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「特定外来生物」 詳細解説

読み:
とくていがいらいせいぶつ
英名:
Invasive Alien Species

外来生物は、もとからは国内のある地域にいなかったが、人間の活動などにより海外から入ってきた生物だ。オオクチバス(ブラックバス)やカミツキガメのように日本固有の生物(在来生物)よりも強い繁殖力や生命力を持つものが多く、生態系や農林水産業、人の生命・身体などに被害を与える場合もある。その被害を防止するため、2004年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)が制定された。外来生物法は、生態系や人間に被害を及ぼす侵略的な外来生物(Invasive Alien Species)を特定外来生物として指定し、その飼養(飼うこと)や栽培、保管、運搬、輸入などの取り扱いを規制している。特定外来生物は生きているものに限られるが、個体だけでなく、卵や種子、器官なども含まれる。

特定外来生物には次のようなものがある(2007年10月現在、それぞれ例外あり)。
哺乳類:フクロギツネ、ハリネズミ、タイワンザル、カニクイザル、アカゲザル、ヌートリア、クリハラリス(タイワンリス)、タイリクモモンガ、トウブハイイロリス、キタリス、マスクラット、アライグマ、カニクイアライグマ、アメリカミンク、ジャワマングース、アキシスジカ、シカ属、ダマシカ、シフゾウ、キョンなど。 鳥類:ガビチョウ、カオジロガビチョウ、カオグロガビチョウ、ソウシチョウなど。 爬虫類:カミツキガメ、アノリス・アングスティケプス、グリーンアノール、ブラウンアノール、ミナミオオガシラ、ミナミオオガシラ、タイワンスジオ、タイワンハブなど。 両生類:オオヒキガエル、キューバズツキガエル、コキーコヤスガエル、ウシガエル、シロアゴガエルなど。 魚類:チャネルキャットフィッシュ、ノーザンパイク、マスキーパイク、カダヤシ、ブルーギル、コクチバス、オオクチバス、ストライプトバス、ホワイトバス、ヨーロピアンパーチ、パイクパーチ、ケツギョ、コウライケツギョなど。 クモ・サソリ類:キョクトウサソリ、ジョウゴグモやイトグモの一種、ハイイロゴケグモ、セアカゴケグモ、ジュウサンボシゴケグモ、クロゴケグモなど。 甲殻類:ザリガニやアメリカザリガニの一種、ミナミザリガニの一種、モクズガニの一種など。 昆虫類:コガネムシの一種、ミツバチの一種(セイヨウオオマルハナバチなど) 、アリの一種(ヒアリ、アルゼンチンアリなど)。 軟体動物等:イガイの一種、カワホトトギスの一種、その他。 植物:オオキンケイギク、ミズヒマワリ、オオハンゴンソウ、ナルトサワギク、オオカワヂシャ、ナガエツルノゲイトウ、ブラジルチドメグサ、アレチウリ、オオフサモ、スパルティナ・アングリカ、ボタンウキクサ、アゾラ・クリスタータなど。

外来生物法は、1) 定義など、2) 特定外来生物の取り扱いに関する規制、3) 特定外来生物の防除、4) 未判定外来生物、5) その他罰則など、について定めている。未判定外来生物とは、海外産でも、被害を及ぼす疑いがあるかどうかがよく分からない外来生物のことで、輸入前に主務大臣(環境大臣、場合により農林水産大臣)に届け出る必要がある。大臣が影響を及ぼすおそれがないと判断すれば規制はかからないが、特定外来生物に指定されれば輸入などが規制される。外来生物の判定は、実際には税関で行われることになり、外見だけでは見分けがつかない生物もいる。こうした生物については、外国の政府機関などが発行した種類名証明書が添付されていないと輸入できない。

特定外来生物に指定されると、飼育、栽培、保管、運搬などが原則禁止される。ただし、研究などを目的として、生物が逃げ出さないように適正に管理された条件下など、特別な場合は許可される。また、許可を受けた者以外が輸入したり、野外へ放ったり、植えたりしてはいけない。さらに、飼養の許可を受けていても、許可のない者に特定外来生物を譲り渡したり、引き渡したり、販売したりしてはならない。ただし、特定外来生物を野外で捕まえて持ち帰ってはいけないが、釣りのキャッチアンドリリースのようにその場ですぐに放せば問題ない。外来生物法の規制に違反して特定外来生物の輸入・販売や飼育行為を行うと、最大で懲役3年以下か300万円以下の罰金(個人)や、1億円以下の罰金(法人)が科せられる。

また、特定外来生物による被害がすでに生じているか、生じるおそれがある場合は、必要に応じて特定外来生物の防除を行うことができる。防除は、地方自治体や、主務大臣の認定を受けたNPOなどが行い、国が防除を行う場合は、原因を引き起こした者に防除費用が請求されることもある。環境省による防除実施計画としては、2007年現在、ジャワマングース(沖縄島北部地域、鹿児島県奄美大島)や、オオヒキガエル(沖縄県八重山地域)などがある。一方、最近、海外で両生類を絶滅の危機に陥れているカエルツボカビを保菌したカエルが日本で見つかるなど、外来生物による間接的な生態系への影響も明らかになりつつあり、さらなる対策が求められている。

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