A: 国連食糧農業機関(FAO)が世界農業遺産(GIAHS)の認定を行っている目的は、世界中にあるすぐれた農法を守り共有することで、農業や生物資源を持続可能な手法で管理し、活用していく基盤を築くことだ。古くから地域に伝えられてきた伝統文化を活用しながら資源の持続的な利用を図ることで、世界的に重要な農業上の土地利用、景観、生物多様性などの保全を目指す。それだけに、申請時はもちろん、認定後も適正な維持管理の実施や調査・報告など義務づけられる。
A: 2011年6月、石川県の「能登の里山里海」が、新潟県の佐渡市とともに日本初となる世界農業遺産(GIAHS)に認定された。能登4市4町で構成する「能登地域GIAHS推進協議会」(七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋市、志賀町、中能登町、穴水町、能登町)が申請していたものだ。認定の理由は、地域主体の管理のもとで何世紀にもわたって農林産物を生産してきたことや、持続的な生物資源の利用保全を継続してきたことなどだ。また、こうした取り組みによって育まれてきた生物資源の多様さや、里山景観の美しさ、文化や祭礼なども評価された。