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「節電」 詳細解説

読み:
せつでん
英名:
Saving Electricity

電力は、身近なエネルギーのなかで最も使用量の多いものだ。エネルギー源に占める割合では、家庭部門の約半分を、業務部門の4割以上を電力が占める。二次エネルギーである電力は、元をたどれば石油や石炭天然ガス、原子力、水力・地熱、新エネルギーなどの一次エネルギーから発電所でつくられる。限りある資源を大切に使うためにも、電力を節約する「節電」への取り組みが重要だ。とくに、2011年3月11日に発生した東日本大震災により原子力発電所などの発電施設が被害を受け、東北・関東地方における電力供給量が減少してからは、節電の確実な実施が求められている。電力需要の多い夏場に、計画停電のような産業や国民生活への影響が大きい手段を回避するためだ。

全国民による節電を実現するため、政府が設置した電力需給緊急対策本部は同年5月に「夏期の電力需給対策について」をまとめ、公表した。節電が震災復興や経済発展の妨げとならないことを前提としつつ、具体的な節電の手法を、大口需要家、小口需要家、家庭の部門別にあげている。そして、その達成のために全部門に共通した節電目標としてピーク時間帯の使用最大電力を15%削減することを掲げている。また、単年度の対策ではなく、今後のわが国における再生可能エネルギーの普及や省エネ対策の強化、休業・休暇の分散化などライフスタイルの変革につながる施策にすべきであるとしている。

それによると、契約電力500kW以上の大口需要家については、操業や営業時間の調整・シフト、休業日・夏期休業の分散化などの取り組みを関係企業と協力して進めることで、生産量をできるだけ減少させずに節電を行うことができるとしている。また、同じく500kW未満の小口需要家については、照明やエアコンなどの節電や、営業時間の短縮、夏期休業の設定・延長・分散化などの自主的な取り組みを「節電行動計画」としてまとめ、オフィスのわかりやすい場所に掲示などの手法が効果的であるとしている。オフィスの節電手法としては、クールビズ朝チャレ!なども注目されている。

家庭での取り組みについては、政府が公表している「家庭の節電対策メニュー」を活用して、待機電源の削減や電気製品の調節、契約アンペアの引き下げなどの対策を積み重ねることを求めている。また、夏季休業をとる時期を分散化したり、家族皆で旅行したりすることを勧めている。なお、こうした部門別の取り組みにもかかわらず電力供給量が不足した場合は、セーフティネットとして計画停電が実施される可能性もある。政府は同年夏以降について、分散型電源や太陽光・風力などの再生可能エネルギーの導入を図るとともに、需要側でのスマートメーター導入などの対策を進める方針だ。

このように、東日本大震災を契機に活発化している節電の取り組みは、ブームではなく日本人のライフスタイルとワークスタイルを変える大きな動きとなりつつある。

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