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井上小百合が舞台『博士の愛した数式』に出演!「ここぞというときには必ずカツ丼を食べています」

  • 2023年2月2日
  • Walkerplus

俳優の井上小百合が、2023年2月から松本と東京にて上演される舞台『博士の愛した数式』に出演する。2006年には映画化もされた芥川賞作家・小川洋子による同名小説を舞台化した本作で、井上は10歳の少年、ルートを演じる。そんな彼女に本作への意気込みを聞いた。

■役柄はなるべくまっさらな状態で演じようと思う

――まずは舞台『博士の愛した数式』に出演が決まったときの気持ちを教えてください。

【井上小百合】原作の小説を読んでいて作品のことを知っていましたので、出演のお話をいただいたときはすごくうれしかったです。でも、10歳の少年であるルートくんを演じると聞いたときは正直驚きました。

ルートくんのお母さんで(安藤聖が演じる)主人公の「私」の方が実年齢的には近いのかなとも感じていたので、少し不安でした。

――10歳という年齢に加え、さらに男の子の役ですもんね。どんなふうに演じてみようと思っていますか。

【井上小百合】子供って本当に邪心がないと思うんです。だから、私が子供っぽく演じようとした時点で、色がついてしまうのかなと。なるべくまっさらな状態で、本当にシンプルに言葉を発した方がきっとストレートにお客さまにも伝わるような気がするので、このシーンはこうだからこう演じようとか、この人がこうだから私はこうしようとかっていうのをあえて考えないようにしたいと思っています。

――男の子ならではの歩き方やうなずき方、仕草などもあるのかなと思いますが、そういったところはいかがですか。

【井上小百合】10歳でどのくらい男の子っぽさが出てたかなって、自分の小さいころを思い返したりしてみたんですけど、そこまで男の子と女の子の差がなかったような気がするんですよね。髪の毛が短い女の子だと男の子にも見えたりするし、10歳ってそんな感じの年齢なのかなと。男の子っぽく演じようとすると、また何か色がついてしまう気もするので、まずは何も考えないぐらいがちょうどいいのかなと思っています。

――ルートはどんな子だと思っていますか。

【井上小百合】地頭がすごくいい子。博士がルートと名付けたのは頭が平らなだけでなく、すごく気に入って賢いと感じたから、だと思います。クビにされたお母さんの事情も知らないで博士の家に遊びに行ったりとか、子供ならではの純粋な部分もたくさんあると感じました。ルートくんは綺麗な心を持ったとても賢い子という認識です。

■数字には哲学っぽいところがあることを知って、おもしろいなと思った

――映画化もされた作品ですが、原作小説と映画では若干違いがありました。今回の舞台は、いかがでしょうか。

【井上小百合】舞台になるとやっぱりまた印象が少し変わると思います。舞台ならではの表現も出てくるでしょうし、人間の裏側にある毒々しさとか。だからこそ美しいものが美しく見えるみたいな部分があるのかなと想像しています。

――すごく深い愛に包まれた作品だと感じましたが、この愛について、井上さんはどう感じましたか。

【井上小百合】ルートくんにとって博士は学校の先生でもないし、父親でも兄でもなく、血の繋がりもないというところで、なにか無償の愛みたいなものがあるのかなと思いました。この人に対してこういうことをしてあげたから見返りを求める、という感じはひとつもなくて、記憶が消えるのに博士に対してもっと自分がこうできたんじゃないか、こういうふうにやってあげたら喜ぶんじゃないかと常に考えている。

見返りを求めない。そこには、とても美しい愛があるなと思いました。それを博士が全て忘れてしまうという残酷さが、本当に胸に来ます。舞台でどういうふうに表現するのかなと私も楽しみです。

――全体的に数字の話題が多い作品ですよね。数字に対する印象は変わりましたか。

【井上小百合】変わりましたね。数字は日常的なものとあまり意識していなかったので、この作品に出合うまではそこまで深く考えることはなかったんです。でも、この作品では「こういう見方もあるんだ」という発見がすごく多くて。例えば、博士の0に対する考え方。0は、そこにないという認識ではなくて0があるっていう考え方なんです。ないものがあるという博士の心はなんて美しいんだろうと、そういう目で数字を見るとおもしろいなと感じました。

私はふだん白か黒かの次元で生きているところもあるので、新たな発見でした。0があるから「ないものがない」と言える。数字にはそういう哲学っぽいところがあることを知って、おもしろいなと思いました。

■目が肥えた松本の方々の前でお芝居をするんだからこそ、ちゃんとしたものをやりたい

――井上さんはこれまで数多くの舞台に出演してきたと思いますが、演じるときは役柄に憑依するタイプですか。

【井上小百合】どうなんでしょうか。母親に聞くと、その都度、演じる役柄によって性格がちょっと違ったりするっていうのを言われますけど、私は変わってないと思っています。

メイクや髪型によって印象が全然変わるので、よく言えば役柄になりきっている。逆に言えば、井上小百合として覚えてもらえていないのかもしれません(笑)。以前、結構たくさん出番があった舞台だったのに、観に来てくれたファンの方から「小百合ちゃんはどこに出てたの?」と言われたことがあったんです。それだけ、その役をしっかり演じていたということなんでしょうけど、ちょっとショックでした(笑)。

――今回は10歳の少年役ですから、しっかりと認識されますね。

【井上小百合】私がルートくんを演じてるのをぜひ認識していただきたいです(笑)!

――今回は、まつもと市民芸術館からの上演になりますね。

【井上小百合】以前、自分の所属しているグループのミュージックビデオの撮影で松本に行ったことがあるんですけど、町中の皆さんがとても協力的だったのをよく覚えています。そういった優しさを感じる街で、お芝居ができるというのがすごくうれしいです。

でも、だからこそ身が引き締まる部分もありますね。まつもと市民芸術館では、これまでも多くの素晴らしい舞台が上演されていますし、芸能に目が肥えた松本の方々の前でのお芝居と思うと、いつも以上にちゃんとしたものをやらないといけないなという気持ちも大きいです。

もちろん、空き時間に何をしようかなっていうのもすごく楽しみです。おいしいご飯屋さんでご当地グルメも食べたいです!

――ちなみに、元気を出したいときに食べるパワーフードって何ですか。

【井上小百合】カツ丼が大好きです!ここぞというときには必ずカツ丼を食べています。長野はやっぱりお蕎麦だと思うんですけど、お蕎麦屋さんのカツ丼ってすごくおいしいんですよね。だから松本のカツ丼もとっても楽しみです。

――最後にメッセージをお願いします。

【井上小百合】映画を観た人も小説を読んだ人もこの作品が好きだよという人も、この舞台でまた新しい見方をしていただけるはずです。舞台ならではの、音楽や香りを体験できるものになっていると思います。

お客さまがこの作品を観ている間、私たちと一緒に作品のなかの生活や時間を共有していただけるように演じていきたいです。ぜひ観に来てください。

取材・文・撮影=野木原晃一 スタイリスト=中川原有 ヘアメイク=茂木美緒

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