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「小水力発電」 詳細解説

読み:
しょうすいりょくはつでん
英名:
Small Hydro Power

自然の力を使う再生可能エネルギーのうち、河川などで生じる水の落差を利用して水車を回して発電するのが水力発電だ。このうち、規模や出力が小さい発電のことを小水力発電と呼ぶ。一般的には、出力1000kW以下のものを小水力、出力3万kW以下のものを中水力と区分し、これらを合わせて中小水力発電と総称する。とくに小水力発電は小さな河川や水路が多い日本に合ったエネルギー源として注目されており、2008年の新エネ法改正により未利用の水力を利用するものが新エネルギーに追加された。

環境省が2010年に行った調査結果によると、わが国の河川と農業用水路における中小水力発電の設備容量(賦存量)は、河川で1650万kW、農業用水路で32万kWとなり、導入ポテンシャル(利用可能性)は河川で1400万kW、農業用水路で30万kWとなった。また、上下水道や工業用水道における賦存量で18万kW、導入ポテンシャルで16万kW程度が見込まれるという試算も出ている。このように人工の水路に小型の水車を設置して発電する方式は、水路式小水力発電やマイクロ水力発電と呼ばれて各地で導入事例がある。

たとえば、群馬県藤岡市では農業用水路にマイクロ水力発電設備を設置し、2010年度まで発電を行った。また、奈良県水道局は環境対策導入プロジェクトの一環として、2006年度には水道管理センターに80kWの小水力発電設備を導入した。浄水場からの標高差を利用して発電するシステムで、年間約200t-co2の二酸化炭素(CO2)の削減につながるという。大阪府堺市の上下水道局も、配水場に小水力発電設備を設置している。

水力発電設備を設置するには、関連法令に基づく許可や届出が必要だが、2011年3月にその要件の一部が緩和された。河川法は発電用の水利用をすべて「特定水利使用」として、国土交通大臣の許可を求めていたが、施行令の改正により従属元の水利使用の処分権者が都道府県知事の場合にはその対象外となった。また、小水力発電設備は電気事業法上の事業用電気工作物だったが、施行規則の改正により出力20kW未満で最大使用水量が1立方m/s未満のものを一般用電気工作物として取り扱うこととし、関連する届出の一部が不要となった。

このように小水力発電については技術開発が進み、導入事例が増え、規制緩和も行われている。さらなる普及拡大のため、発電規模に応じた価格での全量買い取りや補助制度の充実など、新たな仕組みづくりが求められる。

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