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「新しい公共」 詳細解説

読み:
あたらしいこうきょう
英名:
New Public

公共とは、広く社会一般や、公衆(市民)が共有することなどを指す言葉だ。「新しい公共」は、社会や人を支える役割を、市民や地域社会が担うとともに、こうした取り組みを社会全体で応援しようという新しい価値観のこと。2009年10月、鳩山首相は国会で行った所信表明演説で、「人と人が支え合い、役に立ち合う『新しい公共』の概念を目指したい」と述べた。その背景には、従来は主に行政などの「官」に、社会づくりや人を支える役割がまかされてきたことへの反省がある。政府がすべての社会的課題を解決するのではなく、NPOや社会起業家など市場性のみにとらわれない主体が、公共性の高いソーシャルビジネスを行うことで、「小さな政府・大きな公共」の実現を目指す。

こうした方針を受けて、2010年1月に「新しい公共」円卓会議が内閣府に設置された。同会議は、「新しい公共」という考え方とその展望を社会全体へ浸透させるとともに、社会が目指すべき方向性とそれを実現させる制度や政策のあり方などを話し合うことを目的としている。メンバーは、学者やNPO関係者、社会起業家、アーティストなど約20名。また、内閣総理大臣と副総理、内閣官房長官、内閣府特命担当大臣(「新しい公共」担当)のほか、必要に応じて関係大臣なども出席する。

「新しい公共」の対象となる分野は、環境、まちづくり、教育・子育て、防犯・防災、医療・福祉など多岐にわたる。各分野で活動する人たちの取り組みを支援していくためには、解決すべき多くの課題がある。たとえば、NPOの活動をさらに拡大させるには、寄付税制などの抜本的な改正が不可欠だ。また、日本ではまだ担い手が不足しているため、各種法人制度を見直して「社会事業法人」というべき新たな法人格をつくることも必要となる。このほかにも、NPOバンクなど金融面での支援や、コミュニティマネーによる地域活性化、社会的責任投資の促進など、さまざまな支援策が求められている。

一方、同会議の検討課題で注目されるのが、「居場所と出番」プロジェクトだ。社会には、あらゆる人が本音で話せる「居場所」と、活動できる「出番」が必要であるという考え方で、やはり前出の所信表明演説で提案された。具体的には、1) 地域で支える学校、2) 障害者の社会参加を促すチャレンジドショップ、3) CSRの促進、4) 環境への取り組み、5) 海外への災害チーム派遣などの国際貢献、6) 定年退職者など「眠れる能力」の活用、7) ソーシャルベンチャープログラム、8) 地域における「居場所と出番」づくり、9) NPOなどさまざまな主体による政策形成の場づくり、10) 非営利活動を促進する「寄付推進機構」や「新社会創造基金」の設置―などが想定されている。

同会議ではこうしたテーマについて話し合いを進め、2010年5月中にとりまとめを行う予定だ。

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