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海野和男のデジタル昆虫記

アサマシジミ

アサマシジミ
2012年07月26日


無残な草刈りについては反響がありました。実際このような場所の保全をどうすればよいのかは、ぼくにもわかりません。人間の手が入ることで保たれる自然もあるし,この場所も多分そうした要因もからんでいます。この場所はほんの100mぐらいの間に、様々な小さな植生が入り交じる多様性に富んだ箱庭的な場所なので、うまく保全が行われるとよいなと思うのです。
 自然の愛好家は見たくないものに蓋をする精神ではいけ無いと思います。自然と深く接している人は,このような場面で考え、意見も言わなければいけないと思います。でもその意見が正しいわけではありません。試行錯誤が必要でしょう。少年時代から虫を見続けている人は自分のできる範囲で積極的に社会と関わる責任あると,ぼくには思うのです。
 6月に、地元の人相手の観察会を,そのため池で行いました。身近に素晴らしい場所がある、日本で最も素晴らしいため池の土手という小諸の自然を知ってもらい,郷土の自然に誇りを持ってもらいたかったのです。けれど地権者相手に話をしたわけではないので,直接的な効果はなかったのだと思います。
 草刈りは今までも繰り返されてきたことですから、多分来年か、再来年には復活するでしょう。ただし,前の時は、1種絶滅しましたが・・・・写真が撮れればよい、虫が捕まえられれば良いでは,どんどん貴重な自然が失われて行くのです。
 今日は,やはり絶滅が心配されるアサマシジミの話し。アサマシジミは中部地方の草原で見られ、北海道には亜種のイシダシジミがいる。産地により,また個体により差が出るのでマニアに人気が高く、採集圧が問題となる種だが、草刈りもまた問題となる種でもある。写真は上がメスの表と裏。下がこの場所のオスで青っぽいものと黒っぽいものがいる。
 食草のナンテンハギはそれほど珍しいものではないが,不思議なことに,ナンテンハギがあるからいると言うわけではない。ぼくの知っている場所は樹林に囲まれたわずかな草地で,1000坪もない場所である。だからアサマシジミが幼虫の時に,そこの草が全て刈られたら絶滅である。そこは草地がそもそも少ない場所で、多分、今から50年前は草原が広がっていたと思われるカラマツの植林地だ。
 昨年は多かったが,今年は見た数は10匹以下である。まだまだわからないことも多く、いなくなる前に捕ってしまおうというのではなく、どうしてここにアサマシジミが生息しているのかを考えるべきだと思う。アサマシジミの飛翔のスロービデオを動画一覧にアップしました。

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