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「京都メカニズム」 詳細解説

読み:
きょうとめかにずむ
英名:
Kyoto Mechanisms

京都メカニズムは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを削減するために、京都議定書で導入された一連の仕組み(メカニズム)だ。1) 排出量取引(Emission Trading)、2) クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism、以下CDM)、3) 共同実施(Joint Implementation、以下JI)の3つがある。京都議定書では、2008年から2012年までの第1約束期間の間に、付属書?に掲げられた先進国全体で温室効果ガスの排出量を1990年比で5.2%削減することを約束している。しかし、この数値目標を国内の努力だけで達成することは難しいことから、数値目標を達成する「柔軟性措置」として京都メカニズムが認められた。

排出量取引は、先進国同士が各国の削減目標達成のために割当量(排出枠)の獲得や取り引きなどを行う仕組みだ。割当量単位のほか、CER(排出削減のCDMを通じて発行されたクレジット)、ERU(共同実施を通じて発行されたクレジット)、吸収源活動による吸収量も取り引きできる。クレジットは、温室効果ガスの排出権を売買可能な形にしたものだ。日本では、事業者の自主的な参加に基づく「環境省自主参加型排出量取引制度」が行われている。また、EUやイギリス、アメリカのシカゴなどで排出量取引がさまざまな形で行われている。

CDMは、先進国(投資国)が途上国(ホスト国)に技術や資金を提供して、温室効果ガスの削減・抑制対策など、ホスト国の持続可能な開発を支援する事業を共同で行い、それによって得た温室効果ガスの削減分を自国の目標達成に利用できる仕組みだ。ただし、CDMを実施すると先進国の総排出枠量が増大するため、クレジットの発行にあたっては、第三者認証機関の指定運営組織(DOE)が、CDMプロジェクトがホスト国の持続可能な開発に寄与しているか、温室効果ガスの削減に効果があるかなどの的確性を審査する。

JIは、先進国同士が共同で事業を実施し、温室効果ガスを削減できた場合、その削減分を投資国が自国の目標達成に利用できる仕組みだ。プロジェクトの実施によって生じた排出削減量(吸収増大量)に基づいて発行されたクレジットは、プロジェクト参加者間で分け合うことができる。CDMと違って数値目標が設定された先進国間での排出枠の取得・移転であるため、先進国全体の総排出枠量に変化はない。CDMやJIを実施して発生したクレジットの国内における買取先としては、日本温室効果ガス削減基金(JGRF)と、政府がNEDOに委託して実施している「京都メカニズムクレジット取得事業」がある。

日本は、京都議定書の数値目標である6%削減を達成するため、国内での温室効果ガスの排出削減対策や吸収源対策に取り組んでいるが、2005年度の温室効果ガス総排出量はCO2換算で約13億6000万tと、1990年の総排出量を約7.8%上回った。その結果、日本は6%+7.8%=13.8%の排出量を削減しなくてはならない計算になる。京都議定書目標達成計画では、京都メカニズムを活用して基準年比1.6%相当分を補足するとしているが、その実現は各プロジェクトの進捗状況にかかっている。また、大量のクレジット確保は難しいとする見方もある。こうした中、排出量取引制度の一形態であるグリーン投資スキーム(GIS)が注目されている。排出量が削減目標よりも下回ると予想される国が、余った枠を他の国に売り、その対価を温室効果ガスの削減プロジェクトなどに投資する仕組みだ。

一方、京都議定書発効後の国際動向を見ると、2006年11月にケニアのナイロビで開催された、気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)及び京都議定書第2回締約国会合(COP/MOP2)で、京都議定書後(2013年以降)の将来枠組みなどとともに、京都メカニズムのあり方が論議された。会合では、CDMを使いやすいものに改善するため、簡素な手続きが適用される小規模CDMプロジェクトの範囲が変更され、省エネの小規模プロジェクトの範囲が拡大された。また、CO2回収・貯留プロジェクトのCDM化に向けた検討スケジュールや、アフリカなどを対象とするCDMプロジェクトの地域バランス改善のための措置などが決定された。日本発の提案として、安倍首相は、2007年5月に国際交流会議の晩餐会で行った演説の中で、2013年以降の新たな枠組みや資金提供の仕組みの構築を提唱した。

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