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12人のカリスマ投資家のエッセンスが凝縮/タザキの投資本案内「世界のエリート投資家は何を考えているのか」「世界のエリート投資家は何を見て動くのか」

  • 2024年2月17日
  • Walkerplus

こんにちは。YouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」を運営している、二児の父でサラリーマン投資家のタザキ(@tazaki_youtube)と申します。投資・マネー系の本を300冊以上読破した経験から、特におすすめの書籍や、コスパの高い書籍を、経験値や投資スタイル別で紹介。24年2月2日には、著書「しっかり儲ける投資家たちが読んでいる 投資の名著50冊を1冊にまとめてみた」を刊行しました。

今回、「世界のエリート投資家は何を考えているのか」「世界のエリート投資家は何を見て動くのか」(著:アンソニー・ロビンズ/三笠書房)という本から、個人投資家向けのポートフォリオについてご紹介していきたいと思います。

著者のアンソニー・ロビンズは、世界的に有名なコーチングの専門家や、セミナー講師、自己啓発の講演家として知られています。彼が、世界的に超有名な12人のカリスマ投資家たちにインタビューを行い書かれた内容であり、投資に対するマインドから、具体的なポートフォリオ構築の考え方まで、効率的に学べる書籍です。

■資産価格の4つの変動要因
資産価格の基本的な変動要因は、インフレ、デフレ、経済成長、経済下降の4つである、とされており、これを「経済の四季」と考えることができます。

一般的に「春夏秋冬」は一定の順番で訪れますが、経済の四季は不規則にやってくるので、その順番を予測するのは難しいです。

この4つの「経済の季節」それぞれに適した資産に25%ずつ投資するのが、世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター」の創業者であるレイ・ダリオの「オール・ウェザー・ポートフォリオ」の基本的な考え方です。こうすることで、どの経済の季節においても利益を上げる可能性が高まるのです。

しかしこのオール・ウェザー・ポートフォリオは、一般的なものではありません。なぜなら、レバレッジ商品や、専門的な知識を要する複雑な商品を取り入れているためです。真のオール・ウェザー・ポートフォリオには、初期投資額が1億ドル以上となるような大口の機関投資家のみが投資できるという制約もあります。

ですが、そこで引き下がらないのがアンソニー・ロビンズのすごいところで、個人投資家が真似しやすい「オール・シーズンズ・ポートフォリオ」という戦略を聞き出しています。リーマンショック時にもマイナス3.93%(S&P500の損失はマイナス37%)しか損失を出さなかったこのポートフォリオは同書の見所の一つです。

20年、30年の長期投資を前提とした若者ならともかく、子供の学費や、住宅購入資金、老後の生活費など、近い将来に使う予定のある資金を運用している方にとっては、5年は長すぎる期間ですので、検討に値するでしょう。

■デイビッド・スウェンセンのポートフォリオ
次に、イェール大学基金のファンドマネージャーを30年以上務め、同基金を全米トップレベルに成長させたデイビッド・スウェンセン推奨のポートフォリオも掲載されています。プリンストン大学の経済学名誉教授で「ウォール街のランダム・ ウォーカー」の著者でもあるバートン・マルキールが「理論を知っていても実務は知らない人々と、実務は知っているが理論を知らない人々がいる。スウェンセン氏は両方とも知っている人だった」と評する人物です。

彼の推奨ポートフォリオは、レイ・ダリオよりも積極的なものですが、特筆すべき点の一つは、同じ国債であっても、長期米国債と、米国物価連動国債を半分ずつ組み合わせている点です。

これは、デイビッド・スウェンセンのような偉大な投資家ですら、インフレとデフレのどちらが起こるかは予想できないことを示しています。どちらに転んでも大丈夫なように、両方のシナリオに備えて準備しているのです。

「インフレ対策とデフレ対策に50%ずつ投資したら、損得なしのトントンになるのではないか?」という疑問が浮かぶ方もいるかもしれません。これは非常に複雑な問題ですが、あくまで国債は、ポートフォリオのリスクを下げるためのものであり、まずは元本割れを起こさないことが重要なのです。そして、インフレ・デフレのどちらが起こっても、少しでも利益を出すことが見込める手堅い投資だと言われています。

■資産配分を決める前に考慮すべき3つの要因
資産配分を決定する前に考慮すべき、以下の3つの重要な要因を踏まえて、個々の投資戦略を決めることが勧められます。

1…人生のステージ
あまり長期を見据えていない高齢者の方にとって、「オール・シーズンズ・ポートフォリオ」は大暴落でも損失は数%に留まり、安心できます。

一方で、若い投資家が20年、30年という長い運用期間を見越している場合、よりリスク資産を増やすべきでしょう。スウェンセンのように今30代の私は、全世界分散に加えて新興市場への投資も加えています。

2…リスク許容度の理解
多くの人は、自分のリスク許容度を実際よりも高く見積もっていると言われています。

市場が好調な時には「暴落が来ても冷静に対応できる」と思い込んでいるものの、実際の暴落時には「今回は過去と違うのでは?」と不安になってしまいます。

仮に株式100%のポートフォリオであれば、暴落時に半減する可能性もあります。その半減の額が、年収未満なのか、年収の数倍以上であるのかによって、心理的ダメージの度合いは変わります。下落の「率」だけでなく「額」を想像することが、適切なポートフォリオ構築の参考になるでしょう。

3…資産の流動性の重要性
資産の流動性、つまり資産をどれだけ容易に現金に変えられるかも、重要な要因の1つです。しかし、資金規模の小さい個人投資家にとっては、よほど売買高の少ない小型株や、暗号資産に手を出さない限りは、あまり問題にはならないでしょう。逆に機関投資家は、常に流動性との戦いを強いられているため、個人投資家が有利なポイントとも考えられます。

■高齢者の運用や、中期的な運用者はオール・シーズンズ戦略の検討を
結局のところ、理想のポートフォリオは「心の平穏を維持できるもの」であると同書は説きます。それには、3つの要因を踏まえた自己分析が欠かせません。

オール・シーズンズ戦略は、高齢者の運用や、中期的に使い道が決まっている資金の運用に向いていると言えます。

ただし、あくまでこれは1つの指標であり、レイ・ダリオ自身も完璧なポートフォリオだとは言っていない点を理解することが重要ですので、3つの要因を踏まえて、自分に合わせたアレンジを加えてもいいかと思います。



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