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「自家発電」 詳細解説

読み:
じかはつでん
英名:
Private Power Generation

電力は、私たちが事業活動や生活をするにあたって欠かせないエネルギーだ。エネルギー源のうち電力が占める割合は、2008年度で業務用部門が44%、同じく家庭部門が50%となっている。また、平均的なオフィスビル全体のエネルギー消費のうち、冷暖房用のエネルギー利用が約3割、照明が約2割、OA機器用のコンセントが約2割を占める。一方、供給エネルギーの8割以上が石油や石炭などの化石エネルギーに依存しており、原子力を含まないエネルギー自給率は約4%ときわめて低い。このため、東日本大震災により原子力発電所が被害を受けて以来、東北・関東地方を中心に国内の電力供給量は大幅に減少した。その対応策として電力を節約する節電とともに注目されているのが、電力会社からの供給によらずに自ら電気を起こす自家発電だ。

自家発電は、電気を使う場所でつくるため送電ロスと呼ばれる電力の損失が非常に少なく、エネルギー消費におけるコストを縮減することができる。主な自家発電設備としては、ディーゼル発電設備や都市ガス(天然ガス)を燃料とするガスタービン発電設備などがある。1980年代以降、規制緩和により自家発電やコージェネレーションの電力系統への連系や、自家発電による余剰電力の小売が可能となった。この結果、国内における2004年度の自家発電量は約1310億kWhに達したが、燃料費の上昇により下降に転じ、2008年度の産業部門全体の自家発電比率は約27%にとどまっている。

しかし、東日本大震災により電力会社の発電施設が被害を受けて電力供給量が減ったため、国は電力需給対策に関する制度の見直しを進めている。自家発電用燃料の貯蔵に関する消防法の許可手続きの迅速化や、ばい煙・騒音・振動基準の一部緩和など、自家発電を促進するための規制緩和に踏み切った。これを受けて、自家発電設備を新増設する動きが各地で活発になりつつある。

都市部で大規模な自家発電を行っているのが、東京・港区の六本木ヒルズだ。同地区では、使われるすべての電力を自家発電によりまかなっている。それに加えて、東日本大震災の発生後には、東京電力への電力提供も行った。同地区では、自らの発電設備や電線路により電力供給を行う特定電気事業者として六本木エネルギーサービスを設立。地域コージェネレーションシステムを早くから導入するとともに、地震などの災害発生時にも安定した電力供給が可能なシステムを構築した。自家発電により、省エネ二酸化炭素(CO2)の削減、大気汚染物質の排出削減にも成功している。

また、一般電気事業者がもつ電線路を通じて電力を供給する特定規模電気事業者は、国内に40社以上ある。一方、住宅や店舗・事務所などで、太陽光パネルを設置して自家発電を行うところが増えている。燃料電池や家庭用コージェネレーションシステム(エコウィル)、蓄電池などを併設して自家発電を行っている家や店舗もあり、余剰電力を電力会社が固定価格で買い取る制度が整備された。

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