
「不細工」「底辺絵描き」を自認する、自己評価の低い少年。ふとしたきっかけから女装にチャレンジしたところ、鏡に映るのは自分でも驚くほどの美少女だった!
かわいい女の子になる才能を秘めた少年が女装にのめり込んでいく創作漫画「ブサメンが女装に興味を持った結果」に、7万件を超える「いいね」とともに「謎の感動」「めちゃくちゃ面白かった」と多くの反響が集まっている。作者のナラボン(@naradesukedo)さんに、同作を描いた舞台裏をインタビューした。
■努力と才能で美少女に変貌!女装道をまい進する姿が笑えてかっこいい
物語は、イラストが趣味の高校生「田辺」がSNSで女装ビフォーアフターの画像を見かけるところからはじまる。元の姿からは想像できないほどの変身ぶりに、田辺はブサメンを自認する自分でもかわいい女の子の姿になれるのではと思いつく。
失敗しても笑えるネタになると軽い気持ちで女装をはじめた田辺だったが、メイクを済ませるとそこにあったのは奇跡の美少女になった自分の顔。彼には自らをかわいくする才能が眠っていたのだ。
とは言え、魔法のように変わったのは顔だけで、体型や服装は男性のまま。「こんなじゃダメだ!!」とダイエットやファッションの努力をし始めた田辺は、一気に“女装沼”の深みへとはまっていく……。
自分に自信のなかった高校生が、女装という道を歩み始めて前向きに変わっていくシンデレラストーリー。随所に盛り込まれたテンポのいいギャグが笑えると同時に、田辺の女装へのひたむきさや、かわいいと認められたことで生まれる嫉妬や軋轢など、シリアスな展開も読みごたえのある作品だ。
■一発ネタのつもりだった女装ネタ、「続きが読みたい」の声で連載形式に
作者のナラボンさんは、コミックウォーカーにて『願いを叶えてくれない魔人』を連載するプロの漫画家。個人制作として「ブサメンが女装に興味を持った結果」を描いたきっかけについて話を訊いた。
――本作の出発点は「女装ものを描こう」だったとうかがいました。田辺が変身していく物語はどのように生まれていったのでしょうか?
「振り返ると、結構場当たり的に描いていたなと思います。描く中で話を膨らませたり、こういう事をやりたいという展開に必要なキャラを考えて足していった感じです。メイク動画公開の辺りがストーリーの山場になって、友人との和解が着地になってと、割と良い感じに物語を畳めたと思うのですが、自分でもまぐれ感があります」
――2021年にはじめて公開された際は、4ページごとに続きを掲載していく形でした。最初から結末を見据えて制作を進めていったのでしょうか?
「この作品はもともと、4ページの漫画をいろいろ投稿していた中の一つでした。第1話に当たる投稿をしたところ、Twitterですごく拡散してもらえましたが、自分では『一発ネタだなあ』と思っていました。ですが、『続きを読みたい』というコメントをちらほらいただいて、それに気を良くして続きを描いてみる事にしました」
――女装姿でイキイキしている姿とともに、ギャップのある素顔の田辺も表情に力を感じます。作画の面でこだわった部分はありますか?
「女の子を描いてる時の方が楽しいですし時間もかからないので、女装をしていない田辺や友人の村野を描く方が大変だなあと思いながら描いていた覚えがあります。でも、女の子よりブサメンのカットの方が何故か褒められがちです」
――ギャグとストーリーが両立した作品です。バランスなどで意識した点があれば教えてください。
「基本的にギャグ漫画しか描いてない人生なので、読んでもらった方に笑ってもらえればいいなあという思いです。ただ、キャラクターを好きになってもらえないと笑えるものも笑えなくなると思うので、その辺りはいろいろ気を遣っていたりはしています」
――漫画家としての活動が長いナラボンさんですが、本作で挑戦したことはありますか?
「もともと、女装については詳しいジャンルっていうわけでも全然ありませんでした。そんな状態からこの題材で続き物として描いていったのは挑戦だったかもしれません」
――本作でナラボンさんの作品に興味を持った読者も多いと思います。漫画家としての今後の活動について教えてください。
「コミックウォーカーで『願いを叶えてくれない魔人』という作品を連載しています。陰キャ大学生の“ともはる”がランプを拾って、そこから出てきた魔人に願いを言ってもダメ出しされるばかりで全然叶えてくれないというコメディです。ヒロインもいてラブコメ要素もあります。それによって続きも気になる仕組みです。面白そう!単行本1巻発売中!!読んでもらえたらうれしいです」
取材協力:ナラボン(@naradesukedo)