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「皇居」 詳細解説

読み:
こうきょ
英名:
The Imperial Palace

皇居とはもともと「みやこ」を意味し、天皇の住居がある場所を呼ぶ言葉だ。わが国では古代においては天皇が代わるたびに場所を変えていたが、694年に藤原京が現在の奈良県橿原市(かしはらし)にできて以来、都城として定められるようになった。その後、平城京などを経て平安京に遷都されてから明治維新まで、皇居は京都に置かれていた。しかし、明治元年に元徳川幕府の居城だった江戸城に移され、平成の世に至る。

現在の皇居は東京都千代田区にあり、面積は約115haで同区の約2割を占める。敷地内には天皇皇后両陛下の住居である御所のほか、さまざまな行事を行う宮殿、宮内庁関係庁舎、紅葉山御養蚕所などの建物がある。都心にありながら美しい自然と景観に恵まれた皇居には、多くの生物がいる。国立科学博物館の調査によると、3600種を超える動物と1300種以上の植物が記録され、多くの新種や絶滅危惧種なども見つかった。このように皇居には豊かな生態系が残されており、生物多様性保全の見地からも得難い空間となっている。

皇居の一部または周辺には、公園として整備され一般の人も入れる場所がある。皇居外苑と東御苑、そして北の丸地区だ。皇居外苑は、旧皇室苑地の一部が1949年に国民公園として開放されたところだ。面積は皇居とほぼ同じ約115ヘクタールに及び、二重橋のある皇居前広場を中心とした外苑地区と、皇居の北側にある北の丸地区、12のお濠が取り巻く外周地区に分けられる。お濠やその周辺では、四季を通じてさまざまな鳥や植物を目にすることができる。外周は1周5kmほどで、ランニングコースとしても人気だ。

1969年に公開された北の丸地区は、旧近衛連隊跡地を森林公園として整備した公園だ。環境省によると、北の丸公園では60種近くの鳥類や700種以上の植物をはじめ、多種多様な生物が確認されている。また、園内には太陽光パネルやLED外灯などの環境配慮設備が多くあり、人工浮島による水辺生物の環境づくりも行われている。同地区内には国立近代美術館や科学技術館、武道館などの施設もある。

一方、皇居東御苑は、旧江戸城の本丸と二の丸、三の丸の一部が庭園として整備された場所で、1968年に公開された。春夏秋冬それぞれの花や草木を楽しむことができ、陸域と水域の両方で多くの渡り鳥や留鳥を観察することができる。

近年、アオコによるお濠の水質悪化や、ブルーギルをはじめとする外来種が侵入して問題になっている。貴重な皇居と周辺施設の環境を守るため、環境省が中心となって千鳥ヶ淵などで自然再生に取り組んでいる。

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