SE4ALL(Sustainable Energy for All)は、「近代的エネルギーへの普遍的アクセスの達成」、「世界全体でのエネルギー効率の改善ペースの倍増」、「世界全体のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーのシェア倍増」という3つの目標を、2030年までに達成することを目指す、国連のイニシアティブだ。「万人のための持続可能なエネルギー」と訳し、潘基文国連事務総長が2011年9月に提起した。国連は、2012年を「万人のための持続可能なエネルギーの国際年」と定めた。
SE4ALLが掲げる3つの目標のうち、「近代的エネルギーへの普遍的アクセス達成」とは、世界中すべての人が、環境や健康に悪影響を与えないエネルギーを使えるようにすることだ。「世界全体でのエネルギー効率の改善ペースの倍増」は、エネルギー効率改善ペースを2030年までに年平均で2.4%にすることを目指す。ちなみに2009年は1.2%だった。
「世界全体のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーのシェア倍増」は、エネルギー全体に占める再エネのシェアを、2009年の15%から2030年までに30%に引き上げることを目指す。対象となる再エネは、水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱などだ。これらの目標を達成するため、「エネルギー効率改善都市」の選定が行われている。2014年12月現在で、日本の富山市やフィリピンのマニラ、ポーランドのワルシャワなど13都市が選出されている。
組織としては、国連事務総長と世銀総裁が共同議長を務めるアドバイザリー・ボード(AB)と、その下部機関である執行委員会が設けられている。また、エネルギーアクセス、エネルギー効率、再エネ、財政の4委員会が設置されている。会合も頻繁に行われており、2014年9月に「国連気候サミット」がニューヨークで開催された際に行われたSE4ALL会合では、省エネを進めるためのプラットホームが設置された。
SE4ALLの目標を効果的に達成するため、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)などにハブ機関としての役割が期待されている。日本では、一般財団法人省エネルギーセンター(ECCJ)が、省エネ分野におけるSE4ALLへの協力を表明している。