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「電力システム改革」 詳細解説

読み:
でんりょくしすてむかいかく
英名:
Electricity System Reform

日本の電気事業制度、すなわち電力システムは、電力会社が発電から小売りまでを一貫して行う「地域割」を原則としてきた。また、供給原価に基づき電気料金を決める「総括原価方式」で投資回収の保証を図り、大規模電源の確保と確実な地域供給を実現してきた。その後、国際的にみて高額な電気料金の是正や、一般電気事業者と新規参入者との競争条件均等化などの見直しが行われたが、抜本的な制度改革とはいえなかった。

しかし、欧米では1990年代から電力自由化が進められた。また、2011年3月に発生した東日本大震災に伴う原子力発電所事故とその後の電力需給の窮迫をきっかけに、より踏み込んだ改革の必要性が認識されるようになった。具体的には、地域割の撤廃と発送電分離、電気料金の自由化、再生可能エネルギーコージェネレーション自家発電などの分散型電源の推進などが必要とされた。

政府は2013年4月に「電力システムに関する改革方針」を閣議決定し、電力システム改革の目的、制度見直しのあり方、進め方をまとめた。ここで「広域系統運用の拡大」、「電気小売業への参入全面自由化」、「発送電分離」という改革の3本柱が示された。この方針を踏まえて、2013年の通常国会に電気事業法改正案が提出されたが廃案となった。しかし、同年の臨時国会で改革の第1弾となる改正電気事業法が成立し、「広域系統運用の拡大」などを実現するための土台が整った。

広域系統運用とは、従来の地域割の考え方を越えた全国規模での需給調整を可能とする仕組みだ。電力需給のひっ迫や、出力変動の大きい太陽光発電風力発電など再エネの本格導入に対応するために不可欠とされる。これを受けて、電力広域的運営推進機関が2015年4月に設立された。2014年6月には、改革の第2弾として電気事業法が改正され、「電気小売業への参入の全面自由化」を実施するための規定が整備された。全面自由化により、2016年4月から一般家庭や企業を含めたすべての利用者が、電力会社を自由に選べるようになる。

そして2015年6月に、改革の第3弾として2020年4月に発送電分離の実施などを柱とする電気事業法の改正が行われた。発送電分離は、電力会社の発電事業と送電事業を分離することだ。発電事業者や小売電気事業者が送配電網を公平に利用できるようにするため、送配電部門の中立性を図った。また、電気の小売料金を全面自由化する規制緩和も行われた。この時にガス事業法も改正され、ガスシステム改革を行うための規定が整備された。

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