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「土壌汚染」 詳細解説

読み:
どじょうおせん
英名:
Soil Contamination

土壌汚染は、水質汚濁、大気汚染悪臭騒音、振動、地盤沈下と並んで、典型7公害のひとつで、工場やクリーニング店などから排出される廃液や廃棄物に含まれる揮発性有機化合物、重金属、油などが土壌に漏出することにより発生する。

わが国の土壌汚染は、1970年代に東京都の江東区で化学品メーカーによる六価クロム汚染、90年代に広島県の化学薬品工場での水銀、PCBなどの汚染が発生、社会的な問題になった。その後、不動産取引や、再開発に際して、工場跡地などから土壌汚染が発見され、浄化のために莫大な対策費用が必要となり資産価値の低下を招き、土地の有効活用や流動化を妨げる要因のひとつとなっている。

土壌汚染の特徴は、大気汚染や水質汚染に比べて、比較的移動性、拡散性が少ないこと、また長い時間をかけて汚染が土壌に蓄積すること、さらに私有財産に対する影響が大きいことだ。また、汚染が地下水に影響を及ぼし、甚大な健康被害を招くケースもある。

土地の所有者が変遷しているため、汚染責任者が誰かを特定する作業が困難を極めることもあり、汚染浄化作業のコストを誰が負担すべきか明確にならないまま、汚染が放置されてしまう懸念も指摘されている。

アメリカは汚染された土地の浄化に取り組むため、汚染責任者を特定する間の浄化作業費用を、石油税に基づく信託基金(スーパーファンド)から拠出する仕組みを編み出した。この法律のことをスーパーファンド法という。

日本においては市街地における土壌汚染を規制する法律が作られず、東京都などが独自に条例による規制を行っていたが、2003年2月に「土壌汚染対策法」が施行され、土壌汚染の恐れのある有害物質が使われたことのある土地所有者に対して、調査命令が出せるなど、法律の整備が進んできた。

土壌汚染は、人体への被害をもたらすとともに、土地の資産価値の低下、企業評価の悪化をもたらす。土壌汚染が発生した土地には担保がつかない、あるいは風評被害による売買が進まないなどの弊害も出てくる。このため、「土壌汚染対策法」が施行されて以来、土壌調査を依頼する土地所有者が増えてきた。また、土壌汚染対策技術を持った事業者が、土壌汚染ビジネスに乗り出している。環境意識の高まりを背景に、今後、汚染処理が進むものと期待されている。

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