A: 環境関連の条約や法制度などの社会的な決まりを守ることを「環境コンプライアンス」という。企業が環境コンプライアンスを徹底している実例として、化学業界における「レスポンシブル・ケア(RC)」活動の推進があげられる。RCは、ISO14001に基づく環境マネジメントシステム(EMS)を活用して、化学物質の開発から廃棄に至るすべての過程において、企業が自主的に環境や安全に関する対策を行う活動だ。ある化学企業ではRC活動の流れに「環境と安全」の項目を追加し、全社的な環境コンプライアンスの実現を目指している。また、「コンプライアンス携帯カード」を全社員に配布したり、臭気などの環境負荷を減らすため近隣住民や従業員に「環境モニター」になってもらい情報の把握に努めたりしている企業もある。
A: 法令や社会的な決まりを守るコンプライアンスを徹底するにあたっては、法律などを守るだけでなく、その背景にある理念や精神を大切にすることが重要だ。(独法)都市再生機構(UR都市機構)は2004年に、同機構で働くすべての役職員が、業務の実施にあたってコンプライアンスを徹底するためのルールとなる「都市再生機構コンプライアンス行動規範」を定めた。そこでは主に次のことが定められている。1) 法令遵守や公私のけじめなど「公正で清廉な職務への取り組み」、2) 利害関係のある事業パートナーとの「節度ある関係」、3) 機密保持など「情報の適正な管理」、4) 風通しのよい「良好な職場環境づくり」、5) 問題への「迅速・的確な対応」。また、コンプライアンス関連事項を審議する機関として理事長を委員長とする「コンプライアンス委員会」があるほか、機構の全職員がコンプライアンスに関することを直接相談できる「コンプライアンス相談窓口(専用ホットライン)」を、外部の弁護士事務所に設置している。