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「水源林」 とは

読み:
すいげんりん

 水源地の周辺にある、水源かん養上重要な水源林は、保水や洪水緩和、自然の自浄作用による水質浄化、レクリエーションの場の提供など、木材生産に限らない多様な機能をもつ。樹木への降雨は、幹を伝って地面に浸透して地下水となり、その地下水はやがて湧水となって川に流れ出る。樹木がある場合、地下水となる割合は降雨の約35%だが、そうで無い場合には10%程度でしかない。このように森林には、雨水を地中に貯め、ゆっくりと時間をかけて流出させる働きがあり、洪水や渇水をやわらげるため、「緑のダム」とも呼ばれる。また、網の目のように土の中に広がる木の根は、土や石をしっかりと捕まえているので土砂崩れを防ぐ。そして、森林から流出する水では、下流の河川や湖沼の富栄養化の原因となる窒素やリンの含有量はわずかである一方、ミネラルが溶け込んだ水となる。このため森林は「天然の浄水場」とも呼ばれる。水源地域の森林は、林業活動などを通じて維持されてきた。しかし、近年、生活様式の変化や外国産木材の普及によって林業経営が難しくなり、また、林業の担い手の高齢化と人手不足から荒廃が進む水源林が増えている。適切な造林、育林、管理が求められており、各地方自治体で水源林を保全し、機能回復をはかる取り組みが行われている。林野庁では、森林の役割を紹介し、理解を深めることなどを目的として、水を仲立ちとして森林と人との理想的な関係がつくられているなどの観点から、1995年7月に「水源の森百選」を選定している。

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