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「世界低炭素成長ビジョン」 詳細解説

読み:
せかいていたんそせいちょうびじょん
英名:
Japan's Vision and Actions toward Low Carbon Growth and Climate Resilient World

外務省は2011年11月29日、日本のイニシアティブである「世界低炭素成長ビジョン - 日本の提言」を表明した。世界低炭素成長ビジョンは、同年12月に南アフリカのダーバンで行われた気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)を前に、地球温暖化対策を効果的に進めていくためには米国や中国など温室効果ガスの大量排出国を含めた包括的な国際枠組みの構築に加えて、先進国と途上国が連携して世界全体で低炭素成長を進めていくべきであるという考え方を示したものだ。

具体的には、先進国間の連携によるさらなる排出削減に向けた技術革新、途上国との連携による低炭素技術の普及促進と新たな市場メカニズムの構築、脆弱国への配慮など途上国支援―の3つのアプローチによって関連の施策を実施する。また、国際社会全体でも同様の取り組みを進めていくように働きかける。排出削減については、太陽電池の低コスト・高効率化、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)などの地球環境観測衛星による観測、国際連携の推進などに取り組む。

低炭素技術の普及・促進については、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)を改善するほか、新たな市場メカニズムを構築するために2国間協力を推進する。また、温室効果ガスを大量に排出している東アジア地域で、地域に根ざした低炭素成長モデルの構築を目指す。具体的には、メコン地域諸国や韓国、インドネシアなどとの協力関係を強化する。さらに、この地域における長期的な低炭素社会シナリオや低炭素政策・技術のロードマップを策定する。

脆弱国への配慮については、COP15で表明した総額150 億ドルの途上国短期支援を、アフリカや後発開発途上国(LDC)、小島しょ国などの脆弱国に対する支援を中心に引き続き実施する。また、2012年5月に日本で行われる太平洋・島サミットに向けて、世界銀行などと連携して太平洋島しょ国向けの自然災害リスク保険の開設を検討する。さらに、アフリカ適応プログラム(AAP)やアジア太平洋気候変動適応ネットワーク(APAN)を通じた支援も継続する。

世界低炭素成長ビジョンは、人材育成も重視している。途上国が日本などの先進国による支援を受け入れて、自ら気候変動対策に取り組んでいくには、その活動を担う人材が不可欠だからだ。日本は、気候変動対策と森林保全などの分野で、2010年に約3000人の専門家派遣と研修員の受け入れを実施しており、こうした活動を今後も続けていく方針だ。

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