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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」8 オトシブミ

連載「日本昆虫記」8 オトシブミ
2010年04月12日

 新緑がまぶしい季節、林の中を通る道を歩けば、地面に葉でできた小さな丸い筒が落ちているかもしれません。この筒はオトシブミという小さな甲虫が子供のために用意した隠れ家であり、食べ物なのです。とてもしっかりと巻かれていて、中には卵が一つ入っています。
 オトシブミが見られる季節は葉が伸びきる時です。十分大きく成長し、まだ柔らかな葉を選んでオトシブミは葉を巻きます。標高の高い地域では遅くまで見られますが、ぼくの観察している長野県の小諸市では5月中旬から下旬のわずか2週間ほどしか見ることができません。
 上を見上げて、クリの木があれば、それはナミオトシブミの揺藍。ケヤキだったらルイスアシナガオトシブミだ。オトシブミにはたくさんの種類があって、それぞれが巻く葉の種類が決まっています。よく探せば葉を巻いている姿を見ることができるかもしれません。
 オトシブミのお母さんは、まず葉の縁を歩いて、ちょっと葉をかじったりします。その葉が自分の巻く植物であることを確かめ、同時に脚で引っ張ってみて固さを確かめているのです。それから葉の中央を下から上に歩き、葉の長さを確かめるます。そのあと、葉の付け根に近い部分に切り込みを入れ、葉をちょっとしおらせます。そして、折り紙で折れ線を入れるように、葉をかんで傷をつけていきます。それが終わると足と口だけを使って実に器用に葉を巻いていくのです。

上はナミオトシブミがクリの葉を巻いて作った揺藍を切り落としているところ。揺藍は切り落とさないこともあるガ、その時は巻き方もちょっと異なる。下は葉を切ったところで交尾をしているところ。
今日のハワイ昆虫記はハワイのブルーベリー


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