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「浄化槽」 詳細解説

読み:
じょうかそう
英名:
Purification Tank

水洗トイレから流される汚水や台所、洗面所、風呂などから出る生活雑排水は、下水道などが完備している場合には、下水処理場(浄化センター)に送られ、さまざまな工程を経て浄化され、川や海に放流される。わが国の下水道の人口普及率は、2010年度末で86.9%だが、東京都や神奈川県、大阪府などの大都市では普及しているものの、地方では普及率が低いのが現状だ。地方で普及が進まない理由として、人家がまばらな地方の町村で下水道を敷設するためには、1軒当たりのコストがかかりすぎることがある。こうした理由から、各戸で設置することのできる浄化槽を推奨している地方自治体が多い。

浄化槽には、水洗トイレからの汚水だけを処理する単独処理浄化槽と、水洗トイレからの汚水と台所、浴室、洗面所などから排出される生活排水を同時に処理する合併処理浄化槽がある。単独浄化槽では台所から出る汚水はそのまま垂れ流される。しかし、生活雑排水の中でも台所からの排水が最も多く、トイレからの排水よりも汚れの量が多く、河川汚染の原因になっている。このため、2001年4月に改正浄化槽法が施行され、下水道予定処理区域を除き、新築住宅に合併処理浄化槽を設けることが義務づけられた。既存住宅でも単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への切り替えを行う必要がある。

現在主流になっている浄化槽は、汚水中の浮遊物を分離・貯蔵し、酸素のないところで働く嫌気性微生物や、その逆に空気のあるところで働く好気性の微生物が有機物を分解する仕組みのものだ。水の汚れは、水中の有機物が微生物の働きで分解されるときに必要な酸素の量で測られ、その水質汚染の指標をBOD(生物化学的酸素要求量)という。日常生活から排出されるBODは、1日1人当たり約40gで、そのうち台所、浴室、洗面所などから出る雑排水が27g、トイレの排水が13gを占める。合併処理浄化槽のBOD除去率は約9割に達し、処理水のBODは10分の1の4gにまで減少する。

下水道の整備と合併処理浄化槽の設備推進によって、水域の汚染の進行を防止することが急務となっている。環境・農林水産・国土交通の3省は、汚水処理関連の施策について話し合う検討会を設置し、2012年4月に今後の汚水処理施策のあり方に関する中間取りまとめを公表した。そのなかで、公共用水域の水質改善を図るため、下水道供用区域内における下水道への接続促進などを進めて単独処理浄化槽を全廃する方針を示している。

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