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「カブトムシ・クワガタ」 詳細解説

読み:
かぶとむし・くわがた
英名:
Beetle and Stag Beetle

カブトムシとクワガタムシ(クワガタ)は、いずれもコウチュウ目に属する大型の昆虫だ。北海道から九州まで日本全土に生息し、体は黒や茶をしていて硬く、カブトムシはコガネムシ科に、クワガタはクワガタムシ科に分類される。成虫は樹液などをなめて生活し、幼虫はカブトムシが腐葉土を、クワガタは朽木などを食べて成長する。カブトムシのオスは頭から長くて大きい角が生えている姿が戦国時代の兜に似ていることが、クワガタのオスには角のように伸びた一対の大あごがあり同じく兜の前面にある鍬形(くわがた)に似ていることが、名前の由来だ。

こうした特長をもつカブトムシ・クワガタは古くから人気があり、夏休みに捕まえて飼ったりふ化させたりする子どもたちは多い。また、マンガやアニメ・特撮、ゲームのキャラクターなどにも用いられている。日本にはミヤマクワガタやノコギリクワガタなど、約30種類のクワガタがいる。一方、世界には熱帯地方を中心にカブトムシが約1300種類、クワガタは約1200種類もいる。このような外国産のカブトムシ・クワガタは体や角が大きく、変わった形の角をもつものが多いため人気が高い。

外国産のカブトムシ・クワガタは日本国内でも多く流通しており、その総数は年間で100万頭を超えている。これに伴い、これらのカブトムシ・クワガタが野外に放たれて、さまざまな問題を引き起こすのではないかと心配されている。かつては日本の四季に順応できず、冬を越せないといわれていたが、最近は熱帯産の昆虫でも日本の気候に適応し、何年か生きるものがいるという指摘もある。実際に大阪府茨木市では、タイワンオオクワガタの幼虫が屋外で確認された。地球温暖化の影響で日本の気候が亜熱帯に近くなれば、この傾向に拍車がかかるだろう。

環境省は、外国産のカブトムシ・クワガタが日本の自然環境に与える悪影響として次の3点をあげている。1) 国内産のカブトムシ・クワガタの餌や住みかを奪う、2) ダニなどを通じて病気を媒介する危険がある、3) 日本のカブトムシ・クワガタがもつ本来の遺伝子が失われるおそれがある。しかし、コウチュウ目の昆虫のうち、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」で飼育などが禁止される特定外来生物に指定されているのは一部のコガネムシだけだ。

ただし、要注意外来生物としてクワガタ(全種)とハナムグリの一種が指定されており、個人や事業者などに対して適切な取り扱いについての理解と協力が求められることとなっている。外国産のカブトムシ・クワガタなどの昆虫による被害の拡大を防ぐためにも、飼育に関するマナーの向上は欠かせない。気軽に飼育・購入して飼えなくなったら捨ててしまうようなことのないように、輸入販売業者による正しい飼育方法の普及啓発などが必要だろう。

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