おいしいスイーツと紅茶を静かに楽しむ、自分だけの隠れ家にしたくなるような素敵なお店を見つけました。
神戸市の東端、JR神戸線・甲南山手駅から南に歩くこと、約5分。行き止まりになる路地の中程に立つ一軒家のサロン・ド・テ。その名も「アヴィニョンのりゅう」。曲がり角に置かれた足元の小さな看板を見逃さないようにしてください。
1階はフラワーショップ。左手を奥に進み、階段を上がってドアを開けると、昼間も照明を落とし落ち着いた雰囲気が漂う空間。華やかなフラワーアレンジメントが飾られ、壁には動物の骨のオブジェ。不思議な物語の世界に迷い込んだかのよう。
オススメのメニューは「アフタヌーンティー」のクッキースコーンがついたフルセット。
まず、セイボリー(食事)のプレートとポットサービスの紅茶が運ばれてきます。どっしりとしたシルバーのカトラリー。イギリス・バーレイのプレート、カップ&ソーサー。クラシカルな柄のプレートには、いろいろな野菜を使ったお料理の数々。野菜それぞれの風味が楽しめます。
セイボリーを食べ終えると、華やかなスイーツがのったシルバーのスタンドが登場。様々なお菓子とフルーツ、エディブルフラワー、ハーブが、絵を描くように盛り付けられており、心が躍ります。当日に焼かれたクッキースコーンは別皿に。
ケーキやクッキー、マカロンなどの焼き菓子からギモーヴ、パフェやソルベまで、いろいろ、たくさん。あれこれ迷いながら食べ進めれば、それぞれの食感や味わいにずっと感動です。
アフタヌーンティーは予約が必要ですが、ブランチプレートやデザートプレートだけなら、当日の注文でもOKとのこと。
デザートプレートは、ゆっくりスイーツを楽しみたいおやつタイムにぴったり。ブランチプレートは、グラスワインで楽しむのもいい。
「グラスショートパフェ」は、その時々でフルーツや焼き菓子が変わるのはもちろん、北海道産生クリームの配合も変えているのだそう。食べやすくてすっきりとした後口のパフェです。
スウェーデンの紅茶がチョイスされているのがとても珍しい。フレーバーティーを選んでも、上品でナチュラルな香り。お料理にもお菓子にも合い、それぞれの風味を引き立てます。
「パンも自家製です」と、お料理やお菓子を作り、盛り付けも一人でこなすシェフ・高本(こうもと)真司さん。「おいしく食べて、健康でいてほしい。材料にはこだわっています」。パンはもちろん、お菓子にも北海道産小麦粉を使用。「野菜やハーブは自家栽培のものや父が作るジャガイモやニンジン、ダイコンなども使います」とにっこり。
高本さんは、ホテルやイタリア料理店、ケーキ店やパンの店で働き、2024年3月に自店をオープン。
ちょっと不思議な店名は、2人がお好きなスイスの絵本「アビニョンのりゅう」から。フラワーアーティストとして活動を始めた奥様・惠子さんが、ひと足先に「アヴィニョンのりゅう」を名乗り、サロン・ド・テの1階はそのアトリエ。フラワーレッスンが行われることもあるとか。華やかで秘密めいた、不思議なお店です。
「体に負担のかからないものを、おいしく食べるには」とずっと考えていた高本さん。「デザートプレートは、全部食べてちょうどいいボリューム。食べきれなければ、クッキースコーンをお持ち帰りいただく(笑)」。お店でのイベントに、グラタンを出したりもしたそう。
惠子さんと共にクリスマスやバレンタイン、3月にはミモザのイベントを行い、4月末には「スズランイベント」を開催。「イベントでは、パスタなど温かいお料理もお出ししますよ」と微笑みます。
「美しさは常に意識しています。美しいと感じていただけるよう、おいしかったと言ってもらえるように作っています。スイーツと紅茶で、華やぎのあるひと時を過ごしていただければと思います」
1階フラワーショップの一角には、シェフ特製のコンフィチュール、焼き菓子、クッキースコーンなどが並んでいます。おうちに持ち帰り、おやつタイムに華を咲かせましょう。
アヴィニョンのりゅう
所在地 兵庫県神戸市東灘区本庄町2-8-4
電話番号 090-9113-6115
営業時間 11:00〜18:00
定休日 不定休
Instagram @avignon.salon.de.the
※アフタヌーンティーは要予約
文・撮影=そおだよおこ