十六茶が支持される“稼げた感”とは?水分補給を“アップグレード”する「カラダにいいこと」への強いこだわり

  • 2025年4月21日
  • Walkerplus

「ゴクゴク飲める、健康的な水分補給」として人気を誇るアサヒ「十六茶」。キャッチコピーは「カラダにいいこと」。近年、健康志向が高まるなかで、その独自性と飲みやすさが注目を集めている。特に、“水分補給のアップグレード”を実現するという点が、多くの人に支持されている理由のひとつのようだ。さらに、SNSでも話題となった新ラベルのデザイン性が加わり、若年層の心もつかんでいる。
アサヒ飲料株式会社マーケティング本部・無糖茶グループのプロデューサー内田勝大さん(右)、プロモーション戦略部ブランドプロモーショングループの樋口温子さん(左)
アサヒ飲料株式会社マーケティング本部・無糖茶グループのプロデューサー内田勝大さん(右)、プロモーション戦略部ブランドプロモーショングループの樋口温子さん(左) / 【撮影=樋口涼】


今回、その進化の背景にはどのような戦略と想いがあるのかを徹底解明するため、アサヒ飲料株式会社のキーパーソンに話を聞いた。マーケティング本部・無糖茶グループでプロデューサーを務める内田勝大さん、そして、プロモーション戦略部ブランドプロモーショングループの樋口温子さんが、十六茶に込めた想いや戦略について語ってくれた。
アートラベルのデザイン性についても語ってもらった
アートラベルのデザイン性についても語ってもらった / 【撮影=樋口涼】


商品開発におけるこだわりから、デザインの裏側、さらには市場での立ち位置まで、幅広い視点からアサヒ「十六茶」の魅力を探る。日常の水分補給をアップグレードするために、どのような工夫がされているのか。その秘密をじっくりと掘り下げる。

■水分補給をもっと健康的に!十六茶が提案する“ゴクゴク飲める”お茶の魅力
ゴクゴク飲めて、カラダにいいのが「十六茶」の特徴
ゴクゴク飲めて、カラダにいいのが「十六茶」の特徴 / 【撮影=樋口涼】

――十六茶について、誕生の経緯やコンセプト、「16」という数字の由来についてあらためて教えてください。

【内田勝大】十六茶はもともとはアサヒ飲料のブランドではなく、実はシャンソン化粧品のブランドです。1985年に、美容と健康のためのお茶として発売されました。その後、1993年にアサヒ飲料が「お茶どうぞ 十六茶」という名前で商品化したのが、我々としてのスタートになっています。シャンソン化粧品が提案した美容と健康というコンセプトを、飲料という形でさらに広めていくというのが、十六茶がアサヒ飲料ブランドとして歩み出した背景です。

――コンセプトについて詳しく教えてください。

【内田勝大】十六茶のコンセプトは、美容と健康のお茶です。特に東洋健康思想に基づいた考え方を大切にしており、六臓六腑、四味覚という思想が根底にあります。六臓六腑とは、いわゆる臓器のことで、それらのバランスが整っている状態が健康であるという考え方ですね。東洋健康思想では、臓器そのものだけでなく、それを支える周辺器官も含めてバランスが大切とされています。四味覚は甘い、苦い、しょっぱい、酸っぱいの4つの味覚がバランスよく含まれていることがおいしさのポイントだということです。東洋健康思想の「六蔵六腑四味覚」、この「6+6+4=16」が「16」の由来であり、十六茶はこの考えをもとに、16種類の健康素材を絶妙なバランスでブレンドしています。
30年以上愛され続ける「十六茶」
30年以上愛され続ける「十六茶」


さらに、十六茶ができること、かつ今の生活者が望んでいることを考えると、やはり「カラダにいい」という点にたどり着きます。実は「カラダにいいこと」というコピーは2024年から使っているのですが、とても好評で、「いい言葉を見つけたな」と感じています。健康志向が高まっているなかで、日常的に多くの素材を摂りたいと考える方が増えています。しかし、実践できている方は少ないのが現状です。

そうした状況のなかで、十六茶は「ゴクゴク水分補給しながら16素材も摂れる」という手軽さを持っています。この「飲むだけで健康素材を摂取できる」という価値が、忙しい現代人にフィットしているのだと思います。実際にデプスインタビュー(※対象者と一対一で対話して、消費者の意識や行動を深掘りする調査手法)を行うと、「1日30品目取らなきゃ」という意識があるなかで、十六茶を飲むと「16個摂れた、稼げた気分になった」という声が多く聞かれます。そういう“稼げた感”をうれしいと感じる方が多いですね。

――年代別の傾向についても教えてください。

【内田勝大】40代、50代の方がボリュームとしては多いです。ライフステージも変わってきて、健康志向が強まるタイミングですので、健康に配慮した飲み物を求める傾向があると思います。特に、健康成分が入っているお茶を選ぶことが増えてくる年代ですね。そのため、十六茶が持つ「健康素材が摂れる」という価値が強く響いていると感じています。
「担当になる前から十六茶は好きだった」という内田さん
「担当になる前から十六茶は好きだった」という内田さん / 【撮影=樋口涼】


――無糖茶の市場やトレンドについてはどのように考えていますか?

【内田勝大】最近は無糖化の流れが強く、水やお茶などの健康志向飲料が伸びています。特に「水分補給+健康」を意識した無糖茶の需要が高まっています。私たちは「水分補給系無糖茶」というカテゴリーを定義しており、特に、昨今の“亜熱帯化”や暑さの影響で、水分がしっかり摂れるお茶が求められています。市場全体としても、お茶は微増の傾向にありますが、水分補給系のカテゴリーは特に伸びています。季節的には夏場に需要が高まる一方、運動後や日常飲料として選ばれるケースも増加しています。
毎年少しずつブレンド配合を変え進化しているそう
毎年少しずつブレンド配合を変え進化しているそう / 【撮影=樋口涼】


市場の動向を受け、十六茶では毎年ブレンドや素材の見直しを続けています。東洋健康茶としての側面は重視しつつも、素材や焙煎、ブレンドを工夫し、すっきりゴクゴク飲めるおいしさにもこだわっています。市場の変化に対応しながら、飲みやすさと健康価値の両立を意識した製品づくりを続けているのが現状です。

――毎年ブレンドが変わるんですか?

【内田勝大】そうなんです。ほぼ毎年ブレンドを変えています。今年はサツマイモが入っていますし、他にも素材の産地や焙煎度を変えたりしています。同じ素材でも細かく調整しているので、毎年少しずつ違いますね。ハトムギひとつをとっても、産地・大きさ・焙煎度が異なる複数のハトムギを配合しているので、原材料表示からは読み取れないような改良も含まれています。そのため、原材料名としては同じでも、実は異なる組み合わせが多くあり、その年のトレンドや健康志向に合わせて改良を重ねています。
優しい味わいで飲みやすさが「十六茶」の魅力
優しい味わいで飲みやすさが「十六茶」の魅力 / 【撮影=樋口涼】


――それをもっと打ち出してもよさそうですが?

【内田勝大】そうなんですが、あまり打ち出しすぎるとマニアックになりすぎてしまうので、そのバランスが難しいですね。例えば、漢方茶に寄りすぎると「健康にはいいけれど」という印象を持たれがちなので、日常的に楽しめる味わいを重視しています。六臓六腑や四味覚の考え方は、知れば納得感があるのですが、あまり強調しすぎると薬膳茶のように感じられる可能性があるため、あくまで「飲みやすさ」を軸にしています。

■SNSで「かわいい」と話題!若い世代に刺さった十六茶のデザインとは?
【写真】武政諒さんがデザインした、アートデザインパッケージ。日本の自然豊かなほっこりとした風景が描かれ、従来のラベルより白い部分が増えた
【写真】武政諒さんがデザインした、アートデザインパッケージ。日本の自然豊かなほっこりとした風景が描かれ、従来のラベルより白い部分が増えた

――アートラベルも話題ですが、飲料におけるラベルの役割についてどう考えていますか?

【内田勝大】そうですね。基本的には、まず「この商品が何なのか」が一目でわかることが重要です。しかし、それだけではなく、コンセプトや世界観を伝える役割も持っていると思います。今回の十六茶のラベルデザインは、どちらかというと後者にウエイトを置いた挑戦でした。見た目のさわやかさや心が晴れやかになるようなイメージを意識してデザインしました。

――アートラベルの意図を教えてください。

【内田勝大】20代や30代にも飲んでもらいたいという思いで、デザイン性を重視しました。SNSでシェアしたくなるようなかわいらしさやスタイリッシュさを取り入れ、デザインで興味を引き、新しい層に十六茶を知ってもらうためのチャレンジです。武政諒さんのイラストが持つ温かさやさわやかさが、若い世代の心に響いていると感じています。
アートラベルの採用は、若い世代にもっと「十六茶」を知ってもらうためのチャレンジでもあるという
アートラベルの採用は、若い世代にもっと「十六茶」を知ってもらうためのチャレンジでもあるという / 【撮影=樋口涼】


――デザインをオーダーする際、コンセプトや方向性はどのように説明されたのですか?

【樋口温子】狙いとして、心も晴れやかになってほしいというところがまず大きなテーマとしてあります。そこで、すごく“抜けのいいイラスト”というものを最後まで意識して作品作りをお願いしていました。見ていて気持ちのいい感じというか、ラベルを見ただけで心が晴れるような、そんなデザインを目指しました。
デザインを依頼するにあたり、抜け感のある気持ちよさを表現して、晴れやかな気分になれることを意識したそう
デザインを依頼するにあたり、抜け感のある気持ちよさを表現して、晴れやかな気分になれることを意識したそう / 【撮影=樋口涼】


――デザインの背景やモデルとなった場所について教えてください。

【樋口温子】武政さんからは、それぞれ異なる場所のイメージがあると伺っています。例えば、海辺のデザインは、石川県の能登半島にある能登の海岸をイメージしており、夏のさわやかさや開放感を表現しています。渓谷のデザインについては、福島県の只見線沿線の自然豊かな風景をイメージしたものです。高原のデザインは、長野県の霧ヶ峰高原がモチーフで、武政さんのアトリエが近く、日常的に目にする風景からインスピレーションを受けたそうです。これらは、武政さん自身が馴染みのある景色をイメージして描いたデザインで、それぞれの場所の持つ雰囲気を大切に表現しているのが特徴です。
アートラベルは、石川県、福島県、長野県の風景をイメージ
アートラベルは、石川県、福島県、長野県の風景をイメージ / 【撮影=樋口涼】


――反響はどうですか?

【内田勝大】ありがたいことに、SNSなどで「デザインがかわいい」「明るい気持ちになる」という声が多く、新しい層にも届いたと感じています。特に、写真映えするといった声もあり、コンビニで手に取るきっかけになっているようです。

――今回のプロジェクトで苦労した点や開発秘話があれば教えてください。

【内田勝大】やっぱりこれだけ思い切ったデザインにしているので、「ここまでは変えてもいい、ここまでは変えちゃいけない」という線引きがとても難しかったですね。従来の十六茶らしい顔つきを維持しつつ、新しさを出すというところで、社内の関係者が「これでいこう」と一枚岩になるまでが大変でした。

それから、ラベルの色や質感にもかなりこだわりました。少しマットな質感を取り入れて、立体感があるように工夫した点もデザイン上のポイントです。十六茶の筆文字自体は基本的に変えていませんが、周囲のデザインや配色を工夫し、新しさを演出しています。
アートラベルを生み出すまでの苦労など裏話を語る2人
アートラベルを生み出すまでの苦労など裏話を語る2人 / 【撮影=樋口涼】


■麦茶を超えた!? ゴクゴク飲める十六茶の“水分補給のアップグレード”
――十六茶の立ち位置について教えてください。ブレンド茶のパイオニアという意識はやはりありますか?

【内田勝大】正直、それほど強く意識しているわけではないかもしれないですね。パイオニアだからどうというよりは、その時々の生活者のニーズに応える。お客様視点で物事を考えることのほうが圧倒的にウエイトとしては大きいですね。

――これからの展望や、戦略的な部分について教えていただけますか?

【内田勝大】戦略の方向性としては、「麦茶よりも十六茶を飲むほうが、ゴクゴク飲めて、かつ16素材も摂れるから元気になれる」という十六茶の強みを、もっとしっかりと伝えていきたいですね。「十六茶ってなんとなく味がわからないから買わない」という方も多いと思うんです。そういった人たちに、「いや、これ飲みやすいんですよ」と伝えても、なかなか響かないでしょうし、だからこそ、もっとポジティブに伝えることが、より多くの人が手に取るきっかけになると思います。特に水分補給としては、今は麦茶を飲む方が多いかもしれませんが、「麦茶と比較して十六茶は多くの素材が摂れて、かつミネラルも摂れる」という強みをしっかりと訴求していきたいです。
「麦茶よりも十六茶を飲んだほうが、ゴクゴク飲めて、しかも16素材が取れる」と語る内田さん。「水分補給のアップグレードができるということを伝えたい!」と語気を強めた
「麦茶よりも十六茶を飲んだほうが、ゴクゴク飲めて、しかも16素材が取れる」と語る内田さん。「水分補給のアップグレードができるということを伝えたい!」と語気を強めた / 【撮影=樋口涼】


今回、この取材で一番伝えたいのは、「水分補給のアップグレードができる」ということです。十六茶を飲むことで、ただの水分補給から、健康的な水分補給へとアップグレードできるという点を、もっと積極的に発信していきたいと考えています。

――ありがとうございました。

十六茶が目指すのは、「ゴクゴク飲める健康的な水分補給」を実現すること。その根底には、時代の変化に寄り添いながらも、生活者のニーズにしっかりと応え続けるという想いがある。

SNSで話題を集めたラベルのデザイン戦略も、若者の心をキャッチするためのひとつのチャレンジ。そのかわいらしさやスタイリッシュさが注目を集める一方で、飲みやすさと健康価値を兼ね備えた十六茶の魅力が、幅広い層に受け入れられているようだ。

“水分補給のアップグレード”をかなえる十六茶。飲みやすさと健康素材が融合したこのお茶が、これからの健康志向飲料のスタンダードとなるかもしれない。

取材=浅野祐介、取材・文=北村康行、撮影=樋口涼

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