だけでなく、健康面でも良いことがたくさんあります。義務化することで『忙しい』の言い訳をできなくさせます。飴と鞭作戦で、厳しく指導する鬼教官がいたり、1万歩達成すると買い物で使えるポイントがもらえたり学食のご飯が大盛りになったりするシステムがあると楽しいと思いました。学校や企業だけでなく地域を巻き込めれば、ポイント目当てに歩くお年寄りが増え医療費削減にもつながると思います」
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・自転車レーン整備や置き場の設置

「自転車移動が増えればCO2の削減ができ、満員電車などの問題も解決できますが、そのためには道路整備が必要です。withコロナ時代で自転車が増えましたが、道路や置き場などの整備が追いついておらず事故も増えてきています。天候に左右されない地下道があったり、自転車専用道路があると良いなと思いました」
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この他にも、
・ガソリン車の相乗り義務化
・自販機の廃止
・景観を損ねる無秩序なソーラーパネル設置禁止
・深夜0時以降は電気を止めて睡眠を促す、深夜営業の禁止
・年1回のごみ拾い義務化
・エコ×エネ体験プロジェクトへの参加義務化
など、バラエティに富んだアイディアが出されました。
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西:
たくさんのアイディアが出ましたが「体験、体感」に関するものが多かったように思います。それから教育や見学、明確化と可視化など「目の当たりにする、目を背けない」というメッセージが印象的でした。扱う問題は違っても、この2つのキーワードが大きく浮かび上がってきました。
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本日は限られた時間でしたが、本来コミュニティデザインというのは、年単位の時間をかけて回を重ねて合意形成をはかっていくものです。

今回のように、「ちょっとずらしたお題」を介した会話からお互いを理解し合い、一緒にやっていくための信頼関係を築くチームビルディングを何回も行います。みんなで話し合ったことを家に持ち帰り、個人で落とし込んで、またみんなで考える。この繰り返しです。

話し合いの場で自分の知識を伝えてスッキリして終わりではなく、僕たちはきちんと動かすこと、しっかりと企画して実行することを重要視しています。みなさんも今日の案を自分の大学や会社に導入しようとすると何がリアルな課題になるのかを丁寧に思い描いていただければと思います。

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