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「グリーン開発メカニズム」 詳細解説

読み:
ぐりーんかいはつめかにずむ
英名:
Green Development Mechanism(GDM)

グリーン開発メカニズム(GDM)は、生物多様性を保全する資金を確保するための国際的な資金メカニズムだ。地球温暖化対策の一手法であるCDM(クリーン開発メカニズム)に似た名前だが、まったく違う。生物多様性は、食糧や原料・燃料、遺伝子資源などさまざまな恩恵を私たち人間に与えてくれる。また、地球規模での大気・水の循環や気候の安定化など、さまざまな形で生態系サービスを支えている。しかし近年、人間による開発や都市化などの影響を受けて、先進国などで野生生物の生息環境が奪われて種の絶滅が進行し、生態系が破壊されつつある。

こうした生物多様性の喪失に歯止めをかけるため、生物多様性条約などの国際的な枠組みが整えられた。一方で、先進国の多くで環境破壊が進んだ結果、地球上の生物多様性のほとんどがいわゆる開発途上国の地域に偏在しており、途上国における生物多様性の保全が急務となっている。しかし、ほとんどの途上国はその保全コストを負うことができず、従来の制度的、経済的な支援だけでは生物多様性の喪失に対応できなくなりつつある。とはいうものの、新たな規制を伴う国際的な枠組みをすぐにつくるのは難しい。

このため、途上国における生物多様性を保全する資金を確保するメカニズムとして期待されているのがGDMだ。GDMは市場メカニズムを活用することによって、先進国など生物多様性の需要側と、主に途上国から成る供給側の間で継続的に資金移転を行うことを目指す。これに近い仕組みとして、地球環境ファシリティ(GEF)のようなプロジェクトベースの資金供給や、保護地域の設定などがすでにある。しかし、途上国の生物多様性を保全していくためには、より長期的かつ大規模な資金供給の枠組みが必要であるという認識から、GDMへの期待が高まっている。

GDMについては、2009年2月にオランダ・アムステルダムで専門家ワークショップが開催され、GDMが正式に提唱された。GDMの必要性は、同年11月にインドネシアのジャカルタで開催された「生物多様性と企業に関する会議」で採択された「ジャカルタ憲章」にも盛り込まれた。しかし、2010年10月に名古屋市で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、GDMに関する国際的な取り決めは行われなかった。

GDMに関する国際的な論点としては、売買可能な保全義務や、国際支援による生物多様性オフセット、生物多様性供給メカニズムによる生物多様性フットプリント課税、商品輸入のグリーン化などがある。

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