サイト内
ウェブ

「電気事業法」 詳細解説

読み:
でんきじぎょうほう
英名:
Electricity Business Act

電気事業法は、その名のとおり電気事業のあり方や事業活動に関する規制を行うための法律だ。1964年に、それまで電気事業などについて定めていた公益事業令の内容を継承して定められた。電気事業の適正で合理的な運営を確保することで電気使用者の利益保護と電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事・維持・運用に関する規制などを行って公共の安全確保と環境保全を図ることを目的としている。本法は規制緩和の流れに対応するため、1995年、1999年、2003年に大きな改正が行われ、内外価格差の是正や小売りの部分自由化、送配電部門の公平性や透明性の向上などが図られてきた。

同法が定める電気事業者のうち、不特定多数の需要に応じて電気を供給する一般電気事業者として北海道から沖縄までの10電力会社がある。また、これらの一般電気事業者に電気を供給するのが卸電気事業者で、電源開発や日本原子力発電などがこれにあたり、みなし卸電気事業者として認められた公営・共同電気事業もある。このほかに、IPP(独立発電事業者)などの卸供給事業者や、PPS(小売自由化部門への新規参入者)などの特定規模電気事業者、限定された区域に対して自らの発電設備などを使って電力を供給する特定電気事業者などがある。特定規模電気事業を除く電気事業を営もうとする者は、本法に基づき経済産業大臣の許可を得なくてはならない。許可を得た場合は通常10年以内に事業を開始しなくてはならず、供給区域の変更も許可が必要だ。

本法は、発電・変電・送電・配電用の機械や器具、ダム、水路、貯水池、電線路などの工作物を電気工作物と位置づけて、さまざまな規制を行っている。電気工作物は、一般用電気工作物と事業用電気工作物に分けられる。一般用電気工作物には、家庭や商店・コンビニエンスストア、小規模事務所の屋内配線や家庭用太陽光発電設備などがある。事業用電気工作物はそれ以外の電気工作物で、電力会社や工場にある発電所・変電所・送電線路・配電線路・需要設備などがこれにあたる。また、事業用電気工作物のうち電気事業に用いない工作物を自家用電気工作物という。

事業用と一般用電気工作物について本法は、技術基準への適合を義務づけており、適合していない場合は経産相による適合命令の対象となり、使用が制限される場合もある。また、事業用電気工作物の設置者には、保安規程の策定と届出、主任技術者の選任、各種検査への適合など守るべき義務がたくさんある。本法はこのほかに、土地使用や登録調査機関などの各種関連機関について定めている。また、電気工作物を損壊したり機能に障害を与えたりして発電などを妨害した者を、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処するなどの罰則もある。

一方、本法は第27条で、需給調整を行わなければ供給不足につながる可能性があるなど緊急の場合には、経産相は一般・特定・特定規模電気事業者が供給する電力の使用を制限することができると定めている。2011年3月の東日本大震災により東京・東北両電力の発電施設が被害を受けたことに伴い、夏場の計画停電を回避するため政令が定められ、同年7月から使用制限が発動された。このように、電気事業法は電気事業から太陽光発電設備を含む電気工作物まで、電気に関する広範な規制を行っている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。