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呼びかけに無反応…1歳のわが子に感じる発達の違和感。名称が発達障害から神経発達症へ。「特性を前向きに捉えやすくなるのでは」【作者に聞く】

  • 2024年4月5日
  • Walkerplus

知的障害+自閉スペクトラム症の長女とイヤイヤ期の次女の育児に奮闘しながら、自閉症育児の悲喜こもごもを発信しているにれ(@nire.oekaki)さん。子どもの成長への不安や悩みを赤裸々に描いていて、大きな反響を呼んでいる。

にれさんが新たに描き下ろした漫画とエッセイを加えた電子書籍「今日もまゆみは飛び跳ねる~自閉症のわが子とともに~」が発売された。

ウォーカープラスではこの電子書籍の中から特に印象的な漫画を、にれさんのエッセイと共にご紹介。日々思い悩みながらもなんとか前に進むママと、確かに成長していく娘の姿を描く、共感必至エピソードをお届けします。

■発達の遅れに気づき始めた一歳前半
まゆみが一歳になったころの散歩中、犬を連れた人が通りました。私はこっそり指差して「まゆちゃん、ワンワンだよ」と声をかけたのですが、まゆみはまるで聞こえていないかのように無反応でした。呼びかけに応じないことは前から気にかかっていましたが、まゆみの発達にハッキリと違和感を覚えたのはこのときが最初です。

私はその違和感を打ち消してくれる出来事を探すようになりました。たとえば、小さな背中に「イチゴあるよ」と声をかけると、悠長に二足歩行している場合じゃないと言わんばかりの高速ハイハイで駆けつけます。そんなまゆみを見て、「好きなものにはこんなに機敏に反応するんだから、きっと大丈夫」「まゆみはちょっと変わってるだけの普通の子」と自分に言い聞かせました。

しかし、「まゆみは普通の子」と唱えていても、他の子ども達がいる場所へ行くと違いは明らかでした。当時はよく支援センターを利用していたのですが、みんながボールプールやおもちゃで楽しそうに遊んでいるのに対し、まゆみは赤いボールを両手に掲げながらずっとグルグル歩くだけなのです。

それが毎度のことだったので、センターの保育士さんに「うちの子、変じゃないでしょうか?」と聞いたこともありました。「歩きたい時期なんですよ、見守りましょう」という保育士さんの答えにも違和感は消せず、胸のざわめきは大きくなる一方でした。

まゆみを育てて早5年になりますが、障害受容ができたかというと、今もそれを続けている最中だと感じます。きっと、これからも受け入れきれるものではなくて、就園・就学・それ以降…とまゆみのステージが変わるごとに、ずっと受け入れ続けていくもののような気がしています。

でも最近は、まゆみの症状は「障害」というよりも「特性」だと思うようになりました。少し堅い用語が並びますが、米国精神医学会が定める精神疾患の診断・統計マニュアルの『DSM-5』(2013)で、「発達障害(developmental disorders)」は「神経発達症(neurodevelopmental disorders)」というカテゴリに変わりました。これは実質の世界基準になっていて、日本でもこのDSMに則した診断が一般的だそうです。

そして本題はここから。DSM-5を日本語に訳すとき、これまでdisordersの訳語にあてていた「障害」という言葉を、誤解や偏見を生む恐れがあるとの理由で見直すことになり、発達に関する疾患についてのdisordersは「~症」と表記することになったのです。つまり「変化しうる症状」だということで、従来の「障害」という言葉が持つ「治らないもの」という印象は覆されつつあります。

現在は神経発達症よりも発達障害という用語の方が一般的ですが、いずれは神経発達症という言葉に置き換わっていけばいいなと思います。実際、子どもの特性は支援や環境によって変化しうるのでこちらの名称の方が正確に感じますし、本人も周囲の人も「障害というより特性なんだ」「特性には正しい知識で支援すればいいんだ」と前向きに捉えやすくなるのではないでしょうか。神経発達症、ぜひ一緒に使っていきませんか?

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