屋根などに太陽光発電システムを備えた住宅の「ソーラーハウス」が、日本全国で続々と建設されている。既存住宅の屋根にソーラーパネルを載せてソーラーハウスにした家屋も多い。2012年7月に開始された固定価格買取制度(FIT)の効果により、非住宅だけでなく住宅向け太陽光発電システムの容量も増えた。屋根で昼間につくった電気について、自宅で使うだけではなく余った分を電力会社に売る「売電」がしやすくなった。環境負荷の徹底削減を目指すエコハウスの中でも急成長している分野だ。アクティブソーラーハウスとも呼ばれる。
太陽光発電には、中小規模で分散導入がしやすい、系統負担が少ないなどのメリットがある。太陽光発電協会の試算によると、一世帯当たりの年間消費電力量を5650kWh/年とすると、4kWの太陽光システムを設置すれば約7割をまかなうことができる。もちろん太陽が出ている時間帯しか発電することはできないが、雨や曇りの日には足りない分の電気を電力会社から購入すればよく、いつでも使用することができる。また、設置にかかる経費を補助する支援制度もある。
政府は、2008年に閣議決定した「低炭素社会づくり行動計画」において、2030年に太陽光発電の設備容量が2005年比で約40倍になると想定した。2014年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」の中でも、普及を後押しする方針を示している。産業界ではハウスメーカーや家電メーカーなど、多くの企業が太陽光発電を装備した住宅や関連機器を開発し、販売している。現在ではほとんどの住宅にソーラーパネルを後付けすることができる架台や工法が開発され、保守管理のサービスも充実している。
その集大成といえるのが、出力10kWを超えるソーラーパネルを搭載した大容量のソーラーハウスだ。FITでは、出力10kW未満のシステムでは自己消費した余りの電力しか売ることができない。しかし、10kW以上のシステムを搭載していれば発電した全量を売ることができる。また、10kW未満では10年の買取期間が10kW超のソーラーハウスでは倍の20年となり、設備費の償却期間が短くなる。
これまで太陽光発電には、発電コストがやや高いことや、出力が不安定であるといったデメリットがあると指摘されてきた。大容量のソーラーハウスをはじめとする新たな技術やシステムの開発により、市民参加型のエネルギーマネジメントが実現に近づいている。非常用電源として利用できるシステムも増えており、災害など非常時の対策としても有効だ。