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「公共建築物等木材利用促進法」 詳細解説

読み:
こうきょうけんちくぶつとうもくざいりようそくしんほう
英名:
Act for Promotion of Use of Wood in Public Buildings

日本では、戦後に植えられた人工林が木材資源として利用できる時期を迎えている。その一方で、木材価格の下落や林業分野における後継者不足などの影響により、森林の手入れが十分に行われず、森林のもつさまざまな機能が低下している。こうした状況を改善するために、国産の木材を積極的に使用することで、林業の再生を図るとともに森林を育てていくための施策をとることが急務となっている。このため、2010年の第174回通常国会で「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(公共建築物等木材利用促進法、通称「木促法」)が成立し、同年10月1日に施行された。

木促法は、床面積ベースの木造率が2008年度時点で7.5%と低い半面、需要増が期待できる公共建築物を対象として、木材を円滑に供給する体制を整備する措置を講じることを目的としている。そのために、国は木材利用の促進に関する施策を実施するとともに、自ら率先して公共建築物における木材利用に努める。また、建築基準法をはじめとする木造建築物に関する規制について検討を加え、必要な場合は法制度上の措置を講じる。さらに、木材利用の促進について国民の理解を深めるよう努める。

農林水産大臣と国土交通大臣は、「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」を定め、国が整備する公共建築物での木材利用の目標などを設定する。具体的には、建築基準法などによる耐火基準が厳しくない低層の公共建築物を、原則としてすべて木造化する。また、高さにかかわらず内装や備品、消耗品に木材を利用することを促す。さらに、暖房器具などに木質バイオマス燃料を導入するよう努める。基本方針は、木材利用の促進に関する意義と基本的方向、促進施策、合法木材の供給と利用の促進などについても定めている。地方自治体は、国の施策に準じて木材利用の促進に関する施策を策定し、実施するよう努める。また、都道府県と市町村も独自に促進方針を定めることができる。

一方、公共建築物の建築に用いる木材を供給する体制を整備するための施策として、木材製造業者を対象とした大臣による計画認定制度がある。公共建築物に適した木材を供給するための施設整備などに取り組む内容の「木材製造高度化計画」を作成した木材製造業者が、農林水産大臣の認定を受けることができる制度だ。木材製造高度化計画の認定を受けると、林業・木材産業改善資金助成法の特例措置などを受けられる。

農水・国土両省の発表によると、すでに各省庁や全国の地方自治体が、公共建築物の木造化や壁材など内質の木質化に取り組んでいる。

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