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パンの上を滑り抜ける「マーガラナイ」や…氷山ならぬ「炒飯の一角」⁉シリーズ累計“50万いいね超え”の言葉遊びが笑えるイラストが話題

  • 2023年4月24日
  • Walkerplus

自転車を漕ぐ「漕ーギー」や激しく体を揺する鮭「SHAKE」。かわいい動物や食べ物と言葉遊びをかけ合わせたイラストがTwitterを中心に話題となっている。10万以上のいいねがつくこともある作品を日々生み出し続ける、イラストレーターの8810(ハヤト)さん(@8810mm)に話を聞いた。


「マーガリン」をモチーフにした「マーガラナイ」は、特に大きな反響を呼んだイラスト。作者である8810さんのお気に入りでもあるそう。「モチーフ、アイデア、タイトル、イラストなどさまざまな要素がとてもシンプルで、素直で、好きな作品です。『おもしろさ』を研究し続けた先で見つけた、自分にとって1つの『解』になったイラストでもあります。Twitterでは18.5万いいねと非常に反響もあり、自信になりました」

この作品で印象的だった反応が「ありそうでなかった」というコメントだという。「このコメントはSNSでよく見かける定型文のようなものですが、この『ありそうでなかった』こそ、『おもしろい』を伝える一番重要なポイントだと感じています。新しいものを生み出す際、『ありそうであったもの』は驚きがないアイデアになり、『なさそうでなかったもの』は今までにないアイデアだけど『よくわからない』で終わってしまいます。だから、誰もが知っているモチーフに今までにない要素を加えることで生まれる『ありそうでなかった』こそ、さまざまな製品やコンテンツで大切なゾーンだと気づきました」

「氷山の一角」と「炒飯」をかけ合わせた「炒飯の一角」も気に入っているという。「見えないものを見ようとして…ではないですが、皿に盛り付けられた炒飯を見て『この見えている炒飯はほんの一部なのでは』となぜか思った自分が変で、お気に入りです。クレーンゲーム用のぬいぐるみグッズにもなりました」

人気が高い「なぐサメ」も8810さんの好きな作品。「タイトルどおり、サメが『しゃーない』と慰めてくれて、辛い時に見ると少し気が楽になります。このサメちゃんシリーズはLINEスタンプで一番人気なので、ぜひ一度ご覧いただければうれしいです」

8810さんの作品は1万以上のいいねを獲得することも多いが、投稿する際の工夫も欠かさない。「Twitterの反響については投稿のおもしろさ以外に、システム的な要素やフォロワー数、投稿時間、流行など、さまざまな要素から反響度合いが大きく変化するので、思いがけないものが大きく拡散されることもあれば、その逆もあります。なので『反響は運』だと思っています。ただ、運の確率を上げることはできるので、アイデアを練ったり、投稿時間を意識したり、流行や2次創作を取り入れてみたり、工夫が大切だと感じています」

作品への反応は、ほぼすべて確認しているという。「単純に反応を見るのが好きなのと、コメントのやりとりが楽しいです。フォロワーさんのコメントから発想を膨らませることもありますし、いいアイデアがあればそのまま描くこともあります。『自分が描きたいもの』と『他の人が見たいもの』の違いを知るきっかけになったりして、表現方法の変化につながります」

毎日投稿しているが、アイデアが浮かばない時も「めちゃくちゃある」とのこと。「熱がある時は頭がぼ〜っとして苦戦しましたが、ぼ〜っとした時に生まれるアイデアも普段とはイラストのテンションが異なり、具合が悪そうなイラストができるので我ながら見ていておもしろいです。本当に何も出ない時は、メモ帳アプリのストックから引き出してきます。描く瞬間のひらめきを大切にしたいので、ストックは非常用にしています」

発想方法については、「アイデアは積極的に探すモードと探さないモード、両方で見つけています。探し方によってアイデアも変化するので使い分けています。組み立てていく『論理的な発想(探すモード)』はアイデア術をパターン化してアイデアを量産できるメリットがありますが、飛び抜けた突然変異的なアイデアが生まれにくいです。逆に、自由気ままなひらめき重視の『感覚的な発想(探さないモード)』は、数は少ないですが突拍子もない視点のアイデアが生まれやすいと感じます。個人的には断然『感覚的な発想』の方が好きですが、アイデアが出ない時は『論理的な発想』に脳を移行させます」と話す。

ちなみに、アイデアが浮かばない時にはチョコを食べるんだとか。「糖分がサポートしてくれている気になれますが、太ります。お風呂に入るとアイデアが浮かびやすい気もします。血流がよくなって脳に血が巡りやすくなるからでしょうか、興味深いです。アイデアが浮かばないなら浮かびやすい環境に変えて、浮かぶ確率を上げるといいと思います。そもそもアイデア自体は単なる『組み合わせ』なので、例えば『チョコ』と『お風呂』を組み合わせて『チョコ風呂』にするとか、『チョコレート』と『熱湯』を組み合わせて韻を踏むような『チョコ熱湯』という文字遊びも1つの考え方です。最近の私のイラストは文字からのアイデアが多いので、国語辞典やテレビ、SNS、Twitterのトレンドなどからキーワードを探したりもします。それでもダメなら素直に寝ます」と、考え方のポイントも教えてくれた。

好きなモチーフはネコやエビフライ。もこもこしたゆるさがいいという。「モチーフは基本的に『食べ物』か『生き物』に絞っています。おもしろさは8割がモチーフで決まると言っても過言ではないぐらい重要な要素だと感じるからです。たとえば、『見たこともない車』『見たこともない食べ物』『見たこともないネコ』のうちどれがSNSでバズりやすいかと言えば、『食べ物』か『ネコ』になります。車の場合、車好きが多い男性の間で反響はありますが食べ物やネコほど伸びません。YouTubeで食べ物動画やペット動画が伸びやすいのも、身近で親しみがあって認知されているモチーフなので興味を持つ人が増えやすいからだと思います」

イラストを描く際に気を付けていることは、とにかく“わかりやすさ”。「SNSでは基本的に、2秒程度でアイデアが伝わらないとスルーされます。あらゆるコンテンツはよりわかりやすく、動画でも短時間、数秒とコンパクト化される流れがきています。なのでイラストも『伝える』ためにその時代性に合わせる必要があり、『わかりやすさ』は意識しています。大学時代にグラフィックデザインを学んでいたので、パッと見て意味を伝えるテクニックは今でも武器になっています。私のイラストが基本的に2コマになっているのも、1コマ目でモチーフが何であるかを伝え、2コマ目でアイデアをぶつける、という構成が1番コンパクトで伝わりやすいからです」

画集を出すのが1つの夢だという8810さん。「パラパラッとどのページを見ても、クスッとできるような癒やし系画集を作ってみたいです。また、カプセルトイやプライズ品など、さまざまな企業やアーティストとコラボグッズを増やしていけたらうれしいです」と話してくれた。Twitterでの発信のほか、かわいいLINEスタンプやオリジナルグッズも好評。これからの活動にも期待したい。

取材・文=上田芽依

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