サイト内
ウェブ

「ピークオイル」 詳細解説

読み:
ぴーくおいる
英名:
Peak Oil

石油は、ガソリンや灯油、電力などのエネルギーとしてはもちろん、プラスチックや化学繊維など、さまざまな化学製品の原料に利用されている。しかし、天然資源に乏しい日本は、石油の約99.6%を海外に頼っている(2006年)。石油などの化石燃料の資源量には限界があって、21世紀の中頃までに、世界全体の石油生産がピーク(頂点)を迎え、その後は減衰していくという考え方が、ピークオイル(論)だ。IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)は、在来型の石油生産量は、標準的なシナリオでは2028年から2032年にピークを迎えるとしているが、悲観的な見方では2013年から2017年にピークが来るとしている。また、オランダの研究者は、2030年に在来型石油が、2060年には天然ガス液や超重質油などの非在来型石油がそれぞれピークを迎えると予測。さらに、2020年到来説や、2010年危機説など、ピークオイルに関する予測や研究にはさまざまなものがあり、その論拠や期間の幅についても意見が分かれている。

一方、ピークオイルの考え方に対しては懐疑的な意見も多い。1950年代にアメリカの地質学者であるハバートがピークオイルを提唱して以来、多くの研究者や機関がピーク到来の予測を行ってきたが、多くが後方修正されているためだ。また、ピークオイルの考え方が提唱された頃に比べて、非在来型原油が原油生産に占める割合が増えたことも、ピーク到来の予測時期が先送りされ続けている大きな原因とされている。それでも、石油生産量が将来、ピークを迎える可能性があることを念頭においてリスクに備えるべきであるという考え方は、賛成派、懐疑派を通じておおむね一致している。

資源エネルギー庁は2005年、「エネルギー分野の技術戦略マップ」策定のための資料の中で、世界が経済成長する中、2050年に石油の生産量のピークを迎えると資源制約面での仮定を行った上で、資源の大半を輸入に頼る日本としては、ピークが来ると想定される時期までに、使用可能な資源量の拡大やエネルギー源の多様化、エネルギー使用の高効率化などに取り組むことで、石油以外のエネルギーと互換できる状態にすべきであると指摘した。また、同省の総合資源エネルギー調査会・石油分科会石油部会石油政策小委員会は、報告書「昨今の石油を巡る環境の変化を踏まえた今後の石油政策はいかにあるべきか」(2006年)の中で、ピークオイルの考え方が妥当かどうかは別にして、産油国の探鉱や開発投資に関する問題は多くあり、油田の発見や開発が技術的に難しくなっていることなどから、石油の需給傾向は中長期的にひっ迫する可能性が十分にあるとしている。

こうした中、(独法)産業技術総合研究所は、「オイルピークを見据えたエネルギー関連研究戦略検討委員会」を設置した。同委員会は、ピークオイルの考え方をはじめとする、「安い」石油時代終焉への警鐘を正面から受け止め、社会への影響を検討するのが目的だ。1) 石油生産の将来、2) 代替エネルギー開発、3) エネルギー関連技術の現状分析・将来、4) 社会システムの将来、などのテーマについて、科学、経済、社会学などさまざまな観点から多角的に検討している。2007年3月に公表した報告書では、ピークオイルの問題は「日本の安全保障にかかわる社会的リスク」であると指摘。1) 自動車燃料、2) 化学用原料、3) 農林水産業、4) 電力など用途別の脱石油戦略が必要であるとしている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。